かかしとツインテール
盗賊とは仮の姿。奴等はセオドラの部下だった。
姿を見られたら、きっと戦闘は避けられないだろう。政宗達はより慎重に行動する事にした。
幸いにも索敵能力の優れたトトが居るため回避は不可能では無さそうだ。
『トト、聞こえるか? 聞こえてたら合図をくれ』
普通の人では聞き取れない程小さな声で政宗は喋った。トトは不自然にその場で急に軽く飛び跳ね合図した。
『その合図は止めておけ……。とにかく、奴等は俺とドロシーの顔を知っている。近付いてきたら教えてくれ』
軽くトトは頷いた。
食料庫に来ると、
『さぁ荷物を下ろすのを手伝ってくれるかね?』
小人に頼まれ荷物を下ろす。するとトトは政宗の肩を軽く叩き近付いてきてる事を教えた。
『こんな時に……くそっ!』
何の手掛かりの無い今の段階で見つかる訳にはいかない。だが、荷物を下ろすのを途中で止めるとなると、却って怪しまれてしまう。
そして食料庫の扉が開いた。
『待ち侘びていたぞ。これは代金だ』
食料庫に来たのは料理長だった。奴等は近くをたまたま通っただけだったらしい。
小人は荷物を下ろし終えると料理長から代金を貰った。
『ところで、この者達は?』
『荷物を運ぶのを手伝ってくれた親切な方々です』
『そうかい、ありがとな』
そして、料理長は食料を持って部屋から出て行った。
『さて、私達も帰るとするか』
小人も部屋から出ようとした時
『私達はエヴァノラ様に挨拶をしてから帰りますのでお先に帰って下さいな』
ドロシーが小人にそう言うと、小人は感謝をして帰っていった。
『さて、これからどうするか……』
『とりあえず仲間の居場所だけでも特定しておかなきゃ』
政宗達は部屋を出て城の中を調べる事にした。
『あっちにさっきの奴等が居ます』
トトは少し先の部屋を指差した。
『じゃあ他行くぞ』
そう言うとトトは政宗の服を掴んだ。
『待って下さい。話が聞こえます』
政宗達には聞き取れなかったが、トトだけはなんとか聞き取れたようだ。
『女神ルナの使いを連れ帰るから、後で俺達の所へ連れてきておけ』
城の兵に命令していたらしい。
『どうやら仲間を連れ帰るらしいです』
『つまりチャンスは一度、出直す事は出来なさそうだな』
時間があまり無いため政宗達はより一層焦った。
ドロシーは走りだした。
『何処へ行くんだ!?』
『大体こういうのは地下牢がお約束でしょ?』
そうだった。何故その事に気付かなかったのだろうと政宗とトトは反省した。
地下牢の入り口に着くとトトは仲間の臭いを嗅ぎつけた。
『この臭い……【かかし】です!!』
『か……かかし?』
『それも政宗君が?』
『……はい、オズが与えた称号です』
『ゴメン』
あまりに酷い称号に、他の言葉が出てこなかった。
地下牢の入り口には兵が二人見張りをしていた。
『あれをどうにかしないといけないが、騒ぎ立てる訳にもいかないし』
悩んでいると、ドロシーが紙に魔法陣を書き始めた。
『闇の精霊よ、女神ドロシーが命じる。あの者達に安らぎを与えたまえ』
すると見張りをしていた兵達はその場で眠りに付いた。
『さぁ、行きましょ』
政宗達はドロシーに続いて地下牢へと入って行った
牢屋の中には銀髪の女性が十字架に縛り付けられ眠っていた。
『彼女はかかし、名は【ジャンヌ・ダルク】』
『ジャンヌ・ダルクだって!?』
政宗とドロシーは驚き、つい大声を出してしまった。
確かに十字架に縛り付けられたその姿はまるで【かかし】の様だが、だからといって【かかし】は酷いと思った。ま、それでも政宗が与えたのだが……。
『貴方達は誰なのですか?』
ジャンヌは目を覚ました。どうやらトトを見ても誰だか解らないらしい。つまりトトとは違う時間軸から召喚されたらしい。
『俺達はアンタを助けに来たんだ』
『帰って下さい。私はそんな事を頼んだ覚えは有りません』
ジャンヌは拒んだ。
『何でだよ。助かりたくないのか?』
『助けるだと? どうせ貴様らも私を裏切るのだろう? 異端だと私を罵った者達の様に!』
ジャンヌの瞳は怒りに満ちていた。
『私にもっと知恵が有れば処刑される事も無いのに! 私は脳が欲しい……』
ジャンヌは激しく泣いていた。
先程、政宗達が大声だしたせいで地下牢へと誰かがやってきた。
『番人は眠っているし、牢屋では騒がしいし、一体何事かしら?』
そこに現れたのは、黒髪ツインテールの細身の少女だった。




