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第13話:神様なっちゃいます

 

 赤龍の龍神窟に戻ったあたしは、早速赤龍の集落であたしが滞在するという許可を求めた。

 だけど、案の定反対された。主にジェイドさんから。


「神子様に万が一の事もあってはならない。故にその願いは聞くわけにはいかぬ」


「神子様、お恥ずかしながら今の我が集落は危険と存じます」


 セレナさんまで反対するとは思ってなかった。

 だけど、ここで折れるわけにはいかない。

 飲める綺麗な水を得る事は、生きていく上で最重要だから。

 人は食事を一週間摂らなくても死ぬ事はない。

 だけど、水は違う。

 一日必要な摂取量は1kgで50ml、つまり体重60kgなら3リットルの水が必要だと防災訓練の消防士の人が言っていた。

 今、この集落に存在する水は岩肌についた泥水と硫黄がたっぷり入った白い水だけだ。

 つまり、水を至急確保しなきゃこの集落の民達は死んでしまう。

 恐らく先程のカッツェさんのドS発言も、早急に水の確保しなくてはならないと解っていたからだ。

 だからこそ、あたしはカッツェさんに目で訴えた。

 あたしが赤龍の集落にいられるように説得して欲しいと。


 すると、カッツェさんはあたしに質問してきた。


「神子。雷撃の魔法は使用出来ますか?」


 何故、この場でそんな質問をしてくるんだろう?

 その真意を理解出来ないまま、あたしは首を縦に振った。


「使えるよ。まだ、広範囲には出来ないけれど、小規模なら……」

「よろしい」


 カッツェさんは満足そうに頷くと、一歩前に足を踏み出した。


「皆さんが懸念されているのは、神子に赤龍の民達が襲いかかってくる可能性を考えていらっしゃるからという事で宜しいですか?」


「その通りだ。今、あの場所は何が起こるか判らなぬ」


 真っ先にジェイドさんが肯定すると、セレナさんも申し訳なさそうに頷いた。


「お恥ずかしながら私もそれを恐れています。今、民達は極限状態ですので、神子様のようなお小さくてか弱い御方では万が一の事が起こってもおかしくありませぬ」


 小さくてか弱いって言われちゃった。

 か弱いなんて単語が、あたしに当てはまるなんて事考えても見なかったなぁ。

 外見は確かに小さいけど。


「神子。そこは喜ぶところではありません」


 あらやだ、そんな顔してた?いかんいかん。

 あたしが口を手で覆い表情を隠すと、カッツェさんは咳払いをして話を進めた。


「確かに神子は小さい。ですが、決して弱くはございません。

 ですが、確かに私も若干の憂いはあります。

 ですので、この際神子を神格化しようと思っております」


 神格化?え?


「神子は神鳴かみなりを落とす事が出来る。神鳴は黄龍様と青龍様しか使う事が出来ません。つまり」

「成程。神子は我等龍と同等だと知らしめるのだな?」


 発言を待たずに青龍がそう訪ねると、カッツェさんはその通りと頷いた。


「龍神様は民達に危害を加える事は決してなさりませんが、神子は龍神様ではありません。たまたま通りすがった際にこの地の現状を不憫に思い、助けに来ただけ。

 よって、危害を加えるならば天罰として神鳴を落として頂きます。

 神にしか操れない神鳴を自在に扱う者という印象を与えれば、後は簡単です。

『意に逆らい害を与えるならば、金輪際救う事はない。勝手に滅びればいい』とその顔を利用して脅せば大人しくなるでしょう」


 ちょっと待って。今、さらりとディスらなかった?とんでもない台詞と共に‼


「……確かに、神子様の眼力ならば可能かと存じますが」


 ……そこは認めちゃうのね、セレナさん。


「セレナ、そなた、同意するというのか?

 かように可愛らしい娘を神にするなど…この小さき両肩に『神』という重荷を背負わせると申すか?」


「問題ありません、父上。可愛らしいとおっしゃるのは父上だけです。『神子のまなこは恐ろしい』、が、大衆の反応と思われますので」


 やっぱりディスってる!ディスっているよ!?

 うう、やっぱりあたしの目は凶悪なんだね……


「神子」


 あたしが落ち込んでいると、カッツェさんは誰にも聞かれないようにそっとあたしに耳打ちした。


「失言すみません。ですが、私は神子のような方の友になれた事を誇りに思いますよ。沢山の民の命を守る仕事が出来るのですから」


 なんですと?『誇りに思う』ですって?

 それってつまり、あたしと友達になれて嬉しいって事だよね?

 初めての友達にそんな事を言われて喜ばない人間が果たしているだろうか?いや、いないでしょ!?

 そんなふうに思ってくれるなら、あたしは何でもやっちゃうよ!

 神にでも何でもやってやろうではないか!


「この地にいられるなら、あたしは神でもなんにでもなります。だから、やらせてください」



 それでもジェイドさんは渋い顔をしていたけれど、最後には首を縦に振ってくれた。



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