VOL.5 クイーン ファンタジア - Ⅱ - anecdote
ジオンやヴィオラたちが部屋を出て行った後、
客室にはイザベラとリュードの二人だけが残っていた。
イザベラはソファに座り、手に持っている扇を開いて
ゆっくりと煽いでいる。その傍らにリュードが立っていた。
「………他に報告は?」
イザベラが問うた。
リュードが答える。
「………道中、森の連中に見られました。
何かしてくるかもしれません」
「…何?」
イザベラは煽ぐのをやめた。
「見られたの?ガーディアンに?
チィ……それは厄介だわ。なんてことしてくれたのよリュード」
「いや……それはオレのせいじゃないでしょ。変な八つ当たり
せんでください。ほら、そのむくれっ面もやめ……………」
イザベラが腕をビュンと横に振り、扇に仕込まれた小型ナイフを
リュードのみぞおちに突き立てようとした。
が、リュードはいとも簡単に彼女の手首をつかみ、ナイフの
刃先はリュードの身体の1センチ手前で止まった。
「はは……やっぱりこういうのが似合ってますよ、陛下には」
リュードが笑って言った。
イザベラは腕の力を抜いて手を引っ込めると、
ナイフを扇のなかにしまった。
「フン………おまえのその憎まれ口にはいつもむかっ腹が立つわ。
……まぁでも腕だけは確かだから側近においているのだけれど」
「へえ、貴女が褒めるなんて珍しい。明日は槍でも降るかな……」
イザベラはふぅとため息をついた。
「もういいわ、今日は下がってよろしい。おまえはあの
坊やたちについていてあげなさい」
「……仰せのままに」
リュードはイザベラの手の甲にキスをすると、
きびすを返して部屋を出て行った。




