Vol.6 襲撃-Ⅱ-
廉は家から学校までの道のりを一人で歩いていた。
いつもなら近所の公園で真岡と落ち合い、一緒に駅から電車に乗って行くのだが、今日は真岡がいない。
幼い頃からずっと一緒だったので、少し変な感じがした。
7時40分。いつもの時間に学校に着くと、靴箱で亮太に会った。
「おーっス、廉」
「おう」
それだけ言って、二人で肩を並べて廊下を歩いて行く。少しだけ気まずい。
何か話題はないかと探しているうちに教室に着いてしまった。
廉と亮太はお互い何も言わずに、それぞれの席についた。
* * * * *
剣道はいい。余計な雑念を一掃できる。
特に今日みたいな、心にもやもやとした霧がかかっている日にはうってつけのスポーツだ。
亮太は学校にいる間中、気を使ってか真岡のことには一切触れなかった。クラスの雰囲気もなんとなくどんよりとして、ムードメーカーを失った影響は思っていた以上に大きかったようだ。
廉は手に持った竹刀を強く握りしめ、対峙している相手を見据えた。
互いの剣先が触れるか触れないかくらいの距離を保ったまま、足を一歩ずつ前へ、後ろへと動かしていく。刹那、つつっと音を立てずに相手に詰め寄った。
警戒した相手の竹刀が一瞬、ふわりと浮いた。
すかさず手首に力を込めて小手を撃つ。カツッ、と剣先が当たっただけで、辛くもかわされてしまった。
しかしそれも予想内。
あわてて間をとろうと逃げたところを、
「んメェアああアーーーーーっっ!!!」
パアンッという乾いた音が鳴り響く。
快心の面打ち。文句なしだ。
同時に、心のもやが晴れていくような気がした。
そうだ。うだうだしてても始まらない。前向きに考えなければ。
とりあえず真岡は”あっち”の世界で無事に生きている。
真岡の名を縛っている輩を見つけさえすれば、彼女は解放されるはずだ。
廉は道着と竹刀をしまい、道場を後にした。




