# 第七話 ## 「黒い塔と仮面の少年」
# 第七話
## 「黒い塔と仮面の少年」
竜族の国。
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青空を裂くように。
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一本の黒い塔が立っていた。
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不気味だった。
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見るだけで寒気がする。
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ノアが震える。
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「こんなの昨日までなかった」
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セレナも険しい顔をする。
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「竜族の結界を無視して現れた」
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異常だった。
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普通ならありえない。
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ルナが塔を見つめる。
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「嫌な感じがする」
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「同感」
フェル。
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リアは剣を握る。
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ガルドは盾を構える。
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レインだけがため息をついた。
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「帰りたい」
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全員。
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「無理」
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即答だった。
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酷い。
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そして。
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塔の入口へ到着する。
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巨大な黒い扉。
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そこには文字が刻まれていた。
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【英雄へ】
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レインが固まる。
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「嫌な予感」
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「入るぞ」
ガルド。
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「聞いて」
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扉が開く。
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ゴゴゴゴゴ……
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中は異様だった。
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まるで別世界。
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星空のような空間。
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重力すら曖昧。
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そして。
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中央に一人。
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黒い仮面。
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黒いコート。
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年齢は十五、六歳。
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少年だった。
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彼はレインを見る。
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そして。
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笑った。
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「やっと会えた」
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またそれだった。
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レインは頭を抱える。
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「最近それ多くない?」
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少年は気にしない。
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そして。
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衝撃の言葉を口にした。
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「英雄継承者レイン」
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「俺は君を殺しに来た」
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静寂。
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リアが即座に前へ出る。
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フェルも魔法陣を展開。
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ガルドが盾を構える。
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ルナの瞳が冷たくなる。
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しかし。
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少年は笑ったまま。
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敵意を向けない。
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まるで。
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友達と話すように。
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「安心して」
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「今はまだ殺さない」
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「安心できる要素がない」
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レインが即答する。
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少年は楽しそうだった。
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「やっぱり面白いな」
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「誰だよ」
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「俺?」
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少年は仮面へ手をかける。
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そして。
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ゆっくり外した。
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全員が息を呑む。
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そこにいたのは。
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レインだった。
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「は?」
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全員が固まる。
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顔。
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声。
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雰囲気。
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全部同じ。
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まるで双子。
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いや。
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未来の姿。
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少年は笑う。
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「初めまして」
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「未来のお前だ」
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世界が止まった。
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リア。
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フェル。
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ガルド。
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ノア。
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アリシア。
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全員が固まる。
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レインだけが言った。
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「絶対嘘」
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即答だった。
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「本当だよ」
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「もっと格好良くなる」
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「そこ!?」
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未来のレインは笑う。
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だが。
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その瞳だけは笑っていなかった。
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深い悲しみ。
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孤独。
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後悔。
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アークによく似た目だった。
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ルナが気付く。
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顔色が変わる。
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「まさか……」
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未来のレインは頷く。
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「そう」
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「俺は失敗した」
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静寂。
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「仲間を守れなかった」
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全員の顔色が変わる。
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未来のレインは続ける。
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「だから来た」
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「やり直すために」
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「お前を殺して」
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誰も動けなかった。
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そして。
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未来のレインは聖剣によく似た黒い剣を抜く。
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その瞬間。
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塔全体が震えた。
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圧倒的な力。
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アークすら超えるほどの。
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絶望的な力。
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未来のレインは静かに言う。
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「今度こそ」
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「誰も失わないために」
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レインは剣を握る。
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嫌な予感しかしない。
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でも。
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逃げるわけにはいかなかった。
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なぜなら。
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未来の自分が泣きそうな顔をしていたから。
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## 次回
### 第八話
**「未来から来た俺」**
未来のレインが語る最悪の結末。
そして明かされる、
リア、フェル、ルナたちに起きた悲劇とは――。




