混乱
「シグちゃん、起きた?」
ガラリと保健室の戸を開ける、奥に進みながら問いかけたが、返事はない。まだ、寝ているのかと思いそっと覗き込む。そして…
「いない?」先ほど寝かせたベッドの上には彼女、七瀬梓薫の姿はなく整えられたベッドだけだった。もしかして、帰った?なら、そんなに時間はたっていないはず。念のためベッドにふれると少し温かい「シグちゃんの温もり…」なんだか、和む。じゃない、ふらふら状態だったら危険だ。あの子は、可愛いしモテるのになんにも自覚をしていないから余計に。
「ほんと、俺を心配させちゃうのは君くらいだよ」
あの子の行動はすべて面白い。初めて見たのは、本当に最近だ。去年気づかなかったとは、本当に不覚だよね。
最初は、面白くて見てて楽しかったけれどやっぱり…異性と見ちゃったら止めらんないよね。
璃伊も気に入ってるし、なんなら俺とくっつけようとさえしてるし。璃伊はバレてないと思ってるかも知れないけど、色々工作してるのはバレてる。
……はやく、俺のものにならないかな。
*****
校門前、彼女の背中を見つけた。そして、びっくりした。恐怖を覚えた。どうして、シグちゃんは襲われかけているんだ?
「シグちゃん!!」
全力で走り寄り、腕の中に閉じ込めて一緒に後退する。なんなの、この女。目は血走り憎悪を露わにしたこの女は、一体誰でどうしてシグちゃんを襲いかけているのか。「か、櫂…」初めて呼ばれて嬉しいが、どうしてこんな状況なんだ。「あんた、誰?……シグちゃんを殺させないよ」
「その女が私のすべてを奪っていったのよ!アナタも私のものだったのに!!」
色々言われたが、ほぼ意味が分からない。俺が、お前のもの?そうか、狂ってるんだ。「だから、殺しちゃえば私のもとに戻ってくるのよ!」
震えるシグちゃんを安心させるためにギュッと強く抱きしめた。「私、が……奪った…?」「ヒロインさんの、立ち位置を?」
小さな声で紡がれるそれは、俺にはよく分からなくてただ、抱きしめた。「シグちゃん、逃げよう?」小さく呟くと、シグちゃんは小さく頷いた。
「逃がさないわよ!!」「お兄ちゃん!シグ先輩!こっち!」そこには、璃伊がいて校舎から叫んでいた。「はやく!」
急かされて、校舎の中へと逃げ込む。
「良かった、気付けて。もう、あの女は追いかけて来ないよ」下駄箱で座り込み、ほっと息をつく。見える景色の向こうで女はただ立ってこちらを見ている。
「なんで?」「お兄ちゃん、シグ先輩ケガとかない?」「う、うん…大丈夫だよ。璃伊ちゃん」シグちゃんがそういうと、満面の笑みで頷く璃伊。「裏門からでよう、こっちだよ」なぜ、璃伊が裏門を知っているのだろうか?俺が知らなかったのに。「璃伊ちゃん…どうして裏門が分かるの?」
この学園に、裏門があるなんて初耳だ。
「え?え…と、たまたま探索してたら見つけたんです!裏門というか、山道なんですけど…」
「……うん、知ってる…」シグちゃんも、知ってるみたいだった。
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困惑で、いっぱいだった。梓七櫂が来なければ、私はどうなっていたんだろう?考えると、恐ろしい。
不可解な点がいっぱいで一人考えこむ。そして、突如璃伊ちゃんは、裏門のことを言いだしたのだ。
アレは、この学園の人は誰も知らないはずなのに。
10冊しか刊行されなかった設定集にしか載っていないそれ、をどうして知っているんだろう?
探索であれが、裏門だと誰が気づくのだろう?………もしかして、璃伊ちゃんは…………。
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