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Vol.5 クイーン ファンタジア - Ⅱ -


「ジオン!!」


不意に後ろから抱きつかれ、ジオンはぎゃっと声をあげた。

振り向くと、見慣れた幼なじみの顔が満面の笑みを浮かべている。


「なっ、おま、真……ヴィオラ!」


ジオンは驚いたのと、彼女に会えてほっとしたのと、真岡の

名を呼んではいけないという緊張とがごちゃまぜになり、

おたおたした。

その様子を見て、リュードが吹き出す。


「ぶっ……あはははは!

 さすがのジオンもお姫様の前では形無しかあ」


ジオンはカッと顔を赤らめた。頬があつくなる。


「うるせぇ黙ってろ!

 お前にそんなこと言われる筋合いは無……」


「会いたかったああぁジオン!!

 もー来るの遅いよ!ずっと待ってたんだからね!!」


「うわっ、ちょっとやめ……いいかげん離れろお前!」


「あはははははははは!!!」


「!! っこの野郎リュード!!」



ギャーギャー騒いでいると、召使いの男が大声をあげた。


「お静かに!女王様がお見えです」


とたんに、客室はしんと静まり返った。

カツンという靴の音が鳴り響く。数人の使用人を

連れた若い女が一人、部屋に入って来た。


「ようこそ我が城へ。あなた方が夢人ね?」


鈴が鳴るような声。真っ白な肌。燃えるような赤い髪。

歳は24、5歳くらいだろうか。女はにっこりと微笑んで言った。


「私はイザベラ・アンセルム・クイーンズベリー。

 この国の女王です。どうぞ宜しく。…………本当はこの後

 お庭のお散歩でもと思っていたけれど、今着いたばかりで

 お疲れでしょう。また明日改めてお誘い致しますわ。今夜は

 ゆっくりお休みに………」


が、イザベラの言葉はリュードによって遮られた。


「失礼、イザベラ様。…その話し方、やめてもらえません?

 気持ち悪いんスけど。いつもの高慢ちきで凶暴な女王様は

 どこに行…………」


リュードは急に口をつぐんだ。というのも、一本の

テーブルナイフが顔めがけて飛んできたからだ。

リュードが反射的にそれをかわすと、ナイフはダンッという

鈍い音をたてて壁に突き刺さった。


それを見て、ジオンとヴィオラがぎょっとした。


「……何か言った?リュード」


笑みを浮かべたままイザベラが言った。

リュードが慣れた様子で笑い返す。


「…いえ?別になにも」


するとイザベラは再びジオンたちの方を向いて、

にこやかに言った。


「ごめんなさいね、うちの従者ったらお調子者で………

 さあ、お客様をお部屋へ案内してさしあげなさい」


と、まわりの使用人たちに命じた。




ジオンは黙ってイザベラに一礼すると、

一人の召使いの後について部屋を出た。







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