どうして?
ああ、もうすぐで文化祭です。楽しみだけれど、楽しみじゃない、どちらも持ち合わせちゃってちょっと憂鬱なシグちゃんです。なぜなら、私…演劇に本格的に出ることに決まってしまったのです。なぜ、ですか?!私はあれほど、新聞部だと!言ったのにぃぃい!!
…………スチルとれ…スクープとれないじゃないですか!
「新聞部ですから、写真とって記事に!」
「大丈夫大丈夫、新聞部の方には了承ずみだから」
にっこりと笑み付きで櫂氏は言った。あんの、新聞部員め!私が一番いい写真とるのに!!スチルの為に奔走する合間にとった私の写真が!! ………あ、間違った。スクープ取るために奔走してとった写真が!って、言っておこう。
「もう、諦めなよ?ね、シグちゃん」
そっと私の手を取ると、手の甲にキスを落とす…櫂氏。やめてくれ、……恥ずかしい!
キョロキョロと辺りを見回すと、当然のごとく演劇部の皆さんが微笑ましく見守っていた。派手めな女子たちよ、あなたは彼が目当てでここに入ったんじゃないの?!助けてぇぇえ!といった、目線を送るも余計に微笑ましく見守ってくれた!残念!
さっと手を抜き取ると、チラリと私を見る櫂氏。なんで、残念そうな顔してる。「………逃げようなんて、思わないでね…シグちゃん」こそりと耳元で話されると、ゾワリとする!うがぁぁあ!耳が、耳がぁ!
「も、やだ!」「……どうしてなの、シータ」人混みの奥から颯爽と現れたのは、雪野先輩だ。彼女は既に役に入っている。「私が母だと、嫌なのかしら?」泣きそうな顔で、いわれるとこちらが罪悪感が半端ないです。
もう、どうしてそんなに演技力高いんですか!
「……お母様、私が嫌なんですよ…」
櫂氏ぃぃぃい!君まで演技しないでよ!あんたも演技力高いんだから!「いいえ、カイン様ではないわ。私よ」
そうして私は、負けました。
*****
「七瀬先輩の髪きれい!全然痛んでない!」
「肌もちもち、荒れてない!羨ましい!」
いやいや、私なにもケアとかしてないから。まぁ、ニキビは一度も出来てないけど。
「うわぁ、化粧のりもいいし…化ける!」
演技部、メイク担当女子たちからあれよあれよと囲まれ化粧を施される。その前にも一悶着あってぐったりとしていた私は勝てるハズもない。ドレスを着せられるのに抵抗したが、普通に着せられたという一悶着だ。
なんだよぅ、私なにも悪くないよぅ。表舞台に立つのは私じゃなくて、ヒロインだよ!
「シグちゃん、可愛い」微笑みプラス、ほめ言葉。プラス、イケメンは、破壊兵器だな。
「……」「可愛い」「…」「……持って帰ってもいい?」
なんで、メイクさんたちに聞くの?!
「あ、どうぞ?」ちょっとなに許可してくれてるの?!
「ふふ、可愛いなぁ。持って帰れるわけないよ、でも…シグちゃんがいいなら持って帰るけど?」
「………やめてください、…璃伊ちゃんに持って帰ってもらいます!」「ふーん、璃伊に持って帰らせていただいちゃおうかなぁ」「……う、」
困った顔を見て楽しんでる櫂氏のそのお綺麗な顔にパンチしたい!!
「そうだ、レイアさんも楽しみにしてるって」
「へ?」「シグちゃん?レイアさん、本番来るからさ練習頑張ろう?」いきなり、顔つきが変わった彼に戸惑う。なによりも、レイアさん……レイアさん?!
「な、なんで?!」「あぁ、さっき来てたんだ。シグちゃんを演劇に出してほしいと言ってきたのもレイアさんだしね」
………………黒幕は、レイア様だったのか!!
「………もぉ、だめぇ………」
案外演劇というのは、疲れるものだな。練習だってスパルタだし…声だって腹から出さないと遠くの人に聞こえない。足もふらふらするぅ……「…っと、大丈夫?シグちゃん」倒れかけた私を優しく抱き留める、イケメンすぎる。パシャリ、うん……反射的に撮るのは私の本能です。
「………すぅ」突如襲う眠気に抗うこと出来ずに眠りにつく。初めてのことは、よけいに疲れるものだ。
******
どうして?ただ、そう思った。どうして、私はヒロインに睨まれているんだろう?どうして、ヒロインは可愛い顔を歪ませて睨むのだろう?どうして、私を………殺そうとしているんだろう?
刃物をもったヒロインに私は、殺されかけている。
学校から出るとそこには探していたヒロインがいた。漸く物語がスタートするんだなぁとおもってた。のに、どうしてか彼女は私を恨めしそうに見てくるのだ。刃物を取り出して。
「私が、ヒロインよ!!邪魔をしないで!」
怖い、恐い。どうして、私なの??
「シグちゃん!!」
…どうしてだろう?こんなにも、安心しちゃうなんて。
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シグちゃんの危機!




