# 第三話 ## 「天才魔法使い、全部見抜く」
# 第三話
## 「天才魔法使い、全部見抜く」
翌朝。
レインはギルドの隅でぐったりしていた。
「もう冒険者辞めたい……」
昨夜。
英雄扱いされたせいで朝まで飲まされた。
もちろん酒は飲んでいない。
だが延々と話しかけられた。
精神的ダメージは大きかった。
「おはようございます!」
リアが元気よく現れる。
「おはよう……」
「今日も頑張りましょう!」
「俺は頑張りたくない」
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すると。
後ろから声がした。
「相変わらず情けない顔ね」
振り返る。
そこにはフェルがいた。
銀髪が朝日に輝いている。
「お前か」
「お前じゃないわ」
「昨日はありがとう」
「別に」
素っ気ない。
だがフェルは椅子に座ると真顔になった。
「調べたわ」
「何を?」
「あなたのスキル」
レインの顔が引きつる。
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フェルは小さな紙を広げた。
そこには古代文字がびっしり書かれていた。
「昔、同じような能力を持った人間がいたらしい」
「マジか」
「ただし記録は一つだけ」
「嫌な予感しかしない」
「世界を救った英雄になったそうよ」
「本人は?」
「胃痛で倒れた」
「仲間だ!!」
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リアが笑う。
「よかったですね!」
「何が!?」
「先輩がいました!」
「そこじゃない!」
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その時。
受付嬢が駆け寄ってきた。
「レインさん!」
「はい……」
「緊急依頼です!」
「嫌です」
「報酬は金貨五十枚!」
「詳しく聞こう」
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依頼内容。
北の鉱山に魔物が住み着いた。
討伐に向かった冒険者たちが全滅寸前。
救援要請だった。
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一時間後。
三人は鉱山へ向かっていた。
リア。
フェル。
そして雑用係レイン。
「俺いらなくない?」
「必要です」
リアが即答した。
「なぜ」
「安心するからです」
「それは嬉しいけど功績は要らない」
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鉱山へ到着。
すると。
中から悲鳴が聞こえた。
「助けてくれ!」
「魔物だ!」
「逃げろ!」
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次の瞬間。
巨大な影が飛び出してきた。
全長五メートル。
黒い甲殻。
六本の脚。
巨大な顎。
「うわっ!」
レインが叫ぶ。
フェルは目を見開いた。
「嘘でしょ」
「知ってるのか?」
「グランドスコーピオン」
「強いの?」
「Bランクよ」
「帰ろう」
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しかし。
リアはもう走り出していた。
「行きます!」
「早い!」
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ガギィィン!!
剣が弾かれる。
硬い。
オーガとは比べ物にならない。
リアの表情が変わった。
「硬い……!」
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グランドスコーピオンが尻尾を振る。
毒針。
死の一撃。
リアへ迫る。
「危ない!」
レインが叫ぶ。
その瞬間。
フェルが杖を掲げた。
「氷結槍!」
無数の氷槍が飛ぶ。
ドドドドドド!!
怪物の体を貫いた。
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さらに。
フェルの魔法は止まらない。
炎。
雷。
氷。
連続詠唱。
常識外れだった。
「すげえ……」
レインは呆然とする。
天才。
まさにその言葉だった。
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怪物は弱っていく。
そして。
最後はリアの一撃。
「はあああああっ!」
ズバァァァァン!!
真っ二つ。
勝負あり。
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静寂。
そして。
レインは嫌な予感がした。
「来るなよ……」
「来るわね」
フェルが言う。
「来ますね」
リアが言う。
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ピカァァァァァァ!!
光が降る。
やっぱり来た。
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【グランドスコーピオン討伐成功】
【最大功労者:レイン】
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「やめろぉぉぉぉぉ!!」
鉱山に叫びが響く。
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救助された冒険者たちは涙を流した。
「英雄様だ!」
「命の恩人!」
「レイン様!」
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「違うんです!」
誰も聞いていない。
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その時だった。
フェルが突然レインを見る。
「……ねえ」
「なんだ」
「今、少しだけ見えた」
「何が?」
フェルの顔から笑みが消える。
そして静かに言った。
「そのスキル」
「うん」
「功績だけを奪ってるんじゃない」
「え?」
「もっと危険な能力よ」
レインの背筋に冷たいものが走った。
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フェルは空を見上げる。
「もし私の予想が正しいなら……」
「正しいなら?」
「この世界そのものが、あなたを英雄にしようとしている」
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レインは固まった。
「は?」
「つまり」
フェルは真顔で告げる。
「世界規模で迷惑をかけられている可能性があるわ」
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「なんで俺だけぇぇぇぇぇ!?」
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こうして。
レインは知らないうちに、
とんでもない運命へ巻き込まれていく。
そして次の仲間との出会いが、
物語をさらに大きく動かすことになる。
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## 次回
### 第四話
**「最強の盾と勘違い隊長」**
大盾使いガルド登場。
だが彼は最初からレインを伝説の英雄だと信じていて――。




