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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
4章 テストプレイヤーと分岐点

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第90話 鬼人族の港町を急襲せよ! のミッション?

 食堂にいた人間の視線がリョウコに注がれる。驚きと興味の目が殆どだった。


「やり直しってあれか?」

「ループモノにあるあの?」

「やっぱりそんなのあったのか!」

「時間巻き戻るスキルがあるのか?!」

「ってか、女子大生のおねーさんくらいに見えるんだけど?」

「全員高校生じゃなかったのか?」


 そういえば彼女の紹介……全員にはしてないままだったんだよね。

【大丈夫なのですか?】

 ……まぁ、リョウコの情報が本当に正しいかどうか……判別するいい機会になるはずだしね。鬼人族には言葉が通じるわけだしね。

【なるほど……】

 それにしても女子大生か……まぁ、見た目物凄く若いもんなぁ……ちょっと童顔だし。

 社会人なって……3年は経ってると思うんだけどなぁ……


「あの、先輩、心の準備が……いきなりすぎじゃないですか?」

「ミッションで見た事を話してくれるだけでいいんだ。情報が欲しいだけだから」

「……わかりました。余計なことを考えず……ですね……プレゼンするみたいですね……」


 リョウコはため息を軽く吐いた後、意を決して話し出す。まぁ、確かにプレゼンをする時と同じだな。

「えっとですね、我々……テストプレイヤーにはですねぇ」


「マジか!」

「やっぱり!」

「向こうの年齢そのままって感じか?」

「……!」


 声が裏返ったな……

 それでも一瞬にして周囲が騒めき立つ。まぁ、そうだよね……テストプレイヤーだもんなぁ。

「落ち着け・・」

「ふぅ……まず「鬼人族の港町を急襲せよ!」と言うミッションが発生しまして、かなり良い報酬だったので、結構な数のプレイヤーが参加したかと思います。ターゲットは「雷の猛将軍・雷神ナンタラ……」を討伐せよ! だったかと思います……名前もうちょっと長かったと思いますが……雷を投げたり、空から雷を落としたりそれはもう凄い感じでした」


 隣で話を聞いていた鬼人族がテーブルから立ち上がり、驚きの声を上げる。

『本当か!!』

『なぜ将軍の名前と使う魔法を……』

『この人はなんなんだ!!』

『予言者か!?』


『……黙って……』


 ウィンディードさんが手を上げると鬼人族達が静かになり、しぶしぶといった感じでゆっくりと席に座る。ほんとに姫なんだな……言う事を簡単に聞いてる。

『リョウコ、続けて』


 言葉はわからないが鬼人族の様子をみる限りは……情報が合致した感じだな。

 ……これで行けるな。戸惑いの表情をしていた人間がかなり減った。


「は、はい……やっぱり現実だったんだ……良かった……あ、えっとですね、それで、私たちはミッションが始まると、鬼人族の街のすぐ近くに転移するんですよ。そこでこの世界の人間側の海賊みたいな船……帆船の砲撃の支援を受けながら鬼人族の街の戦士たちと戦うんです。鬼人族たちは最初はこちらに気がついていないので砲撃にひきつけられている最中に、横から遠距離で魔法で攻撃しながら近づいていくんですよね。そうすると相手が混乱しはじめるんです。かなり鬼人族の戦士の数が多かったので、こちらに気が付いた鬼人族を迎撃しながら雷で船を攻撃している雷将軍の元に行くんですよ」


 流れはわかるが……周りの様子が分からんな……町の人は?

「町の様子はどうだったんだ?」

「えーっとですね、人の気配はあまりせずに、戦士団だけだったような……逃げてる人とかはいなかったような……ってか、爆音と雷が凄くて……見えて無かっただけかもしれませんが」

「なるほど……避難済み……まぁそうなるよね。あ、続けて」


 この辺は中盤……になるんだろうな。まぁ、一般鬼人族は逃げるだろうし、リョウコの言っていた一般鬼人族を殺した……ってやつも、逃げ道が無くなりはじめるであろう、この後の話になるんだろう。


「それで鬼人族を……その、倒しながら進んでいくと、雷将軍がこっちに来て戦闘が始まるんですよね。ミッション内容がちょっと変わりまして、雷将軍を食い止めろになってまして……物凄く強かったですよ。タフですし」

「食い止めろってことは……勝たなくて良くなったのか?」

「はい、時間稼ぎをしていると、帆船で上陸し始めて、銃の乱射で鬼人族たちを一方的に狩り始めるんですよ……」


「銃の乱射?」

「マシンガンあるのか?」

「マスケット銃を全員が持ってたらとかじゃないのか?」

「ガレオン船って何人乗れるんだ?」

「一隻百人だとしても……7隻でしたっけ? 700人ですね……」


 何かみんな、偉い知識が豊富だな……知識も共有されてる感じに見えるけど……

「かなりの数の兵士が上陸してたかと思います。私たちの事は知っていたのでこちらに攻撃はしてきませんでしたが……」

「最後はどうなるんだ?」


「はい、雷将軍が、ここまでか! みたいなことを言って撤退し始める感じで終了ですね。そこでミッションが終わり帰還した感じです」

「……なるほど……強制的に転移させられるとかいうあれ?」

「そうです。なのでそのあとの交流……なんてのは無いんですよね。次のミッションがあったんでそっち行きましたけど……」


「おいおい、ほんと違うゲームじゃないか?」

「仕様が違うというよりゲーム性も違う気がするな」

「なんか私たち、すごい現実的なゲームやらされてない?」

「ってか、スキルある以外現実にしか思えないんだけど?」


 リョウコが発言を終えるたびに食堂が騒めく。まぁ……新情報てんこ盛りだから当たり前か。


「ちょっと……」

 ナオエさんが挙手した後発言をする。なぜか周囲のざわめきがが消え、一気に静かになる。なんでだ?

「疑問なんだけど、テストプレイヤーとその海賊達とはもう仲が良い状態に聞こえるんだけど……」

「あ、そうですね、連続ミッションなので、補給路を確保してあげたり、湧き水の場所を教えてあげたり……色々するんですよね。戦いの一週間前くらいから手伝ってたような……最初は驚かれてたかなぁ……覚えて無いです」


「……まじか……」

「つまり手伝わなければ……水の確保が出来ない状態に?」

「そうかもしれませんね。なんかすごく喜んでいた記憶ありますし」


 また部屋の中が騒がしくなっていく。もう手法の論争になってるな……どうなってんだこれ? 何かみんな「疑ってない」んだけど???


「ミッションとやらを邪魔すれば……進行を遅らせられる?」

「補給が無かったら逆に手あたり次第鬼人族の街を襲わないか?」

「……なるほど、ミッションはそのままやらせた方が……予測は立てられやすいか……」


「って事は、助けに行くには……」

「この世界の人間の帆船7隻と、マスケット銃をもった700人の兵士を相手取って……」

「さらに数十人のテストプレイヤーを退けるって戦いになるのか……」

「船に乗っているうちに船落とせば銃使えないんじゃない?」

「あ、そうか火薬だもんな。その線で行こうぜ!」

「でも、この人数だと厳しくないの?」

「ああ、でも、救助されたプレイヤー40人くらいも協力するとか?」

「鬼人族も強いんだろ?」

「情報共有できれば……」

「流れ弾が怖そうな感じね……」

「遠距離から一方的にって思ってたわ……」


 その場で話を聞いていた仲間から不安の声が上がり始める。

 ……まぁ、そうだよね……船一隻が来るのを撃退……くらいのイメージだったっもんな。


 リョウコは思ってもいなかった流れだったようで、緊張が無くなり、ずいぶんと落ち着いてみえた。

「テストプレイヤーの方には鬼人族はAI……NPCじゃなくて、この世界の知的生命体……心を持った生物って連絡を入れますので、何割かは参加しない……と判断するとは思います」

「何割かは参加すると?」

「そうですね、クリア特典狙う人間もやはりいますので……エリクサーとか、若返りの秘薬とか……あるんですよね、持って帰れるであろうアイテムに。このミッションお得だった記憶がありますので……」


 ん? マジか? 若返りの薬とかあったら……物凄い価格になりそうだな。

「え? テストプレイヤーの報酬はこの世界のアイテムを持って帰れるのか?」

「……そりゃ……参加する人間もいるだろうな……」

「すげぇな……」

「若返りの秘薬は……凄い価格になりそうだけど、証明が難しそうね」

「……金塊とかも持って帰れるんだったら……」

「すごいことになりそうだな」

「ゲットしたけど、サバイバルじゃ使えないもんなぁ」

「鬼人族にあげたら?」


 なんだかプレイヤーだけでなくて……鬼人族達も騒然としているんだけど……ウィンディードさんまで……あれ? 今の発言のどの辺が??

【おそらく、エリクサーと若返りの秘薬でしょうね。こちらの世界でもかなりの貴重品になるかと思います】

 ……なるほど……確かに若返りの秘薬……簡単に手に入るんだったらみんな若い人だらけになりそうだしな……


 騒ぎが広がる中、リョウコが俺の腕をつつく。

「……あの、先輩、なんかここの人たちお人好し過ぎませんか??」

「なんでだ?」

「なんか……私の話を……信じている様な? 疑いもせずに……??」


「え?」


「仲間……テストプレイヤーに話した時は馬鹿にされるような感じだったんですけど」


 ……たしかに……なんでだろ?


 ジンパチさんが答えが見つからない俺に代わって答えてくれる。

「カタシさんがそれだけ信頼されているからですよ。カタシさんが信頼した感じでリョウコさんに話を促したから……という点もありますが、皆さん色々予想しながら拠点作ってますので、その一つが当たった感じ……だからですかねぇ……」

「予想? ですか?」


「ええ、違うルール、まるでゲーム感覚のテストプレイヤーと聞いていたので、私たちのルールと色々比べて未来を予測するのがいい暇つぶしになってるですよ」

「予測が暇つぶし……」

「娯楽ありませんからねぇ……食料問題も拠点も暮らしやすくなってきた上、ステータスも上がってきたので体力も夜までもつようになって、夜が暇になってきましたし」

「……なるほど……俺たちが出会った海賊もどきや、鬼人族の事をか考えて……知識を持ち寄ってって感じか」

「そうですね。インターネットには全くかないませんが、色々と想定は出来ているかと思いますよ」


 すごいな……確かにこれだけの拠点メンバーで知識を持ち寄れば……そうか、一人で悩む必要なんてなかったんだな。


「それに、なんでも見抜いてしまうアヤノさんが何も言わないですからね」

「……え? なんですかそれ?」

「ええ、もう彼女……裏番みたいになってまして……優しいのですが、悪意とか嫉妬などが生まれるとすぐに警告、仲裁してくるんですよね……」

「スキル……ですか?」

「おそらく……そうとしか思えないんです。ウソ発見器レベルなんですよね」


 俺は思わずアヤノさんの方を見てしまう。視線に気づかれて微笑まれてしまった……トテモ裏番には見えないんだけど……

「あんなにやさしそうなのに……」

「それはカタシさんが善人だからでしょうね……」

「……そこまで善人ではないのですが……」

「善人の定義は自分でするものじゃないですからね」


 そうなのか?

【自分で善人だと言いまわる人間をあなたは信じますか?】

 ……詐欺だろうって思うなぁ……


 リョウコが俺だけに聞こえる様に囁く。

「……あの、先輩……私、できるだけ情報を提供した方が良い気がしてきました」

「それはありがたいけど……大丈夫なのか?」

「はい。変えられるんだったら……あの地獄みたいな光景は変えてみたいです」

「……な、なるほど……」


 地獄みたいな光景って……黒いやつらがうじゃうじゃ出てくるってやつか?

 隣にいたジンパチさんも会話は聞こえていた様で不安そうになっていた。物凄く……

「地獄……?」

「ああ、なんかそうらしいです……この間の黒いやつが大量に沸いて出てくるとか……」

「本気ですか……想像したくありませんね……あれが大量に……」


 リョウコは本気で意外そうな表情を浮かべる。

「遭遇してたんですね……黒い靄付き……こんな序盤から?」


 騒然となる中、俺とジンパチさんが沈んだ空気になっていく……あれが大量に沸くのか……どうやって対処すればいいんだろ……お互い顔を見合わせるが、すぐに妙案が思いつかなかった。想定外……だったみたいだな。


「話をまとめましょう!」

「ちょっと流れが分からなかったかもです!」


 ライラさんとハツコさんが、記念品の紙とペンを片手に俺の横に立っていた。

 俺たちの表情がすぐれないのを見て、若干たじろいた感じになってしまう……笑顔……笑顔……

「なんか……タイミング悪かった?」

「未来が分かるのでしたら、いくらでも対処できますよ!」


 二人は物凄くワクワクした表情でリョウコをターゲットにしている様だった。これから戦争になる……それなのに楽しそうって?

【それは今後の事が分かる、経験した人が来るとすれば、よくある架空の話になるのではないのですか?】

 ……あ、そうか、未来人が来たって感じなのか。時をかけるリョウコか。

 情報が無くて手詰まりだった感じだけど……これで未来は開ける……って考え方もあるのか。

【そうですね。地獄のような光景になる……と言うのを聞いていないのであれば楽しいでしょう】


 まぁ、未来が分かって変えられる……と分かったら、みんな面白がるかぁ……



 それからは夜更けすぎまで、リョウコのやり直し前の話のまとめと作戦会議が続いた。

 黒い靄の纏った怪物の大量出現に関しては、攻略組と主要メンバーのみ情報を共有し、港町の防衛後に考える事になった。


 §  §  §  §


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