第47話
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俺はカイゼットから皆が待つホーンズへと戻った。カイゼット城での出来事を話すと皆一様に驚いていた。
話し合いの末、俺達は王都へと戻ることに決めた。魔王が言うには、魔界にはナホーティアの狂化を解く術は無いとのことだ。人間は邪悪な物を見ると何でもかんでも魔界から来た事にする、と怒っていた。人類を代表して、とりあえずゴメンと謝っておく。
ナホーティアには今度カイゼットに同行してもらうことにした。ミファイルトスという希望が出てきたので、ナホーティアも嬉しそうだった。
七列卿達はそれぞれの邸宅に戻った。それにしても不気味だったのはサヴォージュだ。そもそも彼は何のために魔界にやって来たのだろうか。
サヴォージュはカイゼットでの出来事を俺から聞いた後、とても嫌らしい笑みを浮かべていた。その後、銀髪モデル体型メイドと共に挨拶もそこそこに空間の狭間に消えていった。あのメイド、マリフィも何を考えているのか全く解らない。まるで感情の無い人形のようだった。
次に気になったのはボルガドフだ。魔王に対して最後まで敵意を剥き出しにしていたからだ。どう考えても魔王は良い奴なのだが。ボルガドフは魔族は悪だと頭から決めつけている。器が小さいというか、固定観念が強いというか……。
蛇足だが、フォードンは親衛隊達と涙の再会を果たしていた。およそ一週間くらいの別れだったというのに、大袈裟な奴らである。
俺とナホーティア、リミュ、リーフェは久しぶりに王都のリハイヘヴン家の屋敷へと戻った。キャロンが食事を用意して温かく出迎えてくれた。マリフィと違い、キャロンは人間的に温かいメイドである。
食事も終わりそれぞれの部屋に行った俺達四人は、魔界での疲労のせいか、ぐっすりと眠りに落ちた。
ーーーーーー
真夜中、俺は息苦しさと共に目を覚ました。生温かい何かで、口が塞がれている。強く顔を押し付けられており、身動きが取れない。刺客か……?
「よいしょ、よいしょ。こうかなあ? えーと、メモを見ると……」
呟くような声と、パラパラと紙を捲る音がする。顔に当たっている物を手で掴むと、むにゅっという柔らかい感触がした。
「ひゃあっ!」
「何をしてるんだ……? フェリーネ」
何故か七列卿の次期当主の一人、フェリーネが俺の寝室に忍び込んでいた。薄手のネグリジェを着て、豊満な胸を俺の顔に押し当てている。
「も、申し訳ございません! 起こしてしまいましたか」
「あんなことされたら起きるに決まってるだろ! 一体何をやってるんだ?」
「え、えーと『ぱふぱふ』というご奉仕をさせて頂こうかと……魔界でも夜這いをかけたのですが、その時はケイブ様の隙が無かったもので」
フェリーネがもじもじしている。上目遣いて俺を見てくるのがとても可愛い。ちょっと前まで、俺に対して酷い口の聞き方をしていたとは思えない。
大きめの目に茶髪のボブカット。身長が低めなので、顔立ちも幼く見える。
「ぱふぱふ? どこかで聞いた記憶が……誰の指示なんだ?」
「い、いえ、私自身の意思でございます!」
「本当か~?」
「はいっ、誓ってそうです!」
フェリーネの挙動が怪しい。そもそも俺に対して掌を返すように従順になった時点で不自然なのだが。
「まあ、そういうことにしておいてやろう。さあ、帰った、帰った」
「ひどい~。あんまりですっ。フェリーネも、ケイブ様のお役に立ちたいのに!」
フェリーネが俺の腕にすがってくる。うーん、確かに美少女なのだが、鬱陶しいな。
「そうだ! ケイブ様。ひとつ情報を差し上げますよ! サヴォージュにはくれぐれもご注意下さいね」
「確かに油断のならない奴だったが。何かあるのか?」
「ロイドシャルマン家は警護卿です。国中にスパイを差し向けてますので、ケイブ様も監視されているかもしれません。サヴォージュは権謀術数の塊のような輩。陰謀に巻き込まれないよう、距離を置いた方がよろしいかと」
「ふーん。そうなのか。よく解った。さあ、帰ってもらおうか」
「ひどい! せめて、せめて一晩だけでも泊めて下さい!!」
「解ったよ! うるせえなあ!」
魔界から帰ったというのに、全く心が休まらない。
フェリーネの闖入には参ったが、彼女の心配は程無くして現実の物となるのだった。
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