# 第六話 ## 「英雄の仲間だった少女」
# 第六話
## 「英雄の仲間だった少女」
遺跡の最深部。
巨大な玉座の間。
静寂の中で、
銀髪の少女はゆっくりと立ち上がった。
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「やっと会えた……」
紅い瞳がレインを見つめる。
まるで千年探し続けていた宝物を見つけたように。
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「えっと……誰?」
レインが恐る恐る聞く。
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少女は少しだけ固まった。
そして。
少し傷ついた顔をした。
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「覚えて……ないの?」
「初対面です」
「そう……」
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なぜか落ち込んだ。
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フェルが前に出る。
「あなたは誰?」
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少女は姿勢を正した。
そして静かに告げる。
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「私の名前はルナ」
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「千年前、英雄アークの仲間だった者」
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空気が凍った。
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「え?」
「は?」
「へ?」
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リア。
ガルド。
フェル。
全員が固まる。
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千年前の人間が。
目の前にいる。
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「いやいやいや!」
レインが叫ぶ。
「千年前って生きてるわけないでしょ!」
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ルナは首を傾げる。
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「生きてるけど?」
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「そんな軽い感じで!?」
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ガルドが真顔になる。
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「つまり伝説の人物か」
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「うん」
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「すごいな」
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「うん」
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「隊長の知り合いか」
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「違う」
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そこだけは即答だった。
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ルナはレインを見つめる。
そして。
少しだけ笑った。
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「本当に似てる」
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「誰に?」
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「アークに」
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レインの胸がざわつく。
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フェルが尋ねる。
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「教えて」
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「このスキルの正体を」
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ルナの表情が変わる。
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優しさが消えた。
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代わりに浮かんだのは。
悲しみ。
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「それを知れば」
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「後戻りはできない」
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誰も動かない。
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ルナはゆっくり語り始めた。
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「その能力の本当の名前は――」
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【英雄継承】
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レインの身体が震える。
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「英雄継承?」
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「世界が選んだ一人に与える力」
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「功績を奪う能力じゃない」
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「仲間たちの想いを背負う能力」
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静寂。
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ルナは続ける。
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「仲間が命を懸けて叶えた願い」
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「守りたかった未来」
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「託した希望」
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「それら全てを一人に集める力」
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レインは言葉を失う。
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「だから世界は勘違いする」
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「功績が集まる」
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「伝説が集まる」
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「仲間の願いが集まる」
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「そして最後には――」
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ルナの声が震えた。
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「世界の運命そのものが集まる」
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その瞬間。
遺跡全体が揺れた。
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ゴゴゴゴゴゴ……
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天井が崩れる。
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床に巨大な魔法陣が浮かぶ。
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フェルが叫んだ。
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「魔力反応!」
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「来る!」
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魔法陣の中心から。
黒い影が現れる。
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巨大だった。
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十メートル。
二十メートル。
三十メートル。
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漆黒の騎士。
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まるで絶望そのもの。
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ガルドが息を呑む。
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「冗談だろ……」
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リアが剣を握る。
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フェルの顔色が青くなる。
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ルナだけが知っていた。
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その怪物の正体を。
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「黒騎士ゼルド」
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「千年前」
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「アークが倒せなかった敵」
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全員が固まった。
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倒せなかった?
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英雄が?
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すると。
黒騎士がゆっくり剣を抜く。
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その瞬間。
世界が震えた。
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そして。
赤い瞳がレインを捉える。
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「見つけた」
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黒騎士は笑う。
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「二代目の英雄」
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レインの顔が引きつる。
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「いや、違うんですけど!?」
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もちろん。
誰も聞いていなかった。
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## 次回
# 第七話
## 「伝説の敵」
リア、フェル、ガルドでも勝てない。
絶望的な強さを持つ黒騎士。
そしてルナが語る――
千年前、アークが最後に選んだ結末とは。




