表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/97

第40話:これも一つの修羅場ですか?

 


 不機嫌さ全開で登場したカッツェさんは、トールさんを睨みながらテーブルの前までやって来た。


「寿命に関してはデリケートな問題だから落ち着いたら話をしようと思っていたのに、緑龍の長殿は何を考えていらっしゃるんですか?

 相手はまだ子供なんですよ?」


 丁寧な口調で怒りを露にしている様子ってこんなに怖いんだね。

 なんて他人事のように考えるあたしの心とは裏腹に、身体はこれから起こる事に対する警戒心で毛が逆立っている。

 それなのに、年の功なのかトールさんは飄々としている。


「子供といっても外見だけじゃないか。元々は22才。君より年上だ。

 ならば早く教えて考えさせなきゃダメだよ。重要な事なんだからね」


「重要だから慎重にしていたんです!それなのに『眷属にしてくれ』なんて私を差し置いて言い放つなど言語道断です!」


 ん?ちょっと待って。怒るポイントが違う気がするのだけど……


「それについては別に君に許可を得る必要はないと判断したんだけどなぁ。

 眷属は主と同じ寿命になる。長い時を一人で過ごすのは酷だからね。せめて私ぐらいはミレイさんに付き合うべきだろう?」


「それは私が神子にお願いしようと思っていたので心配は要りません」


 な、なんですと!?聞いてないよ、それ!

 いや、今は言うつもりがなかったみたいだから聞いてなくて当たり前なんだけど……


「待て、カッツェ。君は長く生きるという意味を理解しているのかい?」


「理解していますよ」


「理解しているのならば、そんな決断には至らない。

 君はまだ20年も生きていないから軽々しく言っているに過ぎない。親しい者に置いていかれる辛さは解らないだろう?」


「貴方を目の前にして解るなどと決して言うつもりはありません。

 ですが、神子と私は友人です。友人なら苦しみを分かち合うものでしょう?」


 いや、友人になってくれと言ったけど、そこまで重荷を負わせるつもりはないよ。


「それに、この人は放置すると何処までものめり込んでしまう。一生懸命になり過ぎて要領が悪くなる事もある。

 一人にしたらボロボロになるのは目に見えています」


 なんか然り気無くディスってない?


「ですから、私が傍にいる必要があるんです。」


「だけどね、一時の感情で決めていいことじゃない。恋人が出来た時に苦しむのは君なんだ」


「なら、作らなきゃいいだけです」


 て、いや、ちょっと待って‼


「カッツェさん、ダメ!それはダメだよ!その若さで出家するようなものだから!」


 一生恋人を作らないなんて寂し過ぎる。

 恋人いいもんだよ。

 自分の好きな人が自分を好きになってくれる奇跡なんだよ。

 とっても幸せな時間を共に過ごせる相手がいる。

 それが、どんなに羨ましい事か‼


「恋はいいもんなんだよ。リア充ライフはピンクの二人の世界でウハウハなんだよ?それを味わあなくてどうするの?人生損するよ?」


 出来る事ならあたしは味わいたいよ。ウキウキドキドキのリア充ライフ。絶対楽しいに決まっているもん。


「言っている意味がわからない。いいから神子は黙っていてください」


 って、あたし当事者だよね?

 あれ?違うのかな?


「選択権のあるミレイさんにその言い方はないんじゃないかな?」


 あたしの気持ちが伝わったのかトールさんがそう言ってくれたけど、別にあたしの気持ちを代弁した訳じゃなかった。


「ミレイさんの気持ちを無視する人間より、私がミレイさんの傍にいた方がいいと思うんだ。だから、私を選びなさい」


「こんな若作りの年寄りより、私の方がよっぽど頼りになる筈です。神子、私を選ぶべきだ」


「別に若作りしている訳じゃないんだけどなぁ。でも、年を取っている事は認めるよ。だからこそ、支えられるんだけどね?」


 その瞬間、あたしは確かに見た。

 二人の間に火花が飛び交うのを……!

 なんか、おかしい。話がおかしくなってる。

 だって、いつのまにかどちらか一人を眷属にする事が決まっている感じなんだもん。


「二人とも、取り敢えず落ち着いてあたしの話を聞いてよ。

 なんか、眷属にしなきゃいけないみたいな話の流れになっているけど、あたしはそんな気は全くないからね。

 長く生きたトールさんには普通の人生歩んで欲しいし、カッツェさんはもっとよく考えて欲しい。あたしはまだ子供だからこの先もっと魔力が増える可能性がある。そうなると殺されるとか事故に遭うとかそんな事がない限り、永遠に生きる可能性もある。

 だから、今すぐに眷属を作って同じ寿命を与えて、その人の人生を害すなんて酷な事はしたくないの。

 それが納得出来ないなら一先ず保留にしておいて欲しい。

 そんな事より、今はやらなきゃいけない事が沢山あるのだからそれを優先させてくれないかな?」


 そう。ぶっちゃけ寿命云々は早急に進めなきゃいけない問題じゃない。

 そんな事より、今は『大和国』に行って技術者を連れ帰らなきゃならないし、その後には兄さんを捜しに行かなきゃならない。

 やらなきゃならない事は沢山あるのだ。


 あたしがそう訴えると、二人は納得はしてない様子だったけど保留案には了承を得てくれた。

 保留は保留でいつかは決断しなきゃならないんだけどね。


 それを考えるだけで頭が痛い……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ