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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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㉔ 帰還

 カグヤと成雪は、無事に中庭のビートルまで戻り、乗り込んだ。いつもの帰還シークエンスの最中、ハンドルを握る成雪がカグヤに話し掛ける。


「今回のカグヤ、まるで雪子さんみたいな論破ぶりだったね。僕は隣に座っていて、ビックリしたよ。」

「これまで貴方と一緒に、日本の歴史の勉強をしてきた甲斐が有ったわ。前々から、徳川家康の影武者説は議論されていたでしょ?それに、肉人がクローンだっていう、貴方の閃きもヒントになったしね。」


「未来から来た誰かが、クローンを利用して、次から次へと、家康の死を回避していったんだね?」

「そして、260年以上持続する徳川幕府を実現した。結果的に、それまで続いていた戦乱の世の中を終わらせて、日本国のシステムとしては、一歩前進したのよね。」


「その未来人を名乗る爬虫類族は、日本国の恩人という事になるのかな?」

「さあ?そこは慎重に判断したいわね。ただもしも、そんな事をする爬虫類族が存在するなら、それはきっと……。」

「……ウアジェト女王だね?」

「彼女は江戸時代の直前から、ニンゲンの歴史に干渉していた事になるわね。」

「コレは氷山の一角に過ぎないとか?」

「有りうるわね。」


 そんな事を話し合っているうちに、緑のビートルは、無事に名護屋テレビ塔の、地下駐車場にたどり着いたのである。

 亜空間レストランに戻ると、二人は早速、サン・ジェルマン伯爵に、今回の事件の顛末を語った。


 話を聞いていた伯爵は、最後に自分の推論を述べた。

「お二人とも、ご苦労様でした。多分、カグヤさんの推察で間違いないと思います。だからこそ、家康公を神として祀る日光東照宮には、"見ざる、聞かざる、言わざる"の三猿像が有るのでしょうね。そして、フルカネルリ卿のウアジェト女王が、日本に肩入れする理由はただ一つ。非核三原則を順守する、世界唯一の被ばく国だからでしょう。」


「ああ……なるほど。」成雪が思わず呟いた。

「彼女の核兵器ヘイトぶりは、徹底しているものね。」カグヤも同意した。

「それにしても、江戸幕府って私たちのチームと縁が有るのね?」

「何故そう思うのですか?」

「だって、ほら、徳川家康の参謀だった天海僧正の正体は、雪子さんが救い出した明智光秀なんでしょう?」


「……カグヤさん、知ってたんだ。」

「雪子さんから直接聞いたの。だって彼女は、私の師匠なんだもの。」

「……そうですか。」


(やれやれ。カグヤといい、ジャンヌといい、彼女の弟子たちが、どんどん好戦的で歴史介入が好きな、雪子さんに似て来るのも、些か困りものだな。)

 そんな風に伯爵は、心の中でこっそり呟いたのである。

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