神様の証拠
政宗達の目の前に突如現れたのはドロシーだった…。
ドロシーの記憶を亡くしているため政宗は何が起こったのかよく理解できなかった。
しかし、エイラは理解していたらしく堂々としていた。
『ドロシー様、お久しぶりです』
エイラはドロシーと面識が有るようだ。
『あら、エイラも久しぶり。元気そうじゃない』
『はい、お陰様で』
仲良く話をしている二人をよそに政宗はまだ状況を飲み込めていなかった。
『アンタいったい何処から現れたんだ!?てゆーか何で俺の名前を知ってるんだよ!?』
ドロシーは微笑みながら答えた。
『私はドロシー。政宗君、貴方のか・み・さ・ま…だよ♪』
久々に政宗に会ったせいか、壊れ気味のドロシー。
政宗は雫の事もありは相当苛立っていて、そんな冗談みたいな事をすぐには信じなかった。
『アンタが神様だって?笑わせる…。だったら証拠を見せてみろよ』
政宗がそう言うとエイラはさっきまでと違い堂々と振る舞った。
『何処の馬の骨とも知らない輩が気安くドロシー様に話しかけないで下さいます?』
鬼に金棒もとい、シスターに神様と言ったところだろうか…エイラは偉そうに政宗の前に立ちはだかった。
『エイラ、その人は良いの。私の大事な人だから』
『は、はい。失礼しました』
エイラはドロシーに頭を下げたが横目で政宗を睨みつけていた。
ドロシーは考えていた。
証拠と言われても名刺なんて持っていないし、仮に持っていたとしても信じる人など何処にも居ないだろう…。
『そうだっ!!』
ポンッと手を叩くとドロシーはエイラに腕を前に出すよう命じた。
『こ、こうですか…?』
次の瞬間!
『そいやっ!!』
エイラの腕を掴みそのまま膝蹴りを食らわした。
『ギャーーーーーッッッ!!!!』
ボキッと鈍い音が聞こえたと思ったらエイラの腕はブラブラとしているではないか!!
どうやら、この自称神様はエイラの腕の骨を折ったらしい…。
『な、何してるんだっ!?』
さすがの政宗もこれには驚いた。
『そうですよっ!ドロシー様これは一体?』
エイラもドロシーに詰め寄り問いただした。
『心配ないわよ。痛みは感じないようにしたし、ホラっ元通り〜』
ドロシーがエイラの腕に触れると、すっかり腕は治っていた。
『どう?信じてくれたかな?』
政宗は今の現象を目の当たりにして驚き、目を丸くして口を開けていた。
『ト、トリックだーーーっ!!何か仕掛けが有るに違いないっ!』
政宗は格闘チャンピオンみたいな事を言い出した。
『じゃあもう一回…』
ドロシーがそう言うとエイラは腕を背中の後ろに隠しブンブンと激しく首を振っていた。
『ほ、本物の神様なのか…?』
『本物だよ』
『本当に…?』
『本当だよ』
すると、政宗はいきなり土下座をした。
藁にもすがる気持ちでお願いした。
『頼む、妹を助けてくれ。俺はどうなっても構わない。だから、妹を…助けて下さいっ!!』
泣きながら政宗はドロシーに頼みこんだ。
政宗の前にエイラが立ち、ドロシーの代弁をするつもりで言った。
『アンタみたいな失礼な者の頼みを何故聞かなきゃならないのですか?分をわきまえなさい』
『良いよ』
『へ?』
アッサリとドロシーはOKしてくれた。
『ドロシー様、どうして?』
エイラは納得いかなかった。
『言ったでしょ?私の大事な人だって』
ドロシーは優しく微笑んでいたがエイラは剥れていた。
実際に政宗の妹に会ってみないとどうする事も出来ないという事で、政宗は再び病院へとドロシーと共に訪れた。
ドロシーのお目付役という理由でエイラまでも不本意ながら着いてきたのだった。
ジッと雫を見つめるドロシーの目は真剣だった。
フゥーッと息を吐くとドロシーは言った。
『私にはどうする事も出来ないわ』
『アンタ神様なんだろ?だったら何でも出来るんだろ?』
政宗はドロシーに縋り付いた。
『これを見て』
ドロシーは雫の身体を指差した。
『このアザは悪魔との契約による物なの。このアザが全身に広がった時、残念だけどこの子は死ぬわ』
(雫が…死ぬ!?)
悪魔との契約とか意味がわからなかったが、それどころではなく、政宗は雫が死ぬと聞いてその場に座り込んで絶望していた。
『一つだけ助かる方法は有るの…でも…』
雫が助かる方法は有った。
だけどドロシーは迷っていた。
『頼む、その方法を教えてくれ』
ドロシーの腕を掴み政宗はお願いした。
だが、ドロシーは目を背けてしまった。
『いい加減になさい!いい年してみっともないと思わないの』
エイラはドロシーから政宗を引き離そうとした。
それにしても人の命が掛かってるのにエイラはブレないなぁ…。
『みっともなくたって良い。雫が助かるなら何だって俺はする!!』
政宗はドロシーにしがみついて離れない。
『いつも、そうだったよね…。私が困っていた時もそう…。誰かのために………。良いわ、教えてあげる』




