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第42話

新たにブックマークを頂きました皆様、ありがとうございます。


土日は投稿が遅くなりがちです……

 俺が目を覚ました時、辺りは瓦礫の山になっていた。俺以外のパーティーメンバーは気を失っているようだ。


 ただ一人魔王と相対するのは割れた空間から現れた謎のメイド、マリフィ・ロイドシャルマン。薙刀を下段に構え、魔王をじっと見据えている。


 魔王も動くことなく、マリフィを興味深げに見つめている。一陣の風が吹き、マリフィのスカートと銀髪が揺らめいた。


 カラ、カラ、カラ……


 割れた空間の中から何かの音が聞こえる。姿を現したのは車椅子に乗った初老の男だ。いや、白髪のせいで老け込んで見えるが、もっと年齢は若いに違いない。


「どうした、マリフィ。決着はまだついていないのか。お前のスキルはその程度か」


「サヴォージュ様。決着はまだついておりません。しかし、私のスキルのせいではありません。サヴォージュ様が魔王の戦闘力を侮ったまま、私に攻撃するよう命令したせいですわ」


 マリフィは無表情でサヴォージュという男に反駁する。


「生意気な奴め。お前の『境界離断』は敵の防御力を無視してダメージを与えるのではなかったのか」


「本来ならそうです。サヴォージュ様。しかし結果的に鎧に傷をつけることしか出来ませんでした。恐らく魔王は特殊なスキルを持っています」


「マリフィと言ったか。我輩の鎧に傷をつけたのは誉めてやろう。我が身体に攻撃を当てたのは、千年前の大魔導士ミファイルトス以来だ」


 良く見ると、鎧の肩と胴の部分が割れている。魔王はそれでもどこか嬉しそうだ。


「サヴォージュ様。これ以上戦っても私に勝ち目はありません。撤退すべきです」


「ふん。役立たずめ」


「戦うこともせず、卑怯にも空間の狭間に隠れておられたサヴォージュ様よりはマシです」


 サヴォージュは舌打ちをしてマリフィを睨み付けた後、魔王に向き直った。


「魔王よ。お初にお目にかかる。七列卿ロイドシャルマン家の当主、サヴォージュと言う」


「ほう。当主自らやって来たか。ようこそ魔界へ。用件を聞かせてもらおう」


「そこに倒れておるナホーティアという娘が狂化と呪術士のスキルを授かったせいで苦しんでいる。解決方法を知りたい」


 俺は耳をそばだてた。まさしく俺達が知りたかったことだ。サヴォージュの目的も同じなのだろうか。


 魔王はしばらくナホーティアを凝視した後、深いため息をついた。


「実に救い難いものだ。お前達人間の業は……」


「どういうことだ! 解決策があるなら、はっきり言ってくれ!」


 我慢が出来ず、俺は起き上がって魔王に詰め寄った。


「少年よ。恐らくお前達は、このような邪悪なスキルは魔界由来の物と思ってやって来たのだろう。しかし、真なる悪はむしろ人間にこそ潜んでいる」


 魔王は天を仰いだ。その容貌は相変わらず醜悪だが、どこか悲しげに見える。


「ミファイルトスも、人間達のせいで哀れな最期を迎えた。自分達に危機が迫ればミファイルトスを英雄に祭り上げ、都合が悪くなれば切り捨てる。それが人間というものだ」


「何の話だ? ナホーティアと何の関係があるんだ?」


 俺はたまらず、魔王の胸元を掴んだ。


「その娘も、人間達のエゴの犠牲になろうとしている。という話だ」


 何を言っているのか全く訳が分からない。


「なるほど。やはりそうか。つまり、狂化と呪術士のスキルは……」


 サヴォージュが、我が意を得たりという体で頷く。


 魔王が出した答えは、俺には到底信じ難いものだった。


「そうだ。人為的に、その娘に授けられた物だ」



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