第37話 研究会で再会した青年
「それなら、少し話してみようか」
アルベルト様はそう言って、私の隣の椅子を引いた。
王宮の庭園で初めて出会い、その後、王立学院の図書館でも顔を合わせた青年と、今日の研究会で再会するとは思わなかった。
「アルベルト様も、地方の学校に興味があるんですね」
「ああ。王都では当たり前に学べることが、少し離れた村ではそうもいかないからね」
「そうなんです。私も家庭教師のお仕事を始めてから、知らなかったことがたくさんあると気づきました」
「君は学院でも教育について熱心に調べていたね」
「覚えていてくださったんですか?」
「図書館で、ずいぶん分厚い本を抱えていたから」
「あはは……あれは必要なところだけ読むつもりだったんですけど、気づいたら全部借りてしまって」
アルベルト様が小さく笑うと、以前と変わらない穏やかな笑顔に、私も自然と肩の力が抜けていった。
「ところで、エリシア嬢。さっき、閉じられた村の学校について調べていると言っていたね」
「はい。教え子のお嬢様が、とても気にかけていらっしゃるんです」
「学校を再開したいと?」
「そうですね。でも今は、どうすれば再開できるのか、まず何を調べるべきなのかを考えているところです」
私はロザリア様と一緒にまとめた資料を取り出した。村の人口や学校が閉鎖された時期、以前の教師が辞めた理由など、まだ空欄も多いけれど、調べられたことは書き込んである。
「以前は学齢の子どもが二十七人ほどいて、そのうち二十人前後が交代で通っていたそうです。ただ、教師の方が辞められてから、学校は閉じたままで……」
「二十人が毎日通っていたわけではないんだね」
「はい。農繁期は家の手伝いがあるので、全員が同じ日に集まるのは難しかったみたいです」
アルベルト様は資料をじっと見つめた。
「教師が辞めた理由は?」
「収入が安定しなかったことが大きいそうです。今は王都で帳簿をつけるお仕事をされていると聞きました」
「なるほど。教える人を探すだけでなく、その人が暮らしていける条件も必要というわけか」
「……そうなんです」
学校を開きたいという気持ちだけなら私にもロザリア様にもあるけれど、そこで働く人の生活まで考えなければ、同じことを繰り返してしまうかもしれない。
「君は、どうすればいいと思う?」
「今までと同じ形で学校を開くのは難しいかもしれません。だから、授業の日数を減らしたり、農繁期を避けたりする方法もあるんじゃないかと思っています」
「それなら、教師の負担も減る?」
「……あ」
私は言葉に詰まった。授業の日数が減れば、その分、教師に支払うお金も減らせるかもしれないけれど、それでは教師の収入がもっと不安定になってしまう。
「そうですよね。授業を減らすだけじゃ、先生を続けてもらえないかもしれません」
「いや、悪い案だと言いたいわけじゃないんだ。ほかの仕事と組み合わせられるなら、成り立つ可能性はある」
「ほかのお仕事……」
「例えば、村の帳簿を管理する仕事と、子どもたちに読み書きを教える仕事を兼ねるとか」
「それ、いいかもしれません!」
「ただ、帳簿を任せられる人が教えるのも得意とは限らないけれどね」
「うっ……確かに」
思わず肩を落とすと、アルベルト様が楽しそうに笑った。
「君は考えたことがすぐ顔に出るね」
「そ、そんなにわかりやすいですか?」
「かなり。けれど、そこが君のいいところなのかもしれないね」
「えっ?」
「自分の考えに固執せず、違う意見を聞けばすぐに考え直せる。簡単なようで、なかなかできることじゃないよ」
「そ、そんな立派なものじゃありません。私、知らないことが多いだけですから」
「知らないことを認められるのも、一つの強さだと思うけれど」
思いがけず褒められて、私は少し照れくさくなった。
「一つ、聞いてもいいかな」
アルベルト様が資料を指さした。
「ここに書かれている二十七人という数字は、いつ調べたもの?」
「学校が閉鎖される少し前の記録です」
「では、今も二十七人いるとは限らないね」
「……そうですね」
「それに、その子たちが何歳なのかもわからない。読み書きができる子と、初めて学ぶ子では必要な授業も違うだろう」
私は手元の資料を見つめた。確かに子どもの人数ばかり気にしていて、年齢や学習状況までは調べていなかった。
「学校を開くなら、まず今の村の様子を知る必要があるということですね」
「そう思う。もっとも、僕も実際にその村を見たわけではないから、簡単には言えないけれど」
「アルベルト様でも、わからないことがあるんですね」
「……それは、もちろんあるよ」
「あっ、すみません! 何でもご存じなのかと思ってしまって」
「ずいぶん買いかぶられているな」
アルベルト様は苦笑した。
「僕が知っているのは、せいぜい報告書に書かれたことくらいだ。現地の人に会えば、考えが変わることもあると思う」
私は頷きかけて、ふと疑問に思った。
「でも、アルベルト様はどうして、そこまで地方の教育について調べていらっしゃるんですか?」
「どうして、か」
アルベルト様は少し考えるように視線を落とした。
「王都で暮らしていると、見えなくなるものがあるからかな。ここでは当たり前のことが、ほかの場所では当たり前ではない。それを知らないまま何かを決めるのは、怖いことだと思うんだ」
「……何かを決める?」
「ああ。例えば、学校を建てれば子どもたちは喜ぶはずだと、誰かが勝手に決めてしまうようなことだよ」
穏やかな声だったけれど、その言葉には不思議な重みがあった。
「でも、知らないから何もしないというのも、違う気がします」
アルベルト様がこちらを見る。
「もちろん、勝手に決めるのはよくないと思います。でも、知らないことがあるなら調べればいいし、間違えたら考え直せばいいんじゃないでしょうか」
「……なるほど」
「私だって、最初は学校を開けばいいと思っていました。でも、今日のお話を聞いて、それだけじゃ駄目なんだってわかりましたから」
そう言ってから、少し不安になった。
(……あれ、私、偉そうなことを言っちゃった?)
「す、すみません! なんだか生意気なことを……」
「いや、構わないよ」
アルベルト様は小さく首を振った。
「ただ、一つ気になることがある。君の言うように調べて、村の人たちの意見も聞いたとしよう。それでも学校を開く余裕がないとわかったら、君はどうする?」
「……そうですね」
私は少し考え込んだ。
「学校を開くのは、諦めるかもしれません」
「そうか」
「でも、子どもたちが勉強することまで諦める必要はないと思います」
アルベルト様の目が、わずかに見開かれた。
「……どういう意味かな?」
「学校を開くことと、勉強できるようにすることは、同じじゃないですよね?」
私は自分でも考えを整理しながら言葉を続けた。
「例えば、週に一度だけでも読み書きを教えてもらえるなら、何も学べないよりずっといいと思うんです。もちろん、それができるかどうかも調べないとわかりませんけど」
「……なるほど。学校を再開するという目的にこだわらないわけだね」
「はい。だって、子どもたちにとって大事なのは、立派な学校があることじゃなくて、勉強できることですから」
口にしてから、私は少しだけ首を傾げた。
「……あれ? でも、そう考えると、私たちが最初に調べるべきなのは学校の建物じゃないのかもしれませんね」
アルベルト様は何も言わずに私を見つめていた。
「……アルベルト様?」
「いや、すまない。少し驚いてしまって」
「えっ、私、何か変なことを言いましたか?」
「いいや。むしろ、その逆だよ」
アルベルト様は、ゆっくりと微笑んだ。
「僕は今、どうすれば学校を再開できるかと考えていた。けれど君は、その前に、そもそも何のために学校を開くのかを問い直したんだね」
「そんな大げさなことじゃ……」
「大げさではないよ。目的と手段を取り違えないのは、とても大切なことだから」
私は照れくさくなって、手元の資料に視線を落とした。
「でも、私も今お話ししていて気づいたんです。アルベルト様が質問してくださらなかったら、考えつかなかったと思います」
「そう言ってもらえると嬉しいな」
アルベルト様は少し楽しそうに笑った。
「やはり、君は面白いね」
「……面白い、ですか?」
「ああ。僕が慎重に考えようと言えば、君はまず動いてみようと言う。かと思えば、今度は僕より先に、何のために動くのかを考え始める」
「そ、それは……考えがまとまっていないだけかもしれません」
「そうかな。僕には、君が自分の答えを見つけようとしているように見えるけれど」
アルベルト様は一度言葉を切ると、少しだけ声を和らげた。
「それに、君はさっきからずっと、子どもたちの話をしているね」
「えっ?」
「僕は学校の運営や費用の話ばかりしていた。でも君は、そこで学ぶ子どもたちのことを忘れない」
「……それは、私が家庭教師だからだと思います」
私はロザリア様の顔を思い浮かべた。
「教え子が、昨日までできなかったことを今日できるようになると、すごく嬉しいんです。本人が得意そうに笑ってくれたら、私まで嬉しくなってしまって」
「そうなんだね」
「だから、村の子どもたちにも、そういう機会があったらいいなって思うんです」
アルベルト様はしばらく黙っていた。
何か変なことを言ってしまっただろうかと心配になった頃、彼は静かに口を開いた。
「……君の教え子は、幸せだね」
「えっ?」
「自分ができるようになったことを、そんなふうに喜んでくれる先生がいるんだから」
「そ、そんなこと……!」
急に褒められて、私は慌てて首を振った。
「むしろ、私の方が助けられているんです。ロザリア様は時々、私が思いつかないようなことを言ってくださいますし」
「それなら、いい関係なんだろうね」
「はい!」
私は笑顔で頷いた。
「でも、私もアルベルト様とお話しするのは楽しいです。自分だけでは気づけなかったことを、たくさん教えていただけますから」
「……そうか」
アルベルト様は少し意外そうな顔をしたあと、嬉しそうに目を細めた。
「それなら、また君と話したいな」
「もちろんです! 私も、ぜひ!」
私が勢いよく答えると、アルベルト様は声を立てて笑った。
◇
「それでは、次の議題に移りましょう」
前方から声がかかり、参加者たちが席に戻り始めたので、私も慌てて資料を片づける。
「アルベルト様、ありがとうございました。とても勉強になりました!」
「こちらこそ。君の話は興味深かったよ」
「本当ですか?」
「ああ。特に、教え子のお嬢様が自分から学校について調べているという話はね」
私は嬉しくなって、思わず笑顔になった。
「ロザリア様は本当に頑張っていらっしゃるんです。最初は難しいことも多かったんですけど、最近は自分から質問してくださるようになって」
「そうか。いい先生に出会えたんだろうね」
「いえいえ! 私の方こそ、教えていただくことがたくさんあって……」
そこまで言ってから、私ははっとした。
(……しまった、また教え子自慢をしてしまった)
アルベルト様はそんな私を見て、穏やかに微笑んだ。
「君がそのお嬢様を大切に思っているのは、よく伝わってきたよ」
「……ありがとうございます」
少し照れくさくなりながら、私は席へ戻った。
次の発表者は地方の小さな町で教師をしていたという年配の女性で、教壇に立つと机の上に一冊の古い帳面を置いた。
「私は長年、王都から離れた地域で子どもたちに読み書きを教えてきました。最初の頃は毎日授業を開くことが何より大切だと思っていたのですが、ある年の収穫期、教室に来た子どもは三人だけだったのです」
参加者の間に小さなどよめきが起きる。
「理由を尋ねると、子どもたちは口を揃えて、家の手伝いがあるからだと答えました。そこで保護者たちに相談し、授業の時間を変えることにしたのです」
女性は帳面を開いた。
「農繁期には夕方の短い授業に切り替え、冬には少し長い時間を取る。毎日同じ時間に教えることは諦めましたが、その結果、以前より多くの子どもが学べるようになりました」
(……季節によって授業を変えるんだ)
私は夢中でメモを取った。ロザリア様が知りたがっていたことに、まさに関係する話だった。
「ただし、この方法にも問題がありました。授業の時間が不規則になるため、教師がほかの仕事を持つことが難しくなったのです。私自身も、収入の面では苦労しました」
なるほど、子どもが通いやすい時間にすれば解決するわけではなく、教師の生活との両立も必要なのだ。
「そこで町の人々と相談し、授業のない時間には手紙の代筆や簡単な帳簿の整理を引き受けるようになりました」
(……さっき、アルベルト様が言っていたことだ!)
少し離れた席にいるアルベルト様を見ると、彼もこちらに気づいたらしく、小さく頷いたので、私は慌てて資料に目を戻した。
女性の話はそこからさらに具体的になり、授業料を払えない家庭への対応や教材を使い回す工夫、保護者に協力を求めるときの難しさなど、教科書を読むだけではわからない話が次々に出てきた。
けれど、私が特に気になったのは最後の質問だった。
「その方法で、学校は今も続いているのですか?」
参加者の一人が尋ねると、女性は少し困ったように笑った。
「残念ながら、私が町を離れたあと、授業はしばらく休止しました。後任の教師が見つからなかったのです」
工夫をして子どもたちが通えるようになっても、教師がいなくなれば続けられないのだと思うと、胸の奥がきゅっとなる。
「ですが、今は町の若者が読み書きを教えています。私のように毎日教えるわけではありませんが、週に二度、子どもたちが集まっているそうです」
女性は穏やかに微笑んだ。
「立派な校舎も、十分な教材もありません。それでも、学ぶ場所は残っています」
私はその言葉を手元の紙に書き留めた。
『学校という建物がなくても、学ぶ場所は作れる』
それは今まで私が考えていたこととは少し違っていた。
学校を再開するという言葉に、私はいつの間にか以前と同じ形の学校を取り戻すことばかり考えていたのかもしれないけれど、本当に必要なのは、子どもたちが学び続けられることなのだ。
(……ロザリア様にも、聞かせてあげたい)
私は資料の余白に大きく印をつけた。
◇
研究会が終わる頃には手元の紙が文字でいっぱいになっていて、聞きたいことは山ほど残っていたものの、そろそろ帰りの時間になっていた。
資料をまとめていると、マーガレット先生が近づいてきた。
「どうだった、エリシアさん?」
「とても勉強になりました! 知らなかったことばかりで、頭がいっぱいです」
「ふふ、そうでしょうね」
「でも、来てよかったです。ロザリア様にお話ししたいことも、たくさんできました」
マーガレット先生は嬉しそうに頷いた。
「それなら、次にこうした集まりが開かれるときも声をかけるわね」
「ぜひお願いします!」
私が勢いよく頭を下げると、先生は少し笑ってから、手元の資料に目を向けた。
「ところで、今日の内容を実際の領地で役立てるなら、もう少し詳しい資料が必要になるかもしれないわ」
「詳しい資料、ですか?」
「ええ。地方の学校について継続的に調査している先生がいらっしゃるの。今日も参加されていたのだけれど……」
先生は会場を見回した。
「あら、もう帰られたのかしら」
「その先生に、お話を伺えるんですか?」
「お願いすれば、過去の調査記録を見せていただけるかもしれないわ。ただ、あなたが調べている村のことまで載っているかはわからないけれど」
「それでも、ぜひ見てみたいです!」
「では、私から一度聞いてみるわね」
「ありがとうございます!」
調べるための手がかりが一つ増えたことが嬉しくて、私は思わず資料を胸に抱えた。
そのとき、後ろから声がかかった。
「エリシア嬢」
振り返ると、アルベルト様が立っていた。
「もう帰るところかな」
「はい。公爵家の馬車がお迎えに来てくださるので」
「そうか。今日は話せてよかった」
「私もです! いろいろ教えていただいて、ありがとうございました」
「教えたつもりはないよ。僕も考えるきっかけをもらった」
アルベルト様は少し考えるように視線を落としたあと、私の資料を見た。
「君が調べている村のこと、もう少し詳しく聞いてみたいな」
「えっ?」
「学校が閉じられた事情も、子どもたちの様子も。今日の話を聞いて、気になったんだ」
私は驚いたけれど、すぐに頷いた。
「もちろんです! ただ、まだわからないことが多くて……」
「それで構わないよ。むしろ、わからないことを整理するところから始めた方がいいかもしれない」
「……そうですね」
今日一日で知らないことがいくつも見つかったけれど、不思議と落ち込んではいなかった。何を調べればいいのか、少しずつ見えてきたからだ。
「まずは、教え子のお嬢様と相談してみます」
「ああ。それがいいと思う」
アルベルト様は穏やかに微笑んだ。
「話の続きを聞ける日を楽しみにしているよ」
「はい!」
私は笑顔で頷いた。
学院を出ると夕方の風が頬を撫で、門の近くには公爵家の馬車が待っていた。
(……ロザリア様、どんな反応をするかな)
きっとたくさん質問されるだろうし、私が考えもしなかったことを言われるかもしれないと思うと、自然と笑みがこぼれた。
◇
エリシアを乗せた馬車が学院の門を離れていくのを、アルベルトは少し離れた場所から見送っていた。
「……ずいぶん楽しそうでしたね」
背後から声をかけられ、アルベルトは振り返った。そこには、護衛として同行していた青年が立っている。
「何のことかな」
「研究会で、あのご令嬢とお話しされていたときのことです」
「そう見えた?」
「ええ。殿下があれほど長く、一人の方とお話しされるのは珍しいかと」
アルベルトは少しだけ笑った。
「……そうかもしれないね」
王宮では、誰もが言葉を選ぶ。
相手の立場を考え、何を言えば喜ばれるのか、何を言えば不興を買うのかを慎重に見極めながら話をする。それが当然だと思っていたし、自分も同じように振る舞ってきた。
けれど、エリシアは違った。
彼女は自分の考えを口にし、間違いに気づけば素直に認め、納得できなければ問い返してくる。こちらの身分を知らないからこそできることなのかもしれないが、それだけではない気がした。
『子どもたちにとって大事なのは、立派な学校があることじゃなくて、勉強できることですから』
アルベルトは、先ほどの彼女の言葉を思い返した。
学校を建てることと、学べるようにすること。
似ているようで、確かに違う。
自分はいつの間にか、制度や予算のことばかり考えていたのかもしれない。
「……やはり、面白い人だ」
「殿下?」
「いや、何でもないよ」
アルベルトは小さく首を振った。
初めて王宮の庭園で出会ったときから、不思議な令嬢だとは思っていた。けれど、話をするたびに新しい一面が見えてくる。
何より、彼女は自分を王子としてではなく、ただのアルベルトとして見ている。
「また、お会いになるおつもりですか?」
護衛の問いに、アルベルトは少し考えてから答えた。
「……そうだね。できれば、もう一度話してみたい」
そして、ふと笑みを浮かべた。
「次は、どんなことを言い出すのか楽しみだよ」
護衛は少し驚いたような顔をしたものの、それ以上は何も言わなかった。
アルベルトは学院の門へと視線を戻す。
彼女と話していると、自分の知らない世界がまだいくつもあるのだと気づかされる。
それは王宮の中では、なかなか味わえない感覚だった。
アルベルトは小さく息を吐き、護衛とともに歩き出した。




