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第5話 いつものやりとり

ドアを開ける。

部屋の中は、出る前と同じ空気のままだった。

テレビの音だけが、途切れずに続いている。


靴を脱ぎ、ゆっくりと上がる。

リビングの方を見る。

ソファに座ったまま、画面に視線が向いている。

そのまま、近くに腰を下ろす。


コンビニの袋を、テーブルに置く。

袋のまま、前に押し出す。


「……食べる?」


短く声をかける。

一瞬だけ視線がこちらに向く。


「うん」


それだけ言って、袋に手が伸びる。

包装を開ける音がする。

テレビの音が、そのまま流れている。


袋の中をもう一度見る。

ジュースが目に入る。

思い出したように、それを取り出す。

そのまま立ち上がる。


廊下に出る。

足音を抑えながら、奥の部屋の前で止まる。

ドアの向こうから、かすかな物音がする。

軽くノックをする。

返事はない。

そのままドアを少しだけ開ける。


「……これ、置いとくぞ」


中を見ないまま、そう言って、ジュースを近くに置く。

返事は聞かずに、ドアを閉めた。


リビングへ戻る。

ソファに座る。

袋の中から、自分の分を取り出す。

開けて、口に運ぶ。

テレビの音が、そのまま流れている。


特に何を話すわけでもない。

ただ、同じ空間にいる。

それだけだった。


しばらくして、ふと視線を上げる。

画面を見たまま、こちらを横目で見ている。

気づいたように、すぐに視線が戻る。


「……明日はプリンがいい」


画面を見たまま、小さく声がする。


「あぁ、」


ほんの少しだけ、さっきまでとは違っている気がした。

いつも、そうだと思い返す。

それで終わる。

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