ルート
ルートに入ると、もう逃れられない。
一度入ると、終わるまで。入りたいルートに入るためには、終わらせればいい。しかし、現実は?
「シーグちゃん、もう大丈夫?今日は、休んでもいいよ?」
「……本当に?」
「うーん、添い寝してあげるよ?不安だよね」
「……あ、うん。大丈夫、デス」
にこやかに、顔を覗き込んでくる櫂氏に視線を外して苦笑いを浮かべた。なにこれ、状況なシグちゃんであります。うー、衣装の最終チェックの為、またあれよあれよと着替えさせられお針子さんたちに囲まれチェックが終わったと思いきや…彼の視線がチクチクします。
「…んー、やっぱり可愛いなぁ?」顔が近い近い、近い!!
「ち、近い!デス!」ちゅっ、リップ音がした。うん、頬にあたった感触。「きゃー!王子が姫にキッスした!!!ね、したよね?!」「うん、みたみた!キッス、キス!」
騒ぐ周りのみなさま、スッゴい恥ずかしいんですけど!!何なの、え?!「…皆、邪魔だなぁ…ね、シグちゃん」甘い顔、湛える笑みがなんだかエロい。あの、色気とか出さないでー!!
取り上げられたシータが恋しい。エアシャッターを押してるこの指が恐ろしいよ、本能か!
「え?!」抱え上げられ、そのまま連行される。ちょ、え、まっ「ど、どこいくの?!」「保健室」
「きゃーエロい!王子ってば、エロい!姫に襲いかかっちゃうの?!」「あーもう、うるさいねぇ。外野が」にっこり、笑むと後ろを振り向いて「…あとで、覚えててね?」と言うと周りは押し黙った。なにが、あった?!
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「大丈夫?」優しい声、頭を撫でる大きな手。ああ、心地良くて目が閉じてゆく。トサリ、ふかふかの感覚に閉じかけた瞳を開く。「ん、どこ?」「保健室、顔色、まだ悪いよ…」
頭を撫でながら、その優しい声で唄を紡ぐ。
なぜ、聖歌なのだろう?でも、私は昨日全く眠ることが出来なくて……眠りに誘われていく。
─────「シグちゃん、無理しないで」
眠りについたシグちゃんの頭を撫でながら呟く。この子は、僕が守りたい。ずっとずっと守りたい。そう思う、この気持ちは初めてで戸惑いもした。好きというより、愛してる…ずっとずっと愛してる。
ああ、ヤンデレとかって璃伊が言っていた気がする。ヤンデレなんて、いるわけないだろ?って思っていたのになぁ?
僕は、それになりかけているのかもしれない。
「シグちゃん、愛してるよ」
誰にもあげたくない、僕だけのもの。
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「姫、僕と共に生きてくれませんか?」
台本と全く違うセリフ。この、物語は悲しい終わりのハズ。
王子と姫は、すれ違いそして別の者と一緒になるという悲しい終わり。なのに、どうして…?
カンペが舞台袖に現れる。
『あなたの、好きな終わり方にして』
私まかせ?!「…姫?」近づいて、そっと耳打ちをする。誰にも聞こえないように。
「愛してる、さっきのは本当の気持ちだよ?どうか、本心で答えて欲しい」
離れ、もう一度。
「姫、答えをくださいませんか?もう一度、…あなたと共に生きて行きたい。僕と、」「……あなたと、生きて行きます。そう、決めました。誰が、なんと言おうと…あなたと共に」
くすり、笑むのはこの世界の理。璃伊は、笑みを浮かべて歓喜に満ち溢れていた。ああ、私の願いが叶った。
ルート確定イベント、台本にないセリフを言った櫂にはいと答えた場合…櫂のルート確定なのだ。
「シグ、お姉ちゃん?シグお姉さま…あー、いい響き!」
彼女はこれからを思い馳せ、楽しげに笑った。
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