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オズと召喚士  作者: 森ハム
第2章 〜 神様地上生活編 〜
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おかえり

ドロシーは語った。 雫を救う唯一の方法を…。


内容はとても単純な物だった。


『全身にアザが広がる前に契約をした悪魔を倒すの』

『それだけ?』

『そ、それだけ』


神の力を以ってすれば悪魔を倒すなんて容易いだろう…。

問題は何処にその悪魔が居るのか? だ…。

ドロシーが言うには、そう遠くには居ないらしいが…。


『死んだら魂を食しに来るはずよ。だから居るとしたら病院の中か周辺ね』


政宗とドロシーは悪魔を探す事にした。

エイラは雫の容体の監視のため、病室に残る事になった。



『………で、何で手を繋いでいるんだ?』

『だって政宗君とのお散歩なんだもん』

悪魔探しとは思えない程にルンルン気分のドロシーに対し、彼女の事を知らない政宗は苛立っていた。



病院の中はある程度歩いたが悪魔らしき者の気配は無かった。

だとすれば、病院の外…。


病院の外に出ると夕方だった。


病院の隣には公園が有り、ドロシーは公園の池まで走っていった。


『ねぇねぇ政宗君、アヒルが居るよ〜。グワーーーッ』


ドロシーは

政宗を手招きして呼んでいた。


『俺達は遊びに来たんじゃないんだぞ!!』


ドロシーに近付いて歩いている時、池の片隅に黒いアヒルの姿を見つけた。


『アレ、何か変じゃないか?』

政宗が指差すとドロシーは言った。


『うん、アレで間違いなさそうね』


政宗達は黒いアヒルの方へと近づいて行った。


『貴方ね、雫ちゃんと契約をした悪魔は!?』


すると、黒いアヒルは池から上がり姿を変えた。


黒くて強靭な身体、鋭い爪、長い尻尾、角、そしてコウモリの様な翼。

いかにも悪魔らしい姿をしていた。


『俺の妹に手を出すな!』


悪魔は少し考えると、こう言った。

『妹?………あぁ、あの娘か。それは出来ない相談だ』


やはりそう簡単にはいかなかった。


『あの娘は俺と契約を交わした。いわば、ギブアンドテイクってやつだ』

『契約?』


『そうだ!あの娘は事故が起きた時に願ったのさ。お兄ちゃんを助けてってな』


(どういう事だ?俺を助けて…だと?)


『お前は良い妹を持ったな。あの時のお前は悪魔の俺でさえドン引きする程グシャグシャだったからな』


(俺がグシャグシャ!?)



『誰か助けて…。私はどうなっても良いから誰かお兄ちゃんを助けて!!』

泣きわめきながら雫は助けを求めた。

そして、この悪魔がその願いを聞き届けたのだった。



政宗は両腕を抱え、震えながらその場に座り込んでしまった。



『俺のせいだ…俺が全部いけなかったんだ…。 …何でだよ…俺なんかより自分の命の方が大事じゃんかよ…』



………ウワァーーーーーーーッッッッッ!!!!


政宗は叫んだ。


『政宗君、落ち着いて!アイツを倒せば全て丸く収まるんだから!』


そうだ…アイツを倒しさえすれば雫をは救われる。


政宗は立ち上がった。


『頑張れ!政宗君!』

ドロシーは政宗を応援した。


………?


『………?あれ?アイツを倒してくれるんじゃないの?』


政宗は悪魔を指差しながらドロシーの方を向いた。


『地上では力を使う事は禁止されてるの。だから戦うのは君だよ、政宗君!』


…………!?


なんという事だろうか…。

神に全て任せればどうとでもなると思い込んでいた政宗はいきなり窮地へと追いやられてしまった…。



『戦うって言ったってどうすりゃ良いんだよ。あんなのに普通の人間が勝てる訳ないじゃないか!!』


ドロシーは政宗に微笑んだ。


『大丈夫だよ。政宗君の失われた記憶を蘇らせるから』


『俺の…記憶…?』


『そうだよ。政宗君は戦う術を知っている。その為の記憶』


ドロシーは政宗を指差した。

『ただし、それに伴う対価は支払ってもらうから』


それを聞いて政宗は驚いた。

『対価!?』

『そうだよ。まさか、タダで済むとか思ってた?』


政宗は悩んだ。

(雫の命が掛かってるんだ!でも、そんなの支払えるのか?)


悩みに悩んで腹を決めた。


『わかった。借金してでも支払ってやらぁ!!』


それを聞いたドロシーはクスクスと笑った。


『支払ってもらうのはお金じゃないよ〜。う〜ん、そうだな〜デート1回でどうかな?』


デート1回!?それはジャ○ネットもドン○ホーテもビックリだ!!


政宗に断る理由なんて無かった。


『あぁ。デートなんか何回だってしてやる。雫を助けたいんだ。頼む』


政宗が頭を下げるとドロシーは、政宗の額と自分の額をくっつけた。


『今から貴方の記憶を呼び覚まします。でも気を付けて…。失敗すれば意識は戻らないから』

『い、意識!?』


政宗の頭を優しく撫でてドロシーは言った。


『大丈夫。君なら出来るよ私は信じてる』


政宗は光に包まれた。



気が付くと政宗は暗闇の中を立っていた。


見回しても何も見つからない…。

とりあえず歩いてみる事にした。



あれからどれくらい歩いただろう。

何処まで行っても暗闇が続くだけだった。


歩き疲れたのでその場に座り休む事にした。


記憶を取り戻すといってもそもそも記憶を無くした記憶がない。

いや、記憶が無いからわからないのか…。


『あーーーっ、せめて手掛かりでも有ればなぁ…』

政宗はその場に寝転んだ。


その時、急に何もかも投げ出したくなってしまった…。


(なんか…疲れたな…)


そのまましばらくボーッとしていた。



(そういえば…ここから出たら化物と戦わなきゃいけないんだよな…戦う為に記憶を取り戻すとか馬鹿らしい…誰が好き好んであんなのと戦うかよ…)



周りが暗いせいか政宗の心も暗くなっていった。



……………。

……………。

……………?



(何で俺はこんな所へ来たんだっけ………?)


(………そうだ……記憶を取り戻す為だ……)


(………どうして記憶を………?)


(………悪魔を倒す為……)


(………どうして倒す………?)



……………。

……………。

……………!?



(………し……ず…く)


(……!!…そうだっ!!雫を救う為に記憶を取り戻して悪魔を倒すんだった)


ガバッと起き上がり、政宗の心は光を取り戻した。

すると、辺り一面暗かったのが嘘の様に明るくなったのだ。


政宗の周りに掌に軽く収まるくらいの玉の様な物がフワフワと浮かんでいた。

掴んでみると政宗の手の中に消えていった。


(コレは………グリンダ……?)


次々と政宗は玉を掴んだ。


(コレは…エヴァノラ。こっちはジャンヌ)


どんどん玉を掴み記憶を取り戻していった。


『うわっ!!思い出したくない物まで思い出してしまった!!』

それは、老婆の膝枕………。


そして最後の1つを手にした。


(コレは……………トト)


グッと拳を握った…。


政宗の目の前が眩く輝きだし目を瞑った。



政宗が目を開けると目の前にはドロシーが居た。

記憶を取り戻し政宗は戻ってきたのだった。


『おかえり、政宗君』

ドロシーが微笑む。


『あぁ、ただいま』

政宗も微笑んだ。


暗闇の中に長い時間居たはずが現実では時間は数秒でしか無かったらしい。

例えるなら、うなじに機械を付けた少年少女のヴァーチャル格闘ゲームみたいな感じだろう…。



記憶を取り戻した政宗は気分爽快絶好調。

神と互角に戦った政宗にとって下等悪魔なんて敵ではない。


『今は少し気分が良い。雫を諦めるなら見逃してやる』

政宗は悪魔に情けを掛けたが悪魔は笑っていた。


『ヒーヒッヒッヒッ!人間がこの俺を見逃す?食料でしかないお前達がか?ヒーヒッヒッヒッ』


どうやら諦めてくれるつもりはサラサラ無いらしい。

政宗はゆっくりと歩き出した。


『そんなにゆっくりとしていて良いのかな?』

悪魔は政宗に襲い掛かってきた。

しかし、ソルと戦った政宗にとって、そのスピードはとても遅く感じた。 ………のだが、避ける事が出来なかった。


そのため、政宗は吹っ飛ばされてしまった。


『ヒーヒッヒッ!口程にも無い奴め。せっかく妹が救った命を無駄にしやがって』

悪魔が勝ち誇っていると政宗は立ち上がった。

シールドで悪魔の攻撃を防いでいたのだった。


『ん?まだ生きていたか運のいい奴め』

再び悪魔が襲い掛かる。


政宗は今度こそ避けようとしたが、やはり避ける事は出来なかった。


(何であんな攻撃が避けれない…?)


政宗は考えた。


(………!?そうかっ!!)


政宗は気付いた。

この時代と未来では地球の引力が違う。

未来と違い、現代では普通の人間と動きは変わらないのだ。


どうした物かと考えていると、携帯が鳴り出した。

病室に居るエイラからの着信だった。


『大変!雫ちゃんの痣(あざ)がもう少しで全身に広がりそうなのっ!』

『わかった。丁度、悪魔と戦ってる最中だ…。とっとと倒して直ぐに向かう』


電話を切ると政宗は立ち上がった。


『しぶとい奴だな…。今度こそ終わりだぁーーーっ!!』

悪魔は鋭い爪で斬り掛かってきた。


『悪いけど…あまり時間が無いんだ』

政宗は右手を左腰に置き、腰を落とした。


次の瞬間、斬り掛かった悪魔の腕を斬り裂いた。

見様見真似の居合いを成功させたのだ。

斬り掛かってきた瞬間、政宗は素早く腕を振り一瞬にしてシールドで刀を創り出したのだった。


『腕がーーーっ!俺の腕がーーーっ!』


悪魔は斬られた腕を抑えながら上空へと逃げ出した。


未来なら軽く跳び、近付く事は容易く出来たのだが現代ではそうもいかない。


だから政宗は見えないシールドで悪魔の行く手を阻んだ。

しかし、そうとは知らない悪魔はどこかへ逃げようとした。

だが、シールドに阻まれた悪魔は袋のねずみ。


『チェックメイトだ』

政宗は弓矢を創り出し悪魔に向かって放った。

矢が悪魔を貫くと悪魔は砂となり消えていった。


『やったね!政宗君』

ドロシーは政宗に抱きついた。


『ドロシーのお陰だ。ありがとう』

政宗は嬉しそうに微笑んだ。


『そうだっ!!雫の元へ急がなきゃ!!』

病室へ向かい政宗は走り出す。

もっとドロシーは抱きついていたかったが渋々政宗を追いかけた。


病室に入るとエイラは泣いていた。


『雫はどうなった!?』

政宗はエイラに慌ながら問いかけた。


しかしエイラは黙ったままだった。


『エイラ!なんとか言ってくれ!』


エイラは政宗を見つめると口を開いた。


『雫ちゃんは……もう……』


そのままエイラは黙ってしまった。


『……………そ…んな…。嘘…だろ?なぁ!嘘なんだろ?嘘って言ってくれよっ!!』

絶望に満ちた政宗はその場に崩れ落ちてしまった。


そんな政宗を心配してドロシーは政宗の肩をポンッと叩いた。


『政宗君……………雫ちゃん………生きてるよ?』

『え?』


確かに雫は生きていた。その証拠に口をモゴモゴさせていた。

身体に痣(あざ)は無く、ただ寝ているだけらしい。


『エイラ?これはどういう事だ?』

政宗はエイラを睨み付けた。


『ん?何が?』

エイラは何の事か理解していなかった。


『さっき雫はもう…って言ったよな?』

『うん、言ったよ?』

エイラはきょとんとしている。


『じゃあ何で雫は生きているんだ?』

ニッコリと笑う政宗だったが、その顔は引きつっていた。


『あぁ〜、もう大丈夫って言おうとしたんだよ。だから嘘って言わなかったんでしょ?まさか、勘違いしてたの?ダッサ〜』

クスクスとエイラは笑いだした。


等々政宗の怒りは爆発した。

『エイラーーーッ!!』

『病院ではお静かにっ!!』


こうして雫は助かり、騒がしい一日が幕を閉じた。



ー 2日後 ー



雫は一通り検査を終え退院する事になった。


政宗は雫と共に家に着くと扉を開けた瞬間固まった。


『………何でお前が居るの?』

そこにはドロシーの姿が有った。


『あ、おかえり〜。しばらくこの家で世話になる事にしたから宜しくね、政宗君』

ドロシーはニッコリと笑った。


『はぁ〜〜〜〜〜〜〜????』


どうやら、これから騒がしい生活が始まるようです。

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