③ 時空監察局
「何だか、スピード違反のドライバーを捕まえた、白バイ警官みたいだったわね?」
由理子がそう言って、ジャンヌの方に振り返った。
「白バイ……何ですか、それ?」
彼女は不思議そうに言った。
「……ああ、まだ分かんなかったかあ。ごめんね、変な例えで。」
「いえ、いえ。この時代の事はまだ勉強中ですから……良かったらついでに、教えていただけますか?」
「いいわよ。そもそも私たちが乗っているクルマというモノは、タイムマシンに改造される前は、元々地上の道を走るための乗り物なの。」
「はい。それは……知ってます。」
「でね、道によっては、クルマの走るスピードの上限が、安全のために決められているのよ。例えば、普通の道は時速60kmまでとか、高速道路は時速100kmまでとか……。」
「そうなんですね?私たちの世界の馬車は、どれだけスピードを上げても、お上からお咎めがあったりしないのに……。」
「古き良き時代よね。羨ましいわ。……それでその上限を超えて走ると、オートバイという名の、白い二輪車に乗った人がやって来て、取り締まるのよ。」
「取り締まる……どんな風にですか?」
「罰金を取ったり、点数を取ったりするの。持ち点が無くなると、クルマの免許を取り消されるのよ。」
「それは……困りますよねえ?」
「なかなか厳しいわよね。まあでも、歩行者の安全が第一だから……仕方がないかしらね?……とにかく私には、あの小さい方の円盤の主が、その白バイ警官のように、大きい円盤の何かしらの行いを、取り締まっていたように見えたって訳なのよ。分かってくれた?」
「成る程。確かにそうですね……そんな感じでした。」
ジャンヌは納得したようだった。
「……それに、先程の二人は、どちらもニンゲンのようでしたね?」
「そうね。多分、私たちより、ほんの少し先の未来からの、旅行者ってところかしらね?大方、大きい円盤の飛んだコースを咎められたんじゃないかしら?ポータルの出口が小学校の真上っていうのが、如何にもマズイ感じじゃない?」
「確かに。時空転移の出口の計算を、ミスしたんですね、きっと。」
「その通りよ。でも、ジャンヌの知識って、偏っているわよねえ……ああ、ソレは私たちの責任かあ。反省、反省。」
由理子はそう言うと、右手でゲンコツを作って、自分の頭を、ポカポカと可愛く叩いた。
「何だか簡単に、事件の調査・観察が済んじゃったから、続けてもう一件、付き合ってもらえるかしら?」
「はい。喜んで。」
二人は気を取り直して、クルマに戻ったのである。




