↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界救世譚―差し伸べるは救いの手―  作者: 明月
シア、異世界に立てり
32/40

来る日への準備




――残り一ヶ月……週換算で約四週間だ。


それまでにはある程度魔法や剣の技術を上げなければならないだろう。だがそれには知識を補うことも必要になる。だから最初の数日は図書館に赴くことにした。


といっても、そこまで調べることはない。基本的な魔法の種類とその派生系についてだったり、森に生息していそうな魔獣についてだ。森に入るのだから最低限の敵の知識を有していなければいけないだろう。


それで、本を読もうと思って訪れたのだが……



「――で、私のところに来たのね?」

「あぁ。数日間だけどまた世話になるよ」

「まぁいいけど。じゃあまず何について知りたい?」

「えっ? そうだな、じゃあ――」



何故かレクテューレに講義を受ける形になっていた。レクテューレに、何について知りたいのかと聞かれたからそれに関する本を持ってきてくれるものだと思いきや、何故か椅子に座らされて今に至るわけだ。


「えっと……本を持ってきてくれるんじゃ?」

「私も元ギルド員よ? 私が教えたほうが手っ取り早いじゃない」

「それもそうですけど……」

「それに、ここにある本以外の知識もあるわ。はい、決定ね!」




――と、強引な感じで決まったレクテューレの講義は結局一週間ほど続いた。


午前中は手伝い系の依頼を受け、午後には図書館で講義を受ける……みたいな感じだ。ギルドで活動していた時の体験談を元に、各魔獣の特性やら弱点やらを教えてもらったため実に有意義な時間を過ごせた。


魔獣とは違う、魔"物"の中にはなんと虫の形をした生物も居るらしい。まぁ植物の魔物が居るのだから不思議ではないな。その話をした時にレクテューレが鳥肌を立たせていたが、どうやら嫌な思い出があったそうだ。



……曰く、魔法を使って倒した時に体液をガッツリ浴びたことがあるらしい。


臭いし、ベトベトするしで死にたくなったと笑いながら言っていたな。

そう言っている時の目は全く笑っていなかったが。



――そんな雑談を挟みながら、魔法についても教えてもらった。


属性は計五種類、その他に特例で幾つか魔法があるらしい。

基本属性は火、水、風、聖、闇(邪)がある。


何で「邪」でないかというと、イメージの問題だそうだ。「聖」の対義語は「邪」なのだが、それでは使う人間に悪い風評が及ぶ可能性があったため改定されたそうな。言葉としては邪悪、の邪なわけだから妥当な判断だろう。


そして、水の派生に"氷"、聖の派生に"回復"や"浄化"があるらしな。闇の派生には呪術があるらしいが、これについては教えてくれなかった。何か禁忌に触れるようなものがあったらまずいからか?


あと、特例というのは獣人が使う魔法に「獣化」があるからそれに合わせて作られたカテゴリーらしい。文字通り獣の姿に変身できるそうだ。





と、最初はそんな感じで過ごした。次の一週間は剣の特訓だな。といっても魔法があるからそこまで重要じゃない……いや、接近戦になった時に魔法では不利だからやったほうが良いだろう。それに「風刀」を扱うときにも役に立つ。


「――で、今度は俺のところに来たのか」

「ははは……よかったらご教授願えません?」

「何だその口調。……俺はハルバードだし、ラインと一緒に訓練するか?」

「出来るのなら、基本の触りだけでもしてもらいたい」

「おうよ。ついでにラインと遊んでやってくれや」



結局その後一週間はラインと一緒に訓練したり、シュタルクとまた森に入って実践を行ったりしていた。ラインが「シアにぃ」と呼び始めたもんだから、なんだか嬉しくなったりもしたな。少しはラインとの距離も縮んだかな?



――ある日シュタルクが俺に話があるからと、訓練後部屋へ呼び出された。


「さて、シア。お前は剣と魔法どっちに重みを置くんだ?」

「んー……基本は魔法かな? 接近戦用に剣を覚えようとしたんだが」

「そうか。ならいいんだ」

「なんでそんな事を?」

「いや、どっちかに絞らないと中途半端になるからな。

 どっちも鍛えて戦ってやるって言って失敗した奴がいるから……」

「なるほど。肝に銘じておくよ」


とまぁそんな事を話しながらその後も訓練し、ついに最終日となった。最後の訓練を終え、シュタルクと一騎打ちなどしてまとめに入った。そして、いつぞやの呼び出しと同じく部屋に行き……


「さて、今日でもう終わりなわけだが……」

「世話になったよ。それにラインと遊べてよかった」

「おう。こっちも世話になった――で、だ」

「……大規模掃討についてか?」

「あぁ。シアにもお呼びがかかったんだな」

「シュタルクも呼ばれたのか?」

「あぁ。それで、一つだけ言いたいことがある――」



そうして、俺はシュタルクとラインに分かれを告げた。最後にシュタルクが残した言葉はただ一言……「死ぬな」だ。そう言ったシュタルクの顔はいつになく真剣で、俺の意識を引き締めるのには十分すぎるものだった。





――と、次の週は魔法だな。これは独学で何とかするしか無いだろう。



内容はというと……取り敢えず最初に聖属性魔法が使えることを確認した。派生系の回復魔法が使えるし、神様から全属性の適性を貰っているから使えることに間違いはないな。



それと……レクテューレに教えてもらった「複合魔法」というのがすごく気になる。といっても、教えてもらったのは『浄火』という奴だけだ。複合魔法っていうのは基本的に聖属性と闇属性だけが該当するらしい。


他の属性で複合魔法は……またいずれ実験だな。今は基本的なものの再確認と身体強化の精度を上げる事だ。剣技を教えてもらったのだから、次は身体強化した状態での体の動かし方を確かめよう。


……今から狩猟系の依頼を受けつつの一週間だ。


最初は身体強化した状態で体を振り回されないように動かす練習をした。一方向に飛んで行くのなら別に良いのだが、そこから別方向に動いたり避けたりするときに力が入りすぎてバランスを崩したりしたからな。


その後は強化したまま魔法を行使する訓練だ。風刀の他にも水球を出してみたり、火で剣を作ってみたりもした。よくアニメとかで炎の剣を作ったりしていたから想像するのは簡単だったな。


だが、やはり風刀を使うことにしよう。不可視は魅力的だ。


あと、複合魔法の「浄火」で刀を作ってみたりもした。ただの「浄化」は呪いを解いたり魔獣の魔素を消したりするのに使うが、「浄火」に関しては直接的に相手に当てることで攻撃手段としても使える。


刀にすれば斬ったそばから魔素が浄化されるって寸法だ。魔獣の掃討戦の時にはこっちを使うことにしよう。いちいち他の方法で倒した後に浄化するのは面倒だからな。




――そんなこんなでこれも一週間続けた。後の一週間は総合的な復習だな。


森に行き今までやってきたことを実戦で試してみて、自分の足りていないところを探す期間だ。魔法を発するまでのスピードと、弱点を狙うために見極める力をしっかりと付けた。この時点でもう魔獣を狩ることに――躊躇いはない。



この頃になると、ギルドもだいぶ騒がしくなっていた。掃討戦の話題で持ちきりとなっていて、妙にピリピリとした空気が漂っている。それが数日続き、ついに掃討戦の日となった。早朝――



――俺は図書館へと足を運ぶ。


「あらシア? 今日は掃討戦じゃないの?」

「あぁ、でもまだ時間があるからな。何となくここに来た」

「……私は参加しないけどね」

「"元"ギルド員、だからか?」

「えぇ、他に職員がいるとしても抜け出すわけにいかないし」


そんな話をしながら、刻々と時間は過ぎていく――


「――あぁ、そろそろかな?」

「もう出発? ……まぁ、気をつけて行ってらっしゃい」

「あぁ。三日後(・・・)にまた会おう」

「えぇ、それじゃあ――」

「そうだな、それじゃあ――」


「「また(・・)、三日後に!」」




――約束を背に、俺はまたギルドへと踏み出した

ブックマーク、評価をして頂き、誠にありがとうございます!


文章能力の向上のため、小説の感想や批評及び評価を是非お願い致します。

これからの励みにさせていただきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。