# 第四話 ## 「最強の盾と勘違い隊長」
# 第四話
## 「最強の盾と勘違い隊長」
「世界規模で迷惑をかけられている可能性があるわ」
フェルの言葉が頭から離れない。
鉱山から帰る道中。
レインはずっと空を見上げていた。
「俺、何か悪いことした?」
「してないと思います!」
リアが即答する。
「その自信どこから来るの?」
「レインさんですから!」
「答えになってない!」
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ギルドへ戻ると。
異様な光景が広がっていた。
人、人、人。
冒険者たちが入口に集まっている。
「なんだこれ……」
その時。
群衆が左右に割れた。
まるで王様でも来るかのように。
そして現れたのは――
巨大な男だった。
身長二メートル近い。
全身鎧。
背中には塔のような大盾。
顔には大きな傷跡。
歴戦の戦士。
そんな言葉が似合う男だった。
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男はレインを見る。
そして。
突然ひざまずいた。
ドンッ!!
床が揺れた。
「え?」
「え?」
リアも固まる。
フェルも固まる。
ギルド中が静まり返る。
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男は言った。
「やっと会えた」
「誰?」
「英雄レイン殿」
「違います」
即答だった。
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しかし男は聞いていない。
「私はガルド」
「聞いてない」
「Aランク冒険者だ」
「聞いてない」
「ぜひあなたの仲間にしてほしい」
「なんで!?」
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ギルド中がざわつく。
Aランク。
それは国に数十人しかいない。
化け物クラスだ。
そんな男が。
レインに頭を下げている。
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「理由を聞いても?」
フェルが尋ねる。
ガルドは真面目な顔で答えた。
「私は見た」
「何を?」
「オーガ討伐の報告書」
嫌な予感。
「そして鉱山の報告書」
もっと嫌な予感。
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ガルドは拳を握る。
「己の功績を仲間へ譲る英雄!」
「譲ってない!」
「仲間を立てる人格者!」
「違う!」
「私は感動した!」
「話を聞け!」
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リアが嬉しそうに笑う。
「いい人ですね!」
「悪い人じゃないけど困る!」
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その時。
ギルドマスターが現れた。
白髪の老人。
元Sランク冒険者。
この街最強の男。
彼は真剣な顔だった。
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「レイン」
「はい」
「実は王都から依頼が来ている」
「嫌な予感」
「王都北部の遺跡調査だ」
「もっと嫌な予感」
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フェルの顔色が変わる。
「古代遺跡?」
「知ってるのか」
「最悪の場所よ」
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ギルドマスターは頷く。
「最近、魔物が異常発生している」
「へぇ」
「Aランクパーティが二つ壊滅した」
「帰ります」
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レインは出口へ向かった。
しかし。
ガルドが肩を掴む。
「隊長」
「誰が隊長だ」
「私も行こう」
「勝手に決めるな」
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さらに。
リアが手を挙げる。
「もちろん私もです!」
「知ってた」
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フェルもため息をつく。
「放っておくと死にそうだから行くわ」
「俺の扱いどうなってるの?」
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ギルドマスターは笑った。
「決まりだな」
決まってない。
一度も承諾していない。
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三日後。
レインたちは王都へ向かうことになった。
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その夜。
宿屋。
レインは眠れなかった。
窓の外を見る。
月が綺麗だった。
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「俺、本当に英雄じゃないんだけどな……」
小さく呟く。
すると。
部屋の隅から声がした。
「知ってる」
「うわっ!?」
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フェルだった。
普通に椅子に座っていた。
「なんでいるの!?」
「窓から」
「犯罪だよ!?」
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フェルは真面目な顔になる。
「冗談は置いておいて」
「置いてない」
「遺跡について話がある」
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彼女は机に古い本を置いた。
そこには古代文字が並んでいる。
「この遺跡」
「うん」
「千年前の英雄に関係している」
「へぇ」
「そして、その英雄も――」
フェルはレインを見た。
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「あなたと同じ能力を持っていた可能性が高い」
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部屋の空気が止まった。
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「……え?」
「記録では世界を救った英雄」
「うん」
「でも実際に戦った記録がほとんどない」
「それって……」
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フェルは頷く。
「あなたと同じよ」
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レインの背中に冷たい汗が流れた。
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もし本当なら。
この能力は偶然じゃない。
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世界が選んだ力。
千年越しに受け継がれた力。
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そして遺跡には、
その英雄が残した何かが眠っている。
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だがその時。
誰も知らなかった。
遺跡の最深部で。
彼らを待ち受ける存在がいることを。
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漆黒の玉座。
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赤い瞳を持つ少女が、
ゆっくり目を開いた。
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「……見つけた」
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千年の眠りから目覚めた少女は微笑む。
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「やっと会える」
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その視線は、
まっすぐレインへ向けられていた。
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## 次回
# 第五話
## 「千年眠っていた少女」
王都への旅が始まる。
そしてレインは、
自分のスキルの秘密へ一歩近づいていく――。




