裏切り
牙王は一人取り残されオーディンと戦う事を選んだ。
神話ではオーディンはフェンリルに食べられるとされている。牙王の中の本能がオーディンと戦えと告げるのだ。
『我も最初から本気で行かせてもらおう』
オーディンはスレイプニールと融合した。
『ギリキンでは遅れを取ったが、今日は…!!』
喋っている最中にトトはいきなり襲い掛かったがオーディンは紙一重で避けた。
『躾がなっていないようだな』
『主が主だから…なっ!』
『それは…言えてるっ!』
互いに攻防を繰り返しそんな事を言っていた。
あらあら、二人はなんだかとっても楽しそう。
『オーディンよ、主を替えてみる気はないか?』
『それも、楽しそうだ。だが、我に勝てたら考えよう』
オーディンはすっかり政宗達を気に入ってしまった。
しかし性格上無闇に主を替える事はしなかった。
オーディンは距離を取ろうとするが接近戦を得意とするトトはそうはさせなかった。
「ズガーン」
オーディンは雷を落としなんとか距離を取る事に成功した。
オーディンが距離を取ったのには理由が有った。
もう一度あの攻撃を受けてみたかったのだ。
そう、躱しかわすたはずが躱しきれていなかったあの攻撃を。
トトは力一杯に爪で空を裂き斬撃を放った。
『これだ!これを待っていた!』
オーディンはギリキンの時と同じ様に攻撃を躱した。
やはり攻撃を躱したにも関わらず腕から血が流れた。
『なる程、空気の振動によるダメージか…』
謎が解け口元が緩んだ。
『次はこちらの番だ!ヤツを貫けグングニルッ!!』
持てる限りの力でトトに向けてグングニルを放った。
トトは爪を前に向けた。
グングニルは放てば確実に相手に命中する。それを受け止めるつもりなのだろうか?
いや、ワザと攻撃に当たりに行ったのだ。
避けても命中するのなら自分から当たりに行けば良いのだ。爪のようなダメージを受けない箇所で。
『トトよ、見事だ。その様な方法が有ったとは!…我の負けだ、好きにしろ』
『なら俺達の仲間に成るといい』
『そうだな、負けたのだから仕方がない』
オーディンは嬉しそうにしていた。
トトがオーディンに手を差し伸べるとオーディン手を伸ばしたその時の事
『ぐ…か、身体が、熱い』
まるで血液が沸騰するかの様に身体が熱くなりオーディンから炎が湧き出てきたのだった。
トトの背後からコツコツと足音が聞えた。
『裏切りは、許さないよ』
ニコニコ笑いながらそこには少年が立っていた。
『ソル…さ……ま』
少年はソルだった。
次の瞬間オーディンは燃え尽き灰と化していた。
『やぁトト、初めましてだね』
ソルは無邪気な顔で微笑んだ。




