Vol.6 襲撃 ーⅤー
事件は突然起こった。
それはちょうど、彼方に広がる山脈に日が沈みきった時だった。
ジオンとヴィオラは、城の温室の中を散歩していた。肩を並べて、たわいもない話をしながら笑い合う。と、一匹の美しい蝶がヴィオラの頭にとまった。ジオンがそれに手を伸ばした瞬間ーー
ガシャアアアアアアアンッッ!!!
けたたましい音が二人の頭上で鳴ったかと思うと、無数のガラスの破片がばらばらと降ってきた。同時に、数人の人間が温室に飛び込んできた。
彼らは数十メートルもある高さから、温室の中心に立つグラウカの樹に飛び移ると、一斉に二人をめがけて突っ込んできた。
「なっ………?!」
ジオンとヴィオラは突然の出来事に不意をつかれ、それに反応するのが遅れた。
咄嗟に刀の柄に手をかけたところへ、侵入者の一人が短剣を持って襲いかかってきた。
ギィンッと二人の剣が打ち合う。その時初めて、ジオンは敵の正体を知った。
アルマ。
確かそう呼ばれていた、あの少年だ。
とするとこいつらは全員森の番人か。
キキンッと相手の剣を払ったその時だった。
「きゃああああっ!!」
別の一人がヴィオラの細腰をかつぎ上げ、そのまま傍の大木に駆け上がってしまった。白い花の髪飾りがヴィオラの頭から取れて地に落ち、割れた。
「?!おいっ……」
すぐさまそいつを追おうとしたが、アルマがそれを許さなかった。ビュンと振った短剣がジオンの頬をかすめる。ピッと血が噴き出した。
気がつくと、回りを囲まれてしまっていた。
「くそっ…!!」
ジオンは、ヴィオラとヴィオラを担いだ番人が、侵入してきた穴から外へ出るのを、何もできずに見つめながら叫んだ。
「ヴィオラァァァーーーーッッ!!!!!」




