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居ない存在
ガサリ、学園を覗き込むは愛らしい顔の少女。しかし、今は憎悪にみちて見る影もない。
「………なんなのよ、あの子もあの子も!」
「……ありゃりゃ、かわいい顔が台無しですねぇ?」
「…………な、なんなのよ、アンタ。知らないわよ、アンタの存在は…」
「そりゃそうですよ、だって私はリメイク版からしかでないですもん。それにアナタが憎いと思ってる、七瀬梓薫もね」
そう告げると、彼女は虚を突かれた顔をした。
「リメイク版?……なんのこと」
「やっぱり、プラトニックなんて流行んないんですよ」
プラトニックは、不評だった。でも、攻略対象者たちは人気があったためにリメイク版が出た。
ヒロインはあまり人気はなく、リメイク版からは“七瀬梓薫”をヒロインに、そしてサポートキャラクターに梓七璃伊を増やしたのだ。
「もう、アナタの回は終わったの。さっさと、決めないからこうなるんだよ」
「…………なにを、言ってるの?」
「…アナタはこの世界にとって居ない存在になりました」
─────お疲れ様でした。
梓七璃伊は、そう残して去ってゆく。文化祭で、決まる。七瀬梓薫の物語が。
「お兄ちゃん、もうちょっと頑張ってよね!」
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