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Vol.6 襲撃 ーanecdoteー


「衛兵ぇッッ!!」


イザベラの号令と共に、数十人の城兵たちが温室に突入してきた。弓や槍、剣などの武器が鎧とぶつかってガチャガチャと鳴る音が押し寄せてくる。兵士たちの後ろから、イザベラとリュードも走ってきていた。

ジオンを取り囲んでいたガーディアンたちは、アルマを除いて全員が"そっち"に取りかかった。

鬨の声が上がる。

武器を打ち合う音が無数に広がった。


ガーディアンたちの戦闘力は凄まじいものだった。

集団で飛びかかる兵士たちを軽やかにかわして野獣のように突き抜けたかと思うと、まわりの兵士たちがいっぺんに吹っ飛ぶ。たったの十数人で数十人をものともしない。衛兵たちはバタバタとなぎ倒されていった。


しかしこちらも負けてはいなかった。

リュードは巧みにサーベルを扱いながら、闘牛のように敵に猛襲をかけている。ガーディアンの男が槍を突き出した瞬間、リュードはそれをすれすれでかわすと同時に、男の横をひゅっと走り抜けた。


「………?」


男は戸惑った。

しかし。

刹那、トンッと男の両腕が宙に飛んだ。

鮮血のしぶきがあがる。


「ぐわあああっっ!!」


悲鳴を上げる男をよそに、リュードはアルマに狙いを定めた。鋭い"突き"をくり出す。あまりの速さに、ボッ!!と風が鳴った。アルマは、一旦後ろに退いた。


「ヴィオラは?!」


リュードがジオンに走り寄ってきて言った。


「っダメだ連れてかれた!」


「何…?!チィ……やってくれたね君たち……!」


リュードがアルマを睨み付けた。

しかしアルマは怯まない。こちらもリュードを睨み付けて言った。


「…てめぇらが俺たちにしたことはこんなもんじゃねぇだろ!」


再び二人が剣を構えた時。

一つの影が、彼らの頭上をものすごいスピードで飛び越えていった。

影は一瞬で衛兵たちをなぎ倒すと、一直線にイザベラに向かっていった。そして勢いよく、短剣を振り下ろした。

しかしイザベラは意外にも、扇の仕込みナイフでそれをいとも簡単に防いだ。真っ赤なドレスが大げさに揺れる。


「これはこれは……族長の孫娘が直々にお出ましとは。ごきげんよう、レイン?」


イザベラは笑みを浮かべて言った。

ナイフと剣が鬩ぎ合い、カチカチ…と音を立てる。

レインは憎らしげにイザベラを睨んだ。


「ふん、そっちこそ。女王が自ら戦いの場に赴くとは……相当彼らーー夢人が大事なようね」


「…ええもちろん、久々のお客様だったもの。彼女をどこへやったの?」


「………教えると思うか?貴様ら略奪者に」


それを聞いたイザベラの目がギラリと冷たく光った。


「無礼な……わたくしはこの国の王よ!」


扇を持った手に力を込め、相手レインをぐいと押し返した。摩れ合う鉄の鈍い音が響き、二人は間をとった。しかし再び剣を交えることはせず、レインはタタンと近くの岩の上に登って、仲間たちに向かって叫んだ。


「もういい、お前たち!目的は果たした。一旦退くぞ!!」


ガーディアンたちはそれを聞くと、一斉に木を飛び越え飛び越え、天井のガラスにあいた穴から外へ出ていってしまった。


「追え!逃がすな!!」


イザベラが大声を上げる。衛兵たちはあわててバタバタと温室の扉から走っていった。

ジオンとリュードもそれに続こうとした、その時だった。


ジオンの視界が、急にぶれ始めた。


「…………っ?!」


ふらふらとその場に倒れ込み、頭を押さえる。視界はどんどん暗くなっていく。驚いたリュードが傍に駆け寄ってきて名前を呼ぶのが聞こえた。しかしその声も、だんだん意識の彼方へと消えていった。



そしてとうとう、目の前が真っ暗になってしまった。




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