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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第95話 港町防衛作戦準備




 鳥のさえずりと共に目が覚める。頭がぼーっとする中、拠点の男部屋での会話が遠くからぼんやりと聞こえる。




 頭が痛いな……昨日の「飛竜祝勝会」で飲んだ、鬼人族からもらった貴重な酒が少し残ってる感じだな。喉も痛い。飛竜の肉はなんかうまかった気がするんだけど……かなりがっつりと寝たのに色々ありすぎて何か頭の整理が出来て無い感じだなぁ……頭の奥が重い気がする。




「なぁ、また脱落者出てるぞ?」


「……ここのところ毎日3,4人ペースだな……」


「なにかあったのか?」


「座標がバラバラだから……餓死とか、体力ないところを魔獣とか妖魔にやられたとか……かもなぁ……」


「プレイヤー狩りかもしれないけどねぇ……」


「それも怖いな……」


「……俺ら、一応、PVPやってるはずなんだけどな……」


「確かに」


「これ、最後の一人のプレイヤーになるのって無理ゲーじゃないか?」


「ああ、でもサチさんの行動見る限りは……スキル次第で探せるんじゃないか?」


「まぁ、そうだよなぁ」




 ……特にスキルの内容の話をしていないけど……どんなスキルを持っているかはばれてる感じだな。皆スキルの考察をするのが娯楽になってるって言ってたけど、それなんだろうなぁ……昨日の宴の時の話だと、スキルを使ったバグを見つけるとか、そういうのも流行ってるらしいし。


 何でもスキルをかける順番で結果が違ったり、同時にかけられないスキルが合ったり……と、現実だけどスキルの挙動でバグが起きる……変な気分だ。




【……まさかあんな抜け道があるとは……】


『固定』も大分おかしなスキルだもんなぁ……


【ほんとですね……設定した者が大丈夫だと良いのですが……】


 ……リストラとかあるのか……


【いえ、お仕置きレベルかと思いますが。数百年の】


 ……あるのか。お仕置き。年数も神レベルだな。




 俺もUIを出してログを見てみる。確かに脱落者が増えてる感じだな。このペースだとあっという間にプレイヤーが絞られそうだな。ライフラインを確保した人以外、全員脱落しそうだ。


 逆に言えばライフラインを確保した人間は生き残ってその中でのサバイバルになるんだろうなぁ……本格的な殺し合いが始まるのだろうか?


 この拠点メンバーのやりとりを見てるとそうは思えないけど……




 準備を終えて外に出ると、テストプレイヤーのホーム。見た目がどう見てもテントの中からリョウコが出てくる。さすがにアスティナさんとは別に寝たみたいだな。


 んー? 昨日よりは大分健康に見えるな。やっぱり精神的に来てたのか……なんか、現実世界でよく見た「休日の顔」になった気がする。




「おはようございます」


「おはよう。今日は別か……」


「アスティが安心して寝られるようにですね。完全に警戒を解いてくれたわけではないので……」


「まぁ、そうだよな。大分顔色良いな」


「……酒をごちそうになったから……かもしれませんね。久々に酔いましたよ」


「……寝られてなかったのか」


「はい……この世界が現実だと知ったら……酒でも飲んでないとやってられませんね」


「そんなもんか……」


「そんなもんです」




 ……何か少しぎこちない笑顔だな。時間が解決してくれると良いんだけど……


「あ、一つ気が付いたんですが……」


「ん?」


「どうやらこちらの世界のものを食べないと、あまりトイレに行きたくならないみたいですね」


「……なんだそれ?」


「運営から支給されている携帯食やらを食べてると、完全吸収されちゃうみたいで……だから現実感なかったのかもしれませんね。よくよく考えてみると……トイレに行った記憶あんまりないんですよ……」


「……なるほど」




 未来食……みたいなやつか? ちゃんと使っておかないと消化器官が退化しそうだけど、大丈夫なんだろうか?




 §  §  §  §




 新しく近くに出現したスキルオーブを求めて探索組が出払った後、俺は一人残りジンパチさん達の指揮のもと、兵器開発のお手伝いをする。


『固定』と『削る』は本当に便利の様で……大型の部品なんかを簡単に作成できるんだよね。空中に『固定』床を作れば作業台になるし。『固定』を部品自体にかければ手で押さえつけなくても作業できるし。『削る』もワールド座標で出すとなんでも削れる勢いだしな。みんなが言うには凄いチートらしいけどいまいちピンとこない。


 ……って、なんで丸太をくりぬいてるんだろ? あ、ここに粉入れるのか? 


 ……これ、矢か? でかすぎじゃない? 槍というより柱みたいなんだけど。型紙に合わせて部品もけずるんだけど、これ鉄? 金属だよな? ヌルヌル削れ過ぎておかしいな……




 拠点での作業を色々と視察していたアスティナさんが話しかけてくる。もちろん鬼人族語でだけど。




『カタシ、それは何を作っているの? 破城槌ってやつかしら?』


「カタシ、それはナニヲツクッテル? うーん…… トリデをコワス武器?」


「ああ、なんでも……バリスタの矢……らしい。中に「カプサイシンもどきの粉」をつめてるらしいけど……」




 ウィンディードさんが困った顔をしてるな……通じないよなぁ……リョウコも残ってくれればよかったんだけど、気を使って探索の方について行っちゃったもんな。


 俺は別の場所で作業をして作成中の遠距離攻撃「バリスタ魔改造版」を指さす。




「あれの弾だな……矢?」


「ホントウ? ヤ?」


『まさか、あれの矢なの? 本当に撃てるの?』


『わかりません……前より一回り大きいような気がするのですが……』




 何かアスティナさんがものすごく怪訝な顔をして俺とウィンディードさんを見る。まぁ……信じられないサイズだよなぁ……俺抜きでもできるって言ってたけど、どうやるんだろ?


 どうみても前よりも大きいんだよなぁ……




 §  §  §  §




 拠点防衛組が勢揃いして新型の「回転スキル式バリスタ改」の試射を行っていた。


 なんか、全体的にバリスタの弓も弦も抑える機構も前回よりも大きいし……滑車やギミックもついたり、紐と言うより縄やらゴム素材? やらで補強されて……弾もとんでもないでかさなんだけど……これほんとに飛ぶのか?


 なんか巻き取り機械みたいのがガリガリと回って弦が引かれて……引っ張られてるな……何か歯車で止まったけど……


 ジンパチさん達開発陣がニヤリと笑う。計算通りみたいだ。




「発射!!!」


「フンッ!!」




 ブォン!!!  ドォン!!!!!       




 巨大なレバーをカンジさん達が数人がかりで全力で動かすと、すごい轟音と地響きがしたと思ったら柱の様な矢が発射される。大砲撃ってるくらいなんだけど……すごいなこれ。反動でカンジさん達が軽く吹き飛んでる。皆予測出来て無かったみたいだ。


 サツナさんの『摩擦』が無い状態で弾を射出してるから音が途中からするし。


 本当に空気を引き裂くかの様な音がした後に柱の様な矢が飛んでいく。




 ドォン!!!!ガアン!! ポフッ!




 4,5百メートル先にある岩に、柱の様な弾が当たり、爆散する。中にダミーで詰めていた砂がまき散らされ爆発が起きたかのようになっていた。


 サツナさんが嬉しそうに着弾を報告してくる。目標のバツ印よりずれてる様に見えるけど……




「目標より5メートル外れました! これで行けますね!」


「うーん、このくらいが限界でしょうかねぇ……」


「いくら『滑る』で摩擦減らしても……百メートル先からはコントロールできませんからねぇ……羽をつけるしかないんでしょうか?」


「ああ、たしかに。普通にクロスボウとかミサイルくらいの羽はつけたほうがよさそうですね」


「先端だけ鉄で覆って船体を貫通させた方が良いんじゃないか? 木の装甲くらいは打ち抜きたいな」


「中でトウガラシや油を爆発させないと意味ないですからねぇ……」




 開発陣が相談しながら楽しそうにしている脇でアスティナさんもなにやら話していたが……ちょっと驚いている感じか?


『……スゴイのね……あんなに遠くまで届くなんて』


『スキル、『神の恩恵』を利用したらしいので、私たちにも、ヴェネトア王国の人間達にも無理かと思います』


『なるほど……やはり『神の恩恵』か……今回はイレギュラーが多すぎね』


『やはり彼らは神が使わせた『使徒』なのではないでしょうか?』


『……それにしては……普通なのよね……考え方が。使命も見当違いだし……』


『なんですよね。裏があるのでしょうけど……』




 ……なんか目が合うと微笑まれた……試射を実際に見たらアスティナさんも安心したみたいだな。




 それにしても……カイトさんの『回転』のスキルをメインに巨大な巻き上げ機の力で弦を引っ張って『滑る』で摩擦を減らして飛ばしているんだけど……超大型のパチンコみたいだな。ってかこれだけの弦をひっぱれる『回転』ってどんだけパワー持ってるんだ?? 弦がほとんど鉄の棒みたいなんだけど???




「カイトさんの『回転』ってどれだけのものを回せるんです?」


「ああ、回るなら……回せるんだよね……」


「? ……なんですかそれ?」


「速度も大きさの制限もあるんだけど、制限が無いからグルグルと……」


「え、何でも回し放題?」


「ああ、そうなるな。モーター代わりにもなるから回転機構作っちゃえばなんでもできちゃうみたいだなぁ……ほんとワールド座標はチートだよなぁ」


「ですねぇ……ローカルの方が使い勝手いいんですけどね」


「だよなぁ、ローカル指定だと回らない奴も「ワールド座標」だと回るんだよな。ここまでのパワーが出るとなると……設定ミスってる感じがするんだけどな」


「ほんとに」




 サチさんに教えられなければ「ワールド座標」でスキルを使う発想が無くなってたからなぁ……ローカル座標指定が使いやす過ぎるんだよね。ワールド座標はほんと使いどころが難しくて……


【その割にはうまく使えている様に見えますが……】


 ローカルの方がイメージが楽なんだよ……追従してくれるのが最高なんだけど。同じ威力にできないの?


【その辺は……設定した者に言わなければいけませんね……変えられるのでしょうか?】


 ……アーゼさんでもわからないのなら、こっちもわからんのですが……




 俺は着弾地点がかなり遠く離れているのを見て、これなら何とかなる……と思いつつも、中世の大砲の砲撃ってもっと飛ぶんじゃないか……と疑問になった。


「ジンパチさん、この距離だと……相手の大砲届きませんかね?」


「届くとは思いますが、有効射程距離は短いそうですよ。ケイさんの『地形操作』で陣地作って、その前にワールド座標の『回転』の盾を作ってもらう予定ですので、たぶん大丈夫かと」


「……『回転』も壊れスキルだったんですね」


「そうみたいですね。単純な言葉ほど強いスキルになっている感じですね」


「……そうすると、ジンパチさんの『柔化』も強い方なんですね」


「そうですよね。ジンパチさんの周りに『柔化』の壁を展開したら……どうなるんです??」


「……ワールド座標で……やってみますか……」




 試射も終わり、量産に入るところでジンパチさんの『柔化』の盾を試してみた。


 柔らかくなってノーダメージ……かと思いきや、大き目の岩などで試すと柔らかいけど質量は変えられないので、質量を受け止め切れずにジンパチさんが見事に吹き飛んでいた。


 大量の水を受け止めてるようなものか……


 鉄の弾の質量は変えられないとなると……まぁ、ふつうに死ぬな。吹き飛ばされて。




「イテテテ……残念ですが……なにか光明が見えた気がしますね」


「ほんとに、色々できるみたいですね」




【まさか、こんな使い方をするとは……】


 想定外? ワールド座標を指定……とかなるとそうなるんじゃないかなぁ……と思うけど。


【ワールドルール変更は今からは出来ませんが、今後は議題案件ですね】


 あ、やっぱり次のバージョンがあったら変更されるか……今のうちのこのバグとも思える仕様でクリアまでこぎつけたいな……




 ……ん? 次のバージョンあるのか???


 ワールドルールって……なにそれ? ほんとゲームだな。




 §  §  §  §

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