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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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⑮ 北大西洋の怪物

 海面に飛び散る、船の残骸の上に現れた、荒ぶる巨大なソレは、どう見ても既存の海洋生物とは、異なる存在だった。ソレは一見、ワニのようにも見えるシルエットで、体長は18m程。しかし、海にワニが居るはずはない。4本の脚の先には水かきが付いており、尻尾の先は尖っていて、頭部は先に行くほど幅が狭かった。少しでも、太古の恐竜に関する興味が有る者なら、恐らくソレは"モササウルス"だと、断じる事だろう。


 潜水艦の司令塔には、件の司令官を含め、一等機関士、航海士、総舵手など、合計6名のドイツ兵が詰めており、その全員が、この怪物を目撃したのである。怪物は、彼等との3分ほどの睨み合いの後、やがてゆっくりと海中に戻って行った。司令官は後に、この日の一部始終を、航海日誌に残している。


 その様子を、上空のビートルから観察していた由理子と香子は、早速クルマの潜水モードを使って、モササウルスを追いかける事にした。水中に飛び込むと、眼の前をゆっくりと泳ぐ、件の怪物が見える。だんだん深く潜る様子だ。彼女たちの黄色いビートルも、水深100mまでの潜水は可能な仕様だった。


「行けるところまで、ついて行こう。いいわね、お姉ちゃん?」

 由理子はそう言って、クルマを海底に向けた。

 やがてその追跡中に、水深は30m、50m、80mを越えた。


 そろそろ、こちらの車体の強度に不安が出そうな頃、怪物の行く手に、大きな穴が現れた。そこに入って行くモササウルス。由理子も、当たり前のようについて行く。真っ暗な穴の中で、ビートルのヘッドライトの灯かりだけが頼りだ。水深計は、いよいよ100mに近づいている。もう限界だ。


 二人がそう思った時、急に辺りの水中が明るくなり始め、水深計もクルクルと回り、あっという間に10mのところまで浮上して来た。そしてとうとう、怪物と一緒に、再び海面上に出たのだ。そこは見覚えの有る風景だった。沿岸の草原は赤く、空はピンク色。そのまま上空に上がると、遠方にはノイシュヴァンシュタイン城によく似た形の、クリスタル製の城が見える。


 ここは懐かしの地下世界だった。つまり、北大西洋の海底の穴は、地下世界の湖に、つながっていたのである。モササウルスが海岸に近づいて行く。その海岸に誰か立っている……ソレは、ウアジェト女王だった。まさか彼女が、モササウルスと関係が有るのだろうか?そう言えば、爬虫類つながりではあるが……。


挿絵(By みてみん)


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