理は私
梓薫と櫂を見届けて、璃伊は踵をかえす。校門前にずっと立ち尽くす彼女目掛けて歩いてゆく。
「こんにちは、元ヒロインさん?あれ、こんばんはかなぁ?」
璃伊は櫂に少し似たその顔に笑みを浮かべた。「…アナタには、本当にここから退出してもらうことも出来るんです。」「なにを、言ってるの?ここは、私の世界よ!!」
喚く彼女に対して、璃伊は冷たい表情のまま言い放った。
「なに、私の大切なシグ先輩を殺そうとしてるんですか?せっかく、お兄ちゃんが頑張って最後のイベントに入りそうな所で…分かりますか?この、私の怒り」
「……最後のイベント?」「ええ、もうすぐ…シグ先輩が私の将来のお姉ちゃんになるんですよ。もう、誰にもとめさせやしない。だって…この世界の理は私、だもの」妖艶に微笑んでみせる璃伊に怯む元ヒロイン、しかしその手に握りしめたナイフを思いだして璃伊目掛けて駆けた。しかし、なにかの介入か元ヒロインは弾かれた。ふらり、立ち上がり恨めしげに見やる。
「言ったじゃないですか、この世界の理は私…だと。退出してください、今度はたった一人の人を見つけてくださいね」
にっこり、笑むと元ヒロインは光に包まれた。「…な、に?なにを、したの…?いや、よ…やめて!やめてよ!」
「…もう、遅いです…さようなら」
この日、元ヒロインはこの世界から弾かれたのだった。
「さってと、邪魔者はいない。あとは、お兄ちゃんの頑張り次第かぁ!」
グイッと伸びをして、歩き出す。梓薫をお姉ちゃんと呼ぶ日を思い浮かべながら。
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