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第24話:会議の本当の目的【1】

 


 各部族の長達を説得してくれていたジェイドさんだったけれど、白龍の長の説得は難航していた。

 無理もない事だとは思う。

 だって、赤龍の民に殺されただけではなく、食べられちゃったんだから許せるわけがないよね?

 だけど、いつまでもそんな事に関わっていたらいつまで経っても前には進めない。

 だからあたしは長達の話し合いに参加させてもらう事にした。


 会合場所にはセレナさんもいた。まだまだ痩せてはいるけれど、血色が良くなってきているみたい。

 まずは療養が優先と判断して、しっかり休ませた甲斐があるってもんだよね。


 他の長達は、様々な表情であたしを見ている。

 龍人族の中では一番小さい緑龍の長はあたしを面白いものでも見るかのように眺めているし、黄龍の長は刃を鍛える職人らしく太い二の腕を組んで気難しそうな表情をしている。

 黒龍の長は明らかにあたしの外見が子供だからなのか、眼帯を着けていない方の目で馬鹿にした色を見せているし、白龍の長に至っては赤龍の民の味方をする(味方した覚えはないけれど)あたしが気に食わないらしくてめちゃくちゃ睨んでいる。


 うーん、これはちょっと骨が折れるかもしれない。


「初めましてミレイ・サトーと申します。恐らくあたしに何か言いたい事があるだろうと思い、今日は参上させて頂きました。

 何分若輩者ですので、至らぬ点はあるかと思いますが、皆様の御意見全てに答えて聞く所存ですのでどうぞ何でもおっしゃってください」


「では、私からいいかい?」


 軽い口調で手を上げたのは緑龍の長であるトールさんだ。


「神子様は、この度何故赤龍の民を助けようと思ったのか?それを教えて頂きたい」


 兄さんを捜すために青龍に頼まれたとは言いませんよ。


「この現状が酷いからです。この状況が続けば、第二の赤龍の民達が出現します。そうならないようにする為に赤龍の民を助ける事にしました」


「同胞食いをするような者達が集まる集落を助ける事があり得ないと私は判断する」


 白龍の長であるアイスさんが、横からそう口出ししてきた。


「そうさせたのは皆様です」


 あたしは切り捨てるように冷たく言い放った。

 すると、セレナさんが口を出そうと身を乗り出して来たけれど、あたしは視線で来るなと言い、アイスさんに詰め寄った。



「人口が増加し、食料不足に陥ったから赤龍の民への支援を止められた。自分の部族を守る為に取った政策なのだから仕方ない事かもしれません。ですが、見捨てられた側は死ねと言われたのと同意味です。

 同胞食い同胞殺しが龍人族にとって禁忌だと言うのなら見殺しだって同胞殺しではないのですか?」


「な、なんだと?」


 アイスさんの表情が険しくなったけれど、気にする事はない。

 寧ろその反応がなければ困る。


「皆様にお聞きします。何故、赤龍の民は救済対象だったのでしょうか?」


「あの地は、火山活動が活発で大地が暑く、草木が実らない故食べ物を分け与えるしか方法がなかった故」


 ジェイドさんの言葉に黄龍の長のハインツさんが続いた。


「ワシの集落も岩場だらけで作物の実りは殆どない。じゃが、鉄や銀が採掘出来る為、鍛冶技術を発展させる事が出来た。じゃが、赤龍の地にはそれすらもない。施すしか道はないじゃろう」


「そう。皆様、いえ、あなた方はそれを知っていらっしゃったのに、見捨てられた。

 白龍の地は海を隔たる山の標高が低い為に、草木がなんとか育つぐらいの雨が降る。緑龍の地は地熱が低いし、山の形状にも恵まれているから山頂に積もった雪が溶けて澄んだ川がある。

 赤龍の地には雨が降らない。そして湧き水は白く濁った熱い水で、人が飲めるようなものじゃない。

 草木も実らない。水もない。だから魔物さえ近付かない。そんな土地だと理解されているのにあなた方は見捨てた。

 いや、黒龍の民は魔物が捕れなければ食べ物がないから仕方がない。黄龍の民は作物が採れない。緑龍の地も作物を開墾する術を知らないから自生している実と水でやって来ている。よって、自分の民を細々と生き長らえさすのが精一杯。青龍の地は唯一外交をしている国ですが、空を飛べる者が減ったため、大量の食料を入手出来なくなった。

 全て仕方がない事だと思う気持ちはあります。ですが、それを改善させる方法が白龍の地にはあった。白龍が動けばあんな惨事は起きなかったと断言できます。

 ですから、それを怠った癖に赤龍の民を殺そうとしたのに、自分の民が殺されたと怒りを露にするアイスさん、あたしはあなたを許せない」


 そう。あたしは前に進む為にここに来た。

 説得をしに来た訳じゃない。

 あたしは、凶悪と呼ばれた視線でアイスさんを睨み付けながら話を続けた。



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