第4話 外に出る理由
テレビの音。
誰かの笑い声。
そのまま座る気になれず、立ったまましばらく動かなかった。
靴箱を開ける。
気づけば、靴を履いていた。
ドアに手をかけて、少しだけ止まる。
リビングの方を見る。
テレビの音は、そのまま流れている。
そのままドアを開けた。
外の空気が、思ったよりもやわらかかった。
一歩、外に出る。
それだけで、少しだけ肩の力が抜ける。
ゆっくりと歩き出す。
特に行き先はない。
ただ、家から少し離れたかった。
街は静かだった。
信号を渡る。
もう一度、渡る。
遠回りになる。
それでも、そのまま歩いた。
コンビニに入る。
明るい光の中で、しばらく棚の前に立つ。
スイーツを二つ、かごに入れる。
それから、ペットボトルのジュースも一本。
レジで会計を済ませ、外に出る。
袋を持ったまま、しばらく立っていた。
ゆっくりと歩き出す。
足音だけが、一定のリズムで続いていく。
昼間のことが、少しずつ浮かんでくる。
会議のやり取り。
野本の言葉。
曖昧に返した自分の返事。
どれも、はっきり思い出せるのに、
どこか他人事のようにも感じる。
止まる。
ため息を一つつく。
もう一度、歩き出す。
さっきよりも、少しだけ歩幅が大きくなる。
理由は分からない。
ただ、止まっているよりはましだった。
しばらく歩いて、角を曲がる。
見慣れない道に入る。
それだけで、少しだけ気が紛れる。
誰もいない道を、ただ歩く。
足を止める。
振り返る。
来た道が、暗く伸びている。
そのまま、引き返す。
袋を持ち直す。
少しだけ軽くなっている気がした。
理由は分からない。
それでも、そのまま歩いた。




