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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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㉕ 猫又伝説

 1996年6月1日の土曜日。時刻は14時頃。

 久しぶりに、猫王子ミケーネとその正妻バステト嬢が、名護屋テレビ塔の亜空間レストランに遊びに来ていた。


 二人はメイド服姿の由理子が、運んで来たコーヒーを飲みながら、奥のテーブルで目立たないように寛いでいた。

「ご無沙汰してます。お元気でしたか?」

 いつものように、にこやかに挨拶をする由理子。


「いやあ、久しぶりに休みが取れてね。それでどうしても、由理子の顔を見たくなって、つい来てしまったのさ。」

 白い毛並みのミケーネ王子が、鼻の下を伸ばして言う。

「"由理子の"、じゃなくて"皆さんの"、でしょう?」

 隣の席から、夫の頬の毛皮をつまみながら、黒猫のバステト嬢が言う。

「痛てて……そうでした。」

 しょんぼりする猫王子。相変わらず、妻の尻に敷かれて居るようである。


「そうだ。もしもお暇でしたら、ちょうど猫族のお二人に、御一緒していただきたい案件が有るんですけど……良いかしら?」

 "猫撫で声"で猫に迫る由理子。


「おお、もちろんだとも。由理子のお誘いならば何処へでも喜んで!」

 猫王子は二つ返事だ。

「待ちなさい。ちゃんと案件の内容を聞いてからよ。どんな事かしら?」

 夫を制するバステト嬢。


「実は、昔から日本に伝わる、"猫又伝説"の調査なんです。」

「猫又……って何かしら?」

「長生きした猫が変身する、猫の怪異らしいんです。どうやらヒトを食ったりしたらしいですよ?」


「それはまた……美食家とは言えませんなあ。いや、決して悪い意味ではありませんよ?まあ由理子さんだったら、食べてしまいたいほど、可愛らしいけど……。」

「貴方、それ、違う意味の"食べる"でしょう?」

 すぐに黒猫が、眼を吊り上げて怒りを露わにする。

「ああ、ごめんなさい。もう言いません。」

 何だかそんな返事をするミケーネが、哀れに思えてくる。


「宜しかったら、今から早速いかがですか?」

「良いわよ。行きましょう。ちょうど身体も鈍っていたところだし、悪いヤツ相手に、そろそろ暴れたいモードだから、私。」とバステト嬢。

「僕は最初からそのつもりだったから……じゃあ、行こうか?」

 猫王子も乗り気だ。


「鷹志も来てね。」

 カウンターの方を振り返って、由理子はそう言った。

「えっ、僕も?」

 悪魔嫌いの杉浦鷹志は、ドギマギしていた。

「当たり前でしょう?今日は四人で、時空を超えたダブルデートよ!」

 由理子はそう言って押し切った。


挿絵(By みてみん)

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