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第12話:豊富な資源



 もう、お分かりだろうか?

 そうなのです。ここは日本人なら誰しも見た事や行った事のある地獄谷なのだ。

 黄色く見える結晶は硫黄で、胸を掻き毟って死んだ人は硫化水素を吸い過ぎて呼吸困難になったから。

 白い水は硫黄泉。

 硫黄泉は少量なら身体に良いけれど、大量に飲んだらお腹を壊すし、衰弱している人には毒にもなる。

 皮膚の弱い人は濃度が薄くてもピリピリして被れるし、濃度が濃ければ皮膚が丈夫でも被れてしまう。

 だけど、あたし達日本人はそのお湯に浸かる為だけに旅館を予約し、マッタリ過ごすというお宝だ。

 こんな資源を忌み嫌うなんて勿体ない!

 そう思いませんか?


 あたしは硫黄泉が大好きだ!

 黒い温泉卵も美味しいし、身体も暖まるし、旅行に行ったら一日に何度も入る程に硫黄泉を愛している。


 何度も言おう。

 このお宝を忌み嫌うなんて勿体ない!


 そんなわけで、この地獄谷を有効活用するべく地質が少しでも違う所を見付ければ土を魔法で少し掘り起こしたり、周囲をあちこち飛び回って温泉地の候補を探したりした。


「先程から土を掘り起こして何を見ているのですか?」


「湯の花を作るいい土がないかと思って」


「ユノハナ?……このような地で花を付ける土があるとは思えないのですが……?」


 うん。そうだよね。そこから説明しないとだよね。

 あたしは、硫黄泉を愛する者の一人として硫黄泉の効用や、入浴の偉大さ、そして湯の花は自宅でもその風呂を楽しむ事が出来る素晴らしいアイテムだという事をプレゼンした。

 そして、今、あたしが何を考えているかについても一通り話した。


「硫黄については理解出来ました。ですが、ミョウバンという物に需要が果たしてあるかと言うと怪しいですね」


 悲しい事にミョウバンを胡散臭いものとして捉えたみたいだ。

 ミョウバンも日本人には馴染み深いものだというのに……

 だけど、この世界には存在しないもののようで、カッツェさんが訝しがるのも無理はないのかもしれない。


「あたしのいた世界では親しまれていたんだよ。

 熱を入れてミョウバンを焼いた状態にして使うんだけど、煮物、あ、スープの事なんだけど、長時間煮込むと野菜や肉が柔らかくなって溶け込むでしょ?でも、ミョウバンを入れれば形を損なう事なく具が柔らかくなったまま食べる事が出来るから料理には欠かせない。

 しかも、灰汁、えと、嫌な苦味や渋味の事なんだけど、それを取ってくれるからまろやかな味にしてくれるし、一度使ったら料理店とか営む人には止められなくなる事間違いないと思う。

 ミョウバンを水で薄めて使えば、殺菌効果もあるんだよ。

 だから、まな板とか雑巾の殺菌にいいから衛生的だし、他にも人体に振りかければ、体臭を軽減出来るから臭いを気にする階層の人や女性が大金を出してでも欲しいハズ!

 更にその焼きミョウバンを粉状にして気になる所に擦り込めば、なんと制汗作用まで得られちゃう。これも汗をあまりかきたくないと思っている人にはバカ売れ間違いなし!」


「それほど効果があるならば逆に毒になるのでは?」


「勿論大量体内に入れればお腹を壊す事もある。だから、使い方は必ず守って貰うように説明書を付ける。

 文字の読めない人がいる場合は販売する人が必ず説明するようにすればいい。

 そもそも優れもののクセに毒性は高くないのがミョウバンのメリットなんだよ」


 そう説明したけど、カッツェさんは納得していないようだ。

 そもそも今は、赤龍の民は飢餓状態にある。

 商売なんて出来る状態にない。

 それを解決しない事には商売を始める前に赤龍の民達は死に絶える。

 彼は、その事を危惧しているようだ。


 フッフッフ、それも先程空を飛んだ時に確認済みだったりする。


「水を引こうと思ってる」


「何処からですか?龍神国は周囲を高い岩山で覆われているため、雨雲は中々この国には出現しない。

 岩山の標高が低い緑龍の地ならまだしも、赤龍の地の岩山は標高が高過ぎて雨水を溜める事が困難な地なんですよ?」


「だから、あの山の山頂から水を引くんだよ」


 あたしが指差した方向を見てカッツェさんは目を見開いた。


「あっさり言いますが、どうやって引く気ですか?」


「ん~簡単にとは行かないよね?

 だからここは、あたしの魔法で水の通り道を作ろうと思ってる」


「水の通り道、ですか?」


 意味が解らないと首を傾げるカッツェさんに水のない地域の人達がどうやって水を得たのか、今まで学んできた歴史を参照に説明した。


「なんと、そのような方法があったのですね。ですが、魔法を使うといってもかなりの魔力を消費するのでは?」


「うん、多分……」


 すると、カッツェさんは困ったように眉を顰めた。


「父上がまた煩く騒ぎそうだな……だが、それしかないか……

 解りました。では、その間この集落に滞在出来るように掛けあいましょう。

 神子にはかなり負担をかける事になりますが、やると決めたからには魔力が切れて何度も倒れたとしてもやり遂げて頂きます。

 勿論、私も微力ながらお手伝いさせて頂きます」


 ……「何度倒れてでも」って、かなり酷い事を言うよね。やっぱりこの人ドS気質だと思う……

 まあ、了解は得られた事だし頑張ろう。

 そして成功した暁には、兄さんと再会した時にここに連れて来て、一緒に硫黄風呂を満喫しまくるのだ!



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