切り札
彼は心を持たない。ただ命令に従うだけの機械。
命を刈り取る為だけに造られた人型兵器コードGー9。
人工知能を持つが全ては闘い抜く為の物。感情とは程遠い物だった。
彼は闘い続けた。
だが、戦争は終わった。
彼の役目は終わりを告げた。
暗い部屋にただ置かれるだけの存在だった。
そんな彼の前に一人の女性が現れた。
ただ人を殺す為だけに造られた彼だがそれ以外の仕事を与えられた。
そして毎日メンテナンスもしてもらえた。
いつしか彼女により彼は心を知った。
しかし、人の命は儚い物。時は経ち彼女は老いぼれ彼を残し命を落とした。
彼は悲しみを知った。主を無くした悲しみを。
いつしか彼は願った。再び彼女に会いたいと…。
ー ウインキー城 ー
トト、ジャンヌ、牙王がギリキンで負傷しウインキーに逃げてきたがギリキンからジークが追いかけてきた。
『俺がアイツを何とかする。だからみんなを頼む』
政宗は一人でジークと戦おうと城の外へと出ていった。
ジークは政宗を見つけると手を外し蟹のハサミの様なパーツを装着した。いや、蟹のハサミというより仮面を付けた兵隊の水中戦型兵器の手みたいだ。
政宗は能力で剣を創った。
正直なところ、政宗は一人で勝てる自信が無かった。だから針状の見えないシールドを自分とジークの間にいくつか仕掛けたのだった。
しかし、ジークはそれらを探知して破壊した。
『シールドを軽々と破壊しやがって化け物だな』
政宗は焦った。次々とシールドを破壊しジークは近づいている。
今回ばかりは死を覚悟して戦うしかない。そう思った。
『あぁ〜こんな事なら積みゲー崩しとけば良かった〜』
『私も積みゲーだらけなんだよね〜』
『だよな!いつの間にか気付くと………って?』
政宗の横にドロシーが居たのだった。
『えへへ、来ちゃった』
彼女が彼氏の家に急に押し掛けて来た時の様な言い方だ。
ドロシーは負傷した三人を魔女達に託し政宗を追いかけてきたのだった。
しかし、これはチャンスだと政宗は思った。
RPGなんかでは機械は魔法に弱いのが多いからだ。
『ドロシー、雷系の魔法だ!』
『わかった』
ドロシーは魔道書を開きジークに雷を落とした。
『あれ!?魔法陣は書かないの?あといつもの呪文みたいなのは!?』
『予め魔法陣はこの本に書いておいたの。いちいち書くのも面倒でしょ?あとね、あの呪文はと言いますと…格好つけてただけで本当は必要なかったの』
ドロシーは頬を軽く赤く染めて言った。少々恥ずかしかったらしい。
ドロシーの雷が直撃したジークは動きを停めた。
『やったか?』
おっと定番中の定番フラグがたった今立ちました!!
『エネルギーチャージ完了』
ジークは電力の補給をしていたのだった。
『ドロシー、今度 は水系の魔法だ』
ドロシーは水系の魔法を使ったが、防水加工をしてあった為ジークには無意味だった。
『ドロシー、たいあたり!!』
『さっきから私の扱いがボールに入れられてるモンスターなんだけど!!』
ドロシーはいうことをきかない。
『それにしても魔法が通用しないんじゃ接近戦しかないか…』
政宗がボヤくとドロシーは自信有りげな顔をしていた。
『まだ私には切り札が有るわ』
政宗は期待したが、すぐにその期待は裏切られた。
『私のとっておき!!召喚魔法!!』
確かドロシーが召喚出来るのは政宗と…
『いでよ!!老婆!!』
老婆でした。
『人質よ!これで手出しできないでしょ』
神様は悪魔へと化した…。
『馬鹿か機械相手に通用するか!?』
するとジークは動きを停めたのだった。
『マ、ス、ター』
ジークは手のパーツを元に戻しながらフラフラと少しずつ近付いてきた。
『マスター』
ジークはマスターと呼んでいた。
『マスタード?ワシはそんなハイカラなもんは使わないよ』
老婆は訳の分からない事を言っていた。
『マスター』
ジークが老婆をマスターと認識しているのか、それとも老婆がボケてるだけなのか解らなかった。
だが、ジークは老婆の手を優しく握っていた。
『何だい?この子は?』
『マスター会いたかった』
ジークはジッと老婆を見つめて動かない。
『おや、ジークじゃないか。もうご飯の時間かい?』
どうやら本当にマスターらしい。
ジークはそのまま機能を停止した。
ドロシーはしばらく老婆をそのまま召喚する事にしたのだった。




