安倍晴明(あべのせいめい)
パンドラはジャンヌに任せ教会へと向かう政宗達。
教会に向かうに連れ霧が晴れてきた。
改めて周りを見回すと薄気味悪い感じがした。
とても広く大きな街なのに人が誰一人と居ないのだから当然の事かもしれない。
『ねぇ、さっきから街のあちこちに紙が貼られているんだけど何かな?』
よく見ると確かに紙だらけであった。
よく見ると難しい文字が書かれていたのだった。
『これって御札じゃないのか?よくわからんけど』
『確かに御札ね。何でこんなに?』
紙は全て御札だった。
『説明致します。コレは符術に使われる御札です。おそらく、何者かがここにトラップを仕掛けた物と思われます』
ジークは丁寧に教えてくれた。
『そうかトラップか………トラップ!?』
気付いた時には遅かった。
政宗達は光の檻に閉じ込められてしまった。
『知ってたんなら教えろよ!って何一人だけトラップ回避してんだよ!!』
振り向くとジークはちゃっかり光の檻の外に居たのだった。
『聞かれていませんので』
『聞くも何も知らなかったんだよ!!』
無知とは時に残酷也。
『それにしてもコレは一体誰の仕業なんだ?』
『ワタシのデータには有りません』
御札をジッとドロシーは見てドロシーは何かに気が付いた様だ。
『わかったわ………居るんでしょ?出て来なさいよ』
ドロシーは大声で呼び掛けるが返事は無かった。
『居るのはわかってるのよ!【晴明】!!』
晴明?何処かで聞いた事はあるが政宗はピンとこなかった。
『おや?バレてしまいましたか。ゆっくりと始末するつもりだったのですが、まぁ良いでしょう』
和服を着た男が現れたのだった。
『お初にお目にかかります。私【安倍晴明】と申します。以後宜しく』
晴明は丁寧に自己紹介をしてくれた。
何処かで聞いた事が有ると思えば有名な陰陽師の名前だった。
『それにしてもよくお分かりになりましたね』
『こんな符術は貴方にしか出来ないもの』
『主?どなたとお話をされているのですか?』
ドロシーと政宗は驚いた。
『ジークには見えて居ないのか?』
『見える…ですか?ワタシのカメラにはナニも?センサーにも反応は有りません』
『まさか、霊体!?』
『御名答。私は肉体を持ち合わせておりません』
今日のドロシーは珍しく鋭かった。
『さて、私はとりあえずこのガラクタを片付けますので貴方達はゆっくりと観ていてくださいね』
晴明はジークの方へとゆっくり歩き出した。
『あ、そうでした。その結界の中は少しずつ生命力が奪われます。晴明なだけにね』
上手いこと言ったつもりだろうが今の発言を聞いて笑えるはずがなかった。
『アハハハ!晴明だけにって〜』
笑えるはずがないのだが、神は器が違ったらしい。
『こんな物!俺が壊してやる!』
政宗は能力を使おうとしたが何も起こらなかった。
『無駄ですよ。その結界の中はどんな力も無力化します。寿命を少しでも伸ばしたければ大人しくしていなさい』
晴明は微笑んで忠告した後、呪符をジークに向けて飛ばした。
「ドカーン」呪符は爆発した。
煙の中にはジークの影が見えるが無事かどうかは定かでは無かった。
『今の爆発は一体?』
ジークは無事だったが何が何だか理解出来ていなかった。
『おや、意外と頑丈ですね。では、これならどうです?』
晴明は呪符を大量にジークへと飛ばしたのだった。
『ジーク逃げなさい!これは命令よ!!』
その声がジークへと届く前に呪符は爆発しジークに直撃した。
爆発は先程とは比べ物にならないくらい凄まじかった。
煙の中ではバチバチと火花が上がっていた。
火花はジークの身体から上がっていたのだった。まさにショート寸前。
『主、…申し訳…有りません…その命令は…きけ…ません』
ジークが主の命令に背くのは生まれて初めての事だった。
『欠陥品でも構い…ません。処分しても構い…ません。私は…アナタを…助けます!!』
ガタガタに成った身体を動かしジークはドロシーの方へと歩き出した。
『無駄な事を』
晴明はガタガタのジークにもう手を出すつもりは無いのか様子を只伺っている。
『ワタシは…前の主に優しさを…教えて…もら…いました。そして…アナタ達には…楽しさと…喜びを…教えて…もら…いました。そんな…アナタ達に…ワタシは…恩返しを…したい………』
ジークの身体はそこでバラバラに崩れてしまった。
『ジークーーーーッ!!』
崩れ去ったジークに向け政宗は叫んだ。
しかし、もうジークには何も聞こえてはいなかったのだった。
『ヤレヤレ感情の無いガラクタの分際で人間の真似事とは』
晴明はそう言ってジークの取れた頭を蹴っ飛ばした。
この時政宗の怒りは爆発した。
『感情の無いガラクタだぁ?テメーの目は節穴か?テメーの耳は只の飾りか?テメーの心はハリボテかーーーっ!!!!』
政宗は結界の檻を殴りつけた。
『無駄と言ってるじゃないです…か!?』
晴明は目を疑うような光景を目の当たりにした。どんな力も受け付けない筈の結界にヒビが入っていたのだった。
政宗がもう一度殴ると結界は砕けて消えた。
『お前は俺が倒す!!』
ついに政宗は動き出した。




