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(第二章は削除しました)無自覚ハイスペックくん、女優学生に拾われる。  作者: 柏木悠斗
1st. あなたは自分の大切な…。
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PART.16 (好きだ…。)

 本田記者がカメラを持って帰った後のことだ。俺はパソコンを開いてT○itterを見ていた。トレンドに上がっているのは『冴島友里』と『ケンヤ』だ。


 なぜこのようなトレンドが浮かび上がっているのかというと、俺が寝ぼけて配信中の部屋に入った時、『ふにゃぁ…。』と気が抜けた声を出してしまったからというのが一つ。二つ目は俺と彼女が名前呼びしていたことだろう。


 名前呼び出来る程仲が進展したということについてかなり話題に上がっていた。周りの反応を見るに、彼女が俺に惚れているとかそう言った解釈がされているが、俺としては彼女が言ったことに従ったに過ぎない。…まあ、名前呼びしたら少し友里さんのことを意識せざるを得なくなってしまったのだが。

 しかし、俺はあくまでも彼女に雇われている身だ。彼女に誰か恋人が出来れば俺はお役御免となるだろう。


「~~~♪~~~~♪」


 『ビューティフル・マイ・ラヴ』のフレーズを思い浮かべながら鼻歌を歌う。メロディーは覚えているのだが、生憎と歌はそこまで好きではない。この歌は好きな部類に入るのだが、演歌や英語のロック系はそこまで好きではない。あくまでも落ち着いて聞ける歌が好きだ。


 友里さんは俺がこの歌をよく鼻歌で歌うことを知っているのだが、彼女が俺に対してその歌の説明を求めた時、なぜかそんな時に限ってマネージャーさんの電話がかかってきたり、急な用事が出来たりと一切話すことが出来なかった。



 しかし、今日に関してはそんな用事はない。そう思っていると彼女が自然な流れで俺にこう言った。


「その歌、『ドルフィンズ・シンデレラ』の『ビューティフル・マイ・ラヴ』でしょ?」


 自分としては驚いた。どのグループがやっているのか全然わからなかったからだ。しかし、彼女はその歌を知っているようだ。


「曲名はそれと同じですね。実際、作詞作曲の方は分からなかったんですけどね。」

「ん?今ならネットで調べられるでしょ?なんで?」

「実は、調べようとした時に限ってバイト先から急を要する案件が流れてきてしまったり、バイトの資料作成をしていたら会社の方にあるパソコンにウイルス流されちゃったりして調べるのが難しくなっちゃったんです。」

「ああ…そういう…。」


 友里さんは眉間に手を当てて「あちゃー」と言っている。


「そんな感じで、今まで一切調べることが出来なかったんです。それにしても、かなり前の歌なのによく知っていますね。これ、小さい時にかけだしのアイドルが配っていたCDに入っていた歌なんです。でも、火事で焼けちゃったのでもうそれは残ってないんですけどね。」


 俺がそう言うと、友里さんは少し悲しそうな顔をしたが、すぐに笑顔になる。どうしたんだろうと戦々恐々としていると、彼女は衝撃の事実を告白した。


「それ、私がデビューした時に歌った歌なんだよね。それに、あの時渡したアイドルって、私。」

「…!?」


 どうやら、俺と友里さんはそんなに前から会っていたらしい。しかし、こんな偶然があるんだと俺は驚いていた。確かに、彼女はあの時に会ったアイドルと少し似ていた。しかし、彼女のことは大分うろ覚えだったし、俺自身が当時、他人に興味を持っていなかったこともあって彼女のことを覚えていなかった。


「あの後凄かったんだよ?健也君が私に『頑張れ』って言ってくれたから、私は大きく成長できたんだ。健也君があのCDを貰ってくれたから、他のみんなもCDを持って行ってくれたの。でも、まさかあの時の少年が凍死しかけて倒れているなんて、しかも私の母校に通っているなんて偶然あるんだね。」

「世間は広いようで狭いんですね。」

「ほんとだね。」


 でも、彼女が歌ったこの歌、『初恋』を歌っているんだ。これは俺のただの妄想だが、彼女が歌ったこの歌は誰かに聞いてほしかったんじゃないかって、()()()()()、誰か。


 いや、ダメだ。俺は彼女と釣り合うはずがない。それに、友里さんには幸せになってほしい。俺じゃなく、誰か素敵な人に出会ってほしい。


(そうか。…俺、友里さんのことが。)


 この感情はしばらくの間、封をしておこう。少なくとも、彼女が俺を求めてくれるのなら、それに少しでも似合う男になる様に。


「じゃあさ、今から歌ってあげようか?」

「…良いんですか?」

「元々、この歌はメンバーの一人が考えてくれた歌なんだ。でも、聞いてほしい人に聞いてもらったことはなかったから…その、聞いてほしい。」

「…是非!聞きたいです!お願いします!」



 俺は部屋にあったギターを取り出し、伴奏を始めた。ギターの練習は独学では難しかったが、今ではある程度の曲は全部弾ける。とはいえ、ギター自体はあまり好きな楽器ではないが。


「~~~♪~~~~♪」



 ギターの音色と友里さんの歌声は部屋中に小さな緊張感と高揚感をもたらし、弾き終わりと同時に笑顔が生まれた。


「健也君、ギター上手だね!」

「友里さんこそ、久しぶりに歌ったはずなのに、とても…綺麗でした。」


 少し気まずい空気。しかし、それもすぐに消え失せ、俺らは笑いあった。こんなにも笑うのはきっと、この感情の所為もあるんだろう。



 俺は、無責任なのかもしれない。単純なのかもしれない。ただ、雇い主で、俺のことをただ大切だと思ってくれる彼女、冴島友里のことが、


 …好きだ。そして、大好きだ。

やっと健也が友里への感情に気付きました。けれど、関係に変化はありません。

彼自身、この関係にはこれゆえの心地よさを覚えているため、自分からアタックすることはないでしょう。



告白まで、もう少し時間がかかりそうですね。

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