堕天の王
雫を助けようとする政宗達の前にミハイルが立ちはだかった。
政宗にとってミハイルは友達だ。
そのミハイルが雫を助ける邪魔をする意味がわからなかった。
『ミハイル、邪魔をするなってどういう事だよ!?』
『まだ解らないのか?僕が彼女をここに連れてきたのさ』
政宗が今、一番聞きたくなかった言葉だった。
信じていた友達に裏切られたのだ。
『何のために雫をっ!!どうして雫なんだ!?』
『彼女じゃなきゃ意味がないだろ?彼女の眠った記憶を呼び覚ますのだから』
『雫の眠った記憶?』
意味がわからない。
雫に何が隠されていろというのか…。
『まさかオマエだけが異世界へ行ったとでも思ってるのか?オマエだけが特別だと思ってるいのか?オマエ以外にも特別な存在が居るのだよ』
それが雫だった。
政宗の知らない所で雫も異世界へと飛ばされていたのだ。
しかし、腑に落ちない事が一つ有る。
それは、何故政宗が異世界へ飛ばされた事をミハイルが知っているのかだった。
今はそんな事より雫の救出が先決だった。
理由はその後問い詰めれば良いだけだ。
『レイ、援護を頼む!』
『私に指図するな!!』
そう言いながらもレイは援護の体制に入った。
……………ジャララララ!!
その時、レイ目掛けて鎖が飛んできた。
レイは刀を抜いて防いだが、鎖は刀に巻き付きレイの動きを封じた。
鎖を辿った先には黒翼の褐色肌の天使が立っていた。
『お姉様、どうか邪魔をなさらぬ様』
『ツバキか!?』
お姉様と言っていた。
レイの妹だろうか?
よく見るとあちこちに伏兵が潜んでいた。
ミハイル以外にもまだ敵は大勢居たのだ。
敵に囲まれた政宗達は下手に行動を起こせずにいた。
ミハイルは雫に近付き両手を広げた。
『さぁ、待ちに待ったこの時が来た!我らが王の目覚めの時が!!』
雫から紫の光が放たれると、光の中から雫が姿を表した。
すぐさま、ミハイル達は雫の前に集まり跪いた。
ミハイルを入れ全部で六人だ。
雫の姿は見違えていた。
白髪に冷たい紫の瞳、黒い片翼。
雫は辺りを見回すと右手を横に振った。
すると、雫の力は凄まじく一瞬にして学校とその周辺は荒れ地と化した。
ミハイルはそれを見とれてた後、振り返り言った。
『皆のモノよく聞け!!我らが王はお目覚めになられた!これより我々は天界との停戦協定を破棄し、天界に復讐しようぞ!!』
雫はミハイルを睨み付けた。
『貴様、我を置いて勝手な事を申すでない。我はまだ上手く動けぬ。しばし、休息を取らせよ』
ミハイルは雫に頭を下げ謝罪した。
『申し訳ございません!!今すぐ我らが屋代へとご案内いたします』
ミハイルが目の前に手をかざすとゲートが現れた。
そのゲートに案内され雫は入っていく。
『雫っ!!』
政宗は叫ぶが振り向くことなく雫はゲートの中へと消えていってしまった。
政宗は雫を追いかけたが、ゲートは閉じ雫の元へ行く事は適わなかった。
『………雫!!』
政宗はその場にただ座り込んでいた…。




