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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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㉒ 彼は何番目なのか

「さて、恐れながら、申し上げます。」

 カグヤが更に言葉を続ける。

「なんじゃ、申してみよ。」

 気楽そうに答える家康。

「大御所様は、何番目の家康公なのでしょうか?」


 カグヤのそのセリフが、場の空気を一瞬で変えてしまった。屏風の後ろから剣を抜いた者が二人。左右の奥の間から同様の二人。カグヤと成雪の真上の天井裏から、火縄銃を構えた者が一人。そして、後方の回廊には弓矢を構えた者が四人、一斉に現れたのである。


「……成る程。秘密を知った者は、生かして帰さない、という構えなのですね?」

 カグヤは尚も、落ち着き払って言葉を続ける。

 家康公は、それを黙って聞いている。

 成雪は、ただハラハラドキドキしていた。


「更に付け加えるなら、貴方様は、未来からの来訪者に会うのが、コレが初めてではありませんね?」

「何故にそう思うのだ?」

「上様が余りにも、落ち着き払っておられるので……。」


 すると彼は、更に少し沈黙した後、突然大声で笑いだしたのである。

「うわっはははっ。気に入ったぞ、小娘!貴様、名は何と言うのだ?どうだ、早速今日から、ワシの側室にならんか?」


「大変勿体ない御言葉ですが、謹んでお断り致します。私の伴侶は、コチラに控えております成雪に決まっております故。」

「そうか。それは残念だのう。」


「それに私の本名はカグヤ・イシュタル。異国の神々の末裔なのです。そしてこの成雪も、正体は遠い異国の神。セト神なのです。」

「ホラ吹きも、そこまで言いきると、面白いのう。」

 家康は信じていないようだった。


「では、お見せしましょう。」

 カグヤはそう言うと、自分のカラダを、その場で空中浮遊させて回転し、家康に、小さな白い翼が生えた背中を見せた。と、同時に、座ったままの成雪の姿が、長い鼻、長い耳で黒い顔の……セト神に変化したのである。


 コレには、流石の家康も驚いたようだった。

「面妖な術を使いおって……まあ、よいわ。皆の者、ここは一旦引けい!」

 その家康の一声で、何事も無かったかのように、全ての警備兵が、再び姿を隠した。


「……それで、その未来からの来訪者とやらが、ワシに何用なのかのう?」

「少しだけ、確かめたい事が有るのです。他所で言いふらす事などしませんから、どうぞご安心を。」 


「今日初めて会ったばかりの其処許を、信じよと申すのか?」

「真実を言ってみたところで、どうせ誰も信じますまい。」

「違いないな。はははっ。」

 家康はまた笑った。

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