討論!? 居候と追放者!!
放課後、政宗は家に帰ると家の外にまでドロシーの怒鳴り声が聞こえてきた。
『私は絶対に天界に帰らないからっ!!』
誰かと話をしているようだが、内容が内容なだけに近所に聞かれるわけにはいかない。
政宗は嫌々その現場に居合わせる事にした。
家に入るとそこにはレイの姿が有った。
『お前等、人の家で何してるんだ?』
レイは政宗の方へと近付いてきた。
『貴様のせいでドロシー様が天界へ帰らないんだぞ!?どう責任取ってくれるんだ!?』
どう責任取ってくれるんだ!?と言われても政宗がどうこう言ったつもりは無い。
『連れて帰って良いよ〜』
政宗がそう言うとレイはドロシーに駆け寄り服の袖を引っ張った。
『ホラ、アイツもそう言ってる事ですし帰りましょうよ〜』
『嫌だって言ってるでしょ!?しつこいのよ!!』
二人がモメているとハンカチを持ちながらミハイルがやってきた。
『まぁまぁ、二人共落ち着きなって。あっオズ、トイレ借りたよ〜』
『ミハイル!お前も来てたのか?………てゆーか知り合い?』
政宗とミハイルは去年は同じクラスだったのだ。
政宗はドロシーとミハイルをキョロキョロと首を振りつつ見ていた。
四人はリビングから政宗の部屋に移動すると、それぞれ床に座って話し出した。
『実は、俺は元天界人なんだよ』
『元?』
『そう、元。何処かの神様に天界を追放されてね』
ミハイルは横目でチラッとドロシーの方を見た。
『あ、あれはミハイルが悪いんじゃない!私のセーブデータを消しちゃったんだから』
(………セーブデータ?)
『いやいや、アレは善意ですよ。あのままじゃダンジョンからクリアするまで脱出不可能ですし、回復アイテムは切れてるし、麻痺対策の装備だって無かったんですから』
(一体何の話をしているのやら………)
『だからって勝手に消す事ないじゃない!!あそこまで進めるのどれだけ時間が掛かると思っているの?ダッシュ出来ないRPGのイライラする事ときたら!!』
(あ〜、それはイライラするな………)
『でも僕の忠告を聞かないで先に進んだドロシー様がいけないんです!!』
『ちょっと先まで進めてるからって偉そうに』
(うんうん、居るよねそういう奴)
政宗は二人の子供みたいな喧嘩を聞いていると、共感出来る内容の多さに面白さを感じていた。
二人が討論しているとレイが割って入ってきた。
『今はそんな事どうでも良いんです。それよりも、早く天界に戻って下さい』
(あっ!邪魔が入った。もう少し聞いていたかったのに…。それにしても、しょうもない理由で追放されたんだな…)
『何度言っても嫌なものは嫌なの!!』
『………そうですか。なら仕方ありません』
等々諦めたのかと思いきや………
『地上に居る意味を無くして差し上げます!』
そう言ってレイは刀を抜き、政宗に切っ先を向けた。
だが、ドロシーは余裕の表情を浮かべていた。
『貴方じゃ政宗君に勝てないわ。やるだけ無駄無駄』
(おいおい、相手を挑発する様な事を言うなよ………)
『フフフフフ、人間がこの私に? 良いでしょう、どちらが強いかハッキリさせてあげましょう。 ただし、私が勝ったら潔く天界に帰る事を約束して下さい』
『構わないわ。どうせ勝つのは政宗君に決まっているんだし』
ドロシーとレイは火花がバチバチと飛び交うように睨み合った。
『俺の負けで良いから喧嘩はしないでくれ』
そうだ。 この二人に家の中で喧嘩されると何が起こるかなんて想像するだけで恐ろしい。
『負けを認めると言うことは首をはねられるって事だよ?』
ヒソヒソとミハイルは政宗に敗北の意味を教えてくれた。
『前言撤回!!俺は負けない!!』
『私の為に頑張ってーーー!』
わかっていると思うが、政宗が戦うのはドロシーの為ではない。 自分の為だ。
四人は近所の公園へと移動した。
他の住民に迷惑が掛からぬ様、わざわざ別の次元空間をレイは用意してくれた。
『立会人として、このミハイルが実況を務めさせて頂きます。解説はみんな御存知ドロシーさんです。宜しくお願いします』
『どうも、ドロシーです。今日も政宗君を応援しちゃうぞっ』
『どうやらドロシーさんの注目選手は政宗選手のようです。 ドロシーさん、対戦相手のレイ選手はどういったファイターなんでしょうか?』
『レイは天界でもトップレベルの剣の使い手よ。中でも彼女の居合いは、未だ誰にも破られていないそうよ』
『それは是非とも見てみたいですね。おっと、そろそろ試合が始まるようです。両者共に真剣な眼差しで相手を睨みつけています』
妙な二人組がやたら目障りだった。
『ん? 何やら両者コソコソと会話を始めてしまったぞ? どうしたんでしょうか? おや、今度は二人がこちらに近付いてきた』
恐い表情で二人組の前に立った政宗とレイ。
『アンタ達、いい加減にしなさいよ?』
『超人の試合じゃないんだから命懸けの戦いに実況とか必要ないから』
二人組はショボンとしてその場に正座をさせられた。
改めて二人は互いに睨み合った。
今、ドロシーの帰還を掛けた戦いが始まろうとしていた…。




