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第10話:赤龍の長

 

 その後も、色んな魔法を習得した。

 それは、あたしが頑張ったからもあるけれど、カッツェさんの教え方がとにかく上手い。

 無詠唱は普通の人は使う事が出来ない。

 それなのに、魔法のイメージを解りやすく促してくれる。

 龍神の言う通り、彼は優秀だと思わずにはいられなかった。


 そして、龍神が戻ってきてあたしは赤龍の集落へと向かう日を迎えた。


 当初は龍神とカッツェさんと3人で行く予定だったけれど、長も同行している。


「神子殿に万が一の事があれば、我等龍人族の恥。カッツェでは些か力不足ゆえ、我も同行する事となった」


 長はそう民に告げると、長男に長代理を任命して付いてきてしまった。

 カッツェさんは頭を抱え、龍神は呆れ果てていたけれど、時間がないので同行を許す事にした。


「ミレイ。慣れない飛行だ。疲れてはいないか?俺の背に乗ってもいいんだぞ?」


「大丈夫です」


「しかし、魔力もかなり使っているハズだ」


「平気です」


「とは、言ってもだがっ」

「父上」


 会話に我慢出来なくなったカッツェさんは、嗜めるような声を上げると続けて言った。


「神子の心配は無用です。一日中魔力を使っても枯渇しないほど魔力値が高いのですから寧ろ飛ぶ事に慣れされる必要があります。

 ですので、気遣いなされないよう」


「お前は鬼か?こんなに魔力を使っているのだぞ?」


 長に責められながら、カッツェさんはあたしを観察して頷いた。


「確かに……」


「そうだろう!?」


 嬉しそうに笑顔全開の長を無視して、カッツェさんはあたしの傍に並んだ。


「神子、無駄な魔力が流れ過ぎている。身体を覆っている魔力の壁の厚さを減らして、膜のように覆うようにイメージしてみてください」


『フライ』を継続するためには身体を魔力で包む込み続けなければならないと聞いていたあたしは少年漫画のキャラが発する闘気をイメージしていたのだけど、それを全身タイツ人間のイメージに切り替えてみた。

 すると、魔力が奪われていくあの嫌な感覚が、かなり楽になっていった。


「流石ですね」


 満足そうに頷くカッツェさんと不満気な長を横目で見ながら龍神は何も言わずにあたし達を先導し続けた。



 ☆

 赤龍の集落に到着したあたし達は赤龍の龍神窟の入口に降り立った。

 結界が張ってあって入れないのかと思っていたのだけれど、あたし達が来る事を予め伝えてあったので、赤龍があたし達だけが入れるようにしてくれていたらしい。

 それなのに長は機嫌が悪い。

 態度が露骨だったので、カッツェさんが窘めていたけれど、彼も表情が芳しくない。

 それでもカッツェさんは、感情を抑えようとしているのが見て取れた。

 大人な(少なくても龍人族の中では)対応をするカッツェさんでさえ、そんな表情になってしまうほど人肉を食べる行為が忌み嫌われているという事だ。

 果たしてこんな状況でまともに話が出来るのか不安に感じながらもあたしは迎えが来るのを待ち続けた。

 暫くして、赤龍の長が姿を現した。

 20代後半位の容姿だったけれど、龍人族は成長が遅く若い時代が長いので、見た目通りの年齢ではない事は確かだ。

 だけど、見た目は若いのに憔悴していて覇気は全くない。

 頬は痩せこけ、眼窩は窪み、青白い顔をしている。

 身体も脂肪は殆ど見られず、骨と皮だけと言っても過言じゃない。

 その姿に、カッツェさん達は息を飲んでいた。

 でも、無理もないかもしれない。

 こう見えてあたしは、考古学の大学院に推薦が決まっている。

 骨の肉付けをパソコンでやっていたスキルは健在だ。

 だから判る。

 彼女は間違いなく美人だ。

 そんな彼女が歩く骸骨のような状態だったら、昔を知っている人なら驚きを隠せないに違いない。

 つまり、長である彼女がこんな状態になるほど、赤龍の集落は酷い有様なのだろう。


「初めまして、ミレイ・サトーと申します。赤龍様に出来るだけ早くお会いしたいのですが可能ですか?」


「初めまして神子様。わたくしは赤龍の里の長であるセレナと申します。

 まずは神子様に対しこのような姿での対面に対する無礼をお許しください。

 龍神様はこの奥で神子様御一行をお待ちしております。こちらになります」


 力が出ないのか、その声さえも今にも消えてしまいそうだ。

 それでも、なんとか長らしく振舞おうとしている。

 あたしは、そんな彼女に声を掛けられずに、彼女の後に続いた。

 龍神は入口から入れない為、上から入るようで上昇していった。


 地熱が高いようで、洞窟の中は汗ばむ暑さだ。

 空気は乾いていて喉が渇く。

 それなのにセレナさんは暑さを感じないかのように歩いていく。


(この暑さがこの龍神窟のノーマルモードって事か……でも、この暑さなら余計に体力を奪われるよね)


 飢えているだけではなくてこの暑さ。

 この状況を放置するわけにはいかない。

 放置なんかしたら赤龍の人達は近いうちに全滅する。


 怖い……


 まだ赤龍にも赤龍の民達にさえ会っていないのに、既にこれから起こる事、そしてこれから対処しなくてはならないものについての重大さに、震えを覚えずにはいられなかった。




更新かなり遅れてしまい、すみません。

人事異動のゴタゴタ中のため、4月中旬まで更新が中々出来なくなると思います。

ご迷惑をおかけしすみません。

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