グングニル
牙王は走った。向かって来る敵を払い除け、ただひたすらに王の元へ。
『牙王さん!!』
牙王を呼び止める声がした。
『お久しぶりです。僕ですジャッシュです』
そこに居たのは、かつて牙王の部下だったジャッシュが立っていた。
『牙王さん来てくださったのですね。お気付きだと思いますが、もうあの頃の仲間達は……』
『俺が居なくなってから何があった?』
牙王は俯くジャッシュに事情を聞いた。
『王に逆らう者は皆……殺されました……』
牙王はショックを受けた。しかし、それよりも怒りが収まらなかった。
その時の漢の顔は鬼の如く強張り、赤き髪は逆立ち、まるで百獣の王ライオンを思わせる。
『何て事を……待っていろ【ロザン】!!』
ー その頃の政宗達 ー
『スレイプニールよ、我と一つに!』
オーディンの身体は眩い光を放った。
光が治まると、オーディンはケンタウロスの様に腰から下がスレイプニールの体になっていた。
スレイプニールと融合したオーディンは、空中を走り出した。
空から槍を放つつもりか、槍を構えた。
『我が槍【グングニル】その身で受けてみよっ!!』
雷鳴と共にオーディンは、グングニルを政宗に向け放った。
『そうはいくかっ!!』
政宗はシールドを何重にも貼った。
しかし、グングニルはシールドを貫いた。
次の瞬間、そこにトトが飛び込んできたのだった。
グングニルはトトの体を突き刺した。
『トトーーーーーーッ!!』
政宗の叫び声はこだました。
ー 王の間 ー
『久しいな……牙王』
牙王は嘗ての友、ギリキンの王【ロザン】の元へと辿り着いた。
『ロザン貴様どういうつもりだ』
『久しぶりに会った友に言う最初のセリフがそれか……。相変わらず元気なようでなによりだ』
王座から立ち上がり、牙王へとゆっくりと近付いてきた。
『……何故、皆を殺した!? ……何故、民を苦しめる!?』
涙で滲んだその瞳で、牙王はロザンを睨み付けた。
『国を捨て、友を裏切った貴様が何を言うかっ!!』
ロザンは大声で怒鳴り、牙王を睨み返した。
『…………それは、すまなかったと思ってる』
それ以外の言葉は出てこなかった。牙王は強く拳を握り下を向いていた。
『俺はあの時、貴様と闘うのをどれ程……』
ロザンは拳を横に振り、壁を思いっきり叩いた。その手からは、血が滲み出ている。
『……今、再び俺にチャンスをくれないか?』
牙王は目を閉じ、静かに身の丈程の大剣を構えると、大きく目を見開いた。
『王の座を賭けて俺と勝負しろ!! ロザンッ!!』
ロザンは腰から剣を抜き片手で構えた。
ロザンの願いがようやく叶ったのだった。
『この時をどれ程待ちわびた事か……。良かろう、ゆくぞ牙王っ!!』
『ロザンーーーーッ!!』
刻はきた!! 今、あの日の約束が今、果される!!




