# 第七話 ## 「伝説の敵」
# 第七話
## 「伝説の敵」
黒騎士ゼルド。
その姿を見た瞬間。
誰もが理解した。
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勝てない。
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本能がそう告げていた。
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「グルルル……」
ではない。
叫びもしない。
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ただ立っているだけ。
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それなのに。
圧倒的だった。
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ガルドが盾を構える。
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「隊長」
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「何」
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「死んだらすまん」
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「縁起でもないこと言うな!」
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ガルドは笑った。
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「だが守る」
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ドンッ!!
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大盾を地面へ叩きつける。
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「我が名はガルド!」
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「大盾の守護者!」
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「貴様の相手は私だ!」
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ゼルドが動いた。
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消えた。
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次の瞬間。
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ガァァァァァン!!
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ガルドの身体が吹き飛ぶ。
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「ガルド!!」
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壁へ激突。
遺跡の柱が折れる。
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Aランク冒険者。
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それが。
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一撃だった。
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リアの顔が青くなる。
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「そんな……」
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フェルが魔法を放つ。
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「雷帝の槍!!」
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轟音。
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巨大な雷が落ちる。
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しかし。
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ゼルドは歩いていた。
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無傷。
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「嘘でしょ……」
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フェルの声が震える。
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そして。
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ゼルドの剣が振り上がる。
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リアが飛び出した。
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「フェル!!」
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ガキィィィィン!!
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剣と剣が激突する。
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リアは耐える。
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だが。
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「ぐっ……!」
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押される。
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圧倒的な力。
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リアの足が地面へめり込む。
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限界だった。
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その時。
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「下がって」
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ルナが前へ出る。
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銀髪が揺れる。
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そして。
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指を鳴らした。
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パチン。
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空間が裂けた。
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全員が凍りつく。
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そこに現れたのは。
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無数の魔法陣。
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百。
千。
一万。
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遺跡全体を埋め尽くす。
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フェルが絶句した。
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「ありえない……」
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魔法の天才。
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その彼女ですら理解できない。
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ルナの魔法は。
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人間の領域を超えていた。
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「千年生きるってこういうこと」
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ルナは笑う。
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そして。
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「星砕き」
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光が放たれた。
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世界が白く染まる。
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轟音。
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衝撃。
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遺跡が揺れる。
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やがて。
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光が消える。
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そこには。
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無傷のゼルドが立っていた。
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「は?」
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レインの口が開く。
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ルナも固まる。
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初めてだった。
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千年で初めて。
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自分の魔法が効かなかった。
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ゼルドは静かに言う。
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「同じだ」
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「え?」
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「また守れなかったな」
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ルナの瞳が揺れる。
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まるで。
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知り合いのような口ぶり。
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そして。
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ゼルドはレインを見る。
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「お前も同じ結末だ」
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「は?」
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「英雄は必ず失う」
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その言葉に。
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ルナの顔色が変わる。
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「黙れ!!」
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初めて怒った。
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感情を爆発させた。
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「アークを侮辱するな!!」
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ゼルドは答える。
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「侮辱ではない」
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「事実だ」
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その瞬間。
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遺跡の奥から。
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巨大な扉が開いた。
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ゴゴゴゴゴ……
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現れたのは。
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一本の剣。
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純白の聖剣。
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それを見たルナは震えた。
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「そんな……」
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「まだ残っていたの……」
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フェルが尋ねる。
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「知ってるの?」
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ルナは小さく頷く。
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そして。
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レインを見る。
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「アークの剣よ」
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「え?」
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「英雄だけが抜ける剣」
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嫌な予感しかしない。
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レインは全力で首を振った。
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「無理無理無理!」
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「俺そういうの向いてない!」
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「剣も弱い!」
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「英雄じゃない!」
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しかし。
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聖剣は光り始める。
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まるで。
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呼んでいるように。
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レインを。
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そしてゼルドは笑った。
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「さあ見せろ」
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「二代目」
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「お前はアークを超えられるか」
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## 次回
# 第八話
## 「英雄の剣」
レイン、ついに聖剣を手にする。
だがその瞬間――
彼のスキルに隠された、本当の代償が明らかになる。




