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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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⑯ 地下の用心棒

 由理子は、ビートルを岸辺に降ろし、香子と一緒にウアジェト女王の元に近づいて行った。

「ああ、いらっしゃい。今日は姉妹二人きりなのだね?」

 愛想良く挨拶する女王。

「あの……午前中は失礼しました。」

 妹の後ろに隠れるようにして、そんな事を言う香子。


「ああ、気にしないで下さい。でもアルコールも程々にしないと、そのうちにアナタも、"ウルトラマンのケロニア"や、"ウルトラセブンのワイアール星人"みたいになるかもしれませんよ?」

 と香子のジョークの続きを披露する女王。案外、根に持つタイプなのかもしれない。由理子はそう思った。


「もう……勘弁して下さい。」

 珍しく弱腰な香子。

 仕方が無い。酔っていたとは言え、余計な事を言った自分が、全面的に悪いのである。とりあえず話を変えなくては。


「ところで、女王は、そのモササウルスとお知り合いなので?」

「……ああ、この子のことね?」

 彼女はその海竜の鼻先を、ナデナデしながら答えた。

「最近、この湖も物騒になって来たから、この子たちに用心棒を依頼したんだよ……報酬に、美味しいお食事を与える約束でね。」

 香子は、そのお食事のメニューが何なのかは、訊かない方がイイ気がした。


 実はテレパスの由理子には、この爬虫類族同士の関係が、何となく察しがついていた。それは心の会話が、薄っすら聞こえていたからだった。それに今までの経緯から、この地下世界には、多くの古代生物が生き残っている事が、分かっていた。だからモササウルスがここの常連でも、なんら不思議な事は無いのである。


「……逆に、地上世界の様子も、偵察に行かせているのでしょう?」

 由理子は、そこから推察した事を口にした。

「やれやれ……やっぱり由理子には、隠し事はできないね?」

 女王は、こちらに振り向きながらそう言った。

 その間に、モササウルスは帰って行った。


「そうだよ。地上の紛争については、逐一報告をしてもらっている。」

「……それは、いざとなったら、地上の状況に介入するためなんですよね?」

「その通りだ。アメリカにせよ、ソ連にせよ、地上世界を牛耳るニンゲンが、いつ核ミサイルの発射ボタンを押すか、分かったものではないからな?」


「……ですよねえ。」

 耳の痛い話だ。由理子は納得せざるを得なかった。

「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」

 どちらからともなく、声を掛け合って、真田姉妹はビートルに戻ったのである。

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