ちょ、今はいいです。
「愛してる…」
「あ…」
イケメンが言うから、しっくりくるんだと思う。だって、だって、愛してるだなんて!恥ずかしいに決まってる。
イケメンくんは、次序に顔を近づけていく。
「あの…!」
ぷくくく、て笑い声。
笑ってる?
「って、言ってほしい?」
「え…」
女は放心する。
「愛してるって、さ?なんで、見知らぬ女に言わなきゃならない?告白してくるけど、俺アンタのこと一切知らないよ?」
あーあ、あの子結構可愛いかったのに。ふん、逃がした魚は大きいってことですか?ふはははは!
「最低ですね、アナタ」
「は?……どこだ?」
キョロキョロとあたりを見回すイケメンくん。
そりゃ、そうですね。いきなり声を掛けられたら見回すでしょう!しかし、私はここだ。
───木の上。
なんか、シャッターチャンスこないかな?ってことで、虫とかいそうだけど…完全防備でここにいます。
気づくなよ、絶対。
今の声かけたわけじゃないんですからね!今のは完全独り言のつもりがあまりにも大きすぎたんですからね!
と、誰にともなく言い訳。あはははは、
虚しくなってきた。
あのですね、気づいてほしくはないんですよ?
ですが、あの…
あの…ですね。
えーと、
─────助けてください。
登ったはいいけど、降りれなくなっちゃいました。わーん。
マジで泣きそう。ほんと、
「どこだ?俺に…生意気言うヤツは」
イケメンくん。私、ここです。でも、君は気づかないで。 いやでも、助けて!
あーん、どうしよう。
イケメンくんが、キョロキョロする中。颯爽と現れたのはこれまたイケメン。たしか、梓七櫂だ。
「…あ?櫂、ここら辺で女見てないか?」
「ん、洟弥かー。女ねぇ…そうだねみたね」
「どんなヤツ?!」
「泣きながら走りさる子」
「……他は?」
梓七櫂は、少し考える素振りを見せつつすごく笑顔になる。
「んー、今から会うつもり」
「は?」
にっこり、
目があった気がした。
ちょ、やめて!助けてほしいけど、今はないって!
ていうか、なんでわかる!梓七櫂!




