第38話
新たにブックマークを頂きました皆さま、ありがとうございます。
今回から第3章となります!
魔界行きの当日。俺達は、王国の辺境にあるレグシスレイト家の砦に来ていた。砦の外は魔界。即ち、キングウェル王国と魔界の境界線である。
「流石はレグシスレイト家の砦ね。一分の隙も無いわ」
退魔卿であるルーラルヴォーラ家のフェリーネが太鼓判を押す程、砦は頑丈な造りをしている。
いよいよ出発の時を迎えた。魔界の探索メンバーは、フォードン、ボルガドフ、フェリーネ、そしてリハイヘヴン家からはナホーティア、リミュ、リーフェと俺。合計七人のパーティーだ。
ナホーティアの狂化と呪術士のスキルは、魔界から来たものと推測される。これらの悪影響からナホーティアを解放する手掛かりを掴むのが今回の目的だ。
「いいか、皆。魔界では一瞬の油断が命取りだ。奥地へ行けば行くほど強力な魔物が棲むというが、序盤でも油断は出来ない」
レグシスレイト軍として魔界へ出兵した経験のあるフォードンが語る。
「この度は俺がパーティーのリーダーを務める。魔界では、俺の指示に従って欲しい。少々だが魔界の征伐経験も有る。皆で力を合わせて、必ずやナホーティアの呪いを解こう」
「フォードンくん、皆。改めて御礼を言わせて下さい。私の為に魔界まで来てくれて、本当にありがとうございます」
ナホーティアが皆に向かって、深々とお辞儀をした。今日の彼女は正常である。狂化スキルの支配下にない時は本当に常識的で、好感の持てる令嬢だ。
「皆、絶対に無理はしないでね。少しでもケガをしたら、私が治すから言ってねっ」
「ありがとうナホーティア、俺達に任せろ!」
俺の言葉に、皆が頷いた。これもナホーティアの人徳によるものだろう。俺達の結束は固い。
「いってらっしゃいませ! フォードン様!」
「フォードン様! ご武運を!」
「ご無事をお祈りしております! フォードン様!」
「フォードン様! お気をつけて!」
「うおおおおっ! フォードン様! フォードン様ぁっ!!」
別の意味で結束の固い奴らがいた。フォードンの親衛隊である。
五十人位の親衛隊が整列して、フォードンの見送りに来ていた。全員が揃いの制服を来て、フォードンと同じ髪型にしている。
親衛隊が砦を出ようとするフォードンに熱い声援を送る。フォードンの名前が入った幟や、肖像画が描かれている旗を振っている者もいる。なかなか痛い光景だ。しかも全員男で暑苦し過ぎる。
「皆、ありがとう! ありがとう! 俺は良い部下を持った……」
涙ぐむフォードン。親衛隊ももらい泣きをしている。もはや、俺達はついていけない世界だ。
「皆、男の別れに涙は不要だ! いざ、出発!!」
いや、お前ら以外誰も泣いてないからな。
「フォードン様! バンザーイ!!」
「「「バンザーイ! バンザーイ!」」」
砦を出ると万歳の斉唱が始まった。俺達の魔界探索は大変シュールな出発を飾ったのだった。ちなみに、万歳は五百メートル程進んでも止む気配が無い。
「ねえ、あいつらうるさいんだけど! 魔物が来たらどうすんのよ!」
リミュがフォードンに食ってかかる。
「うるさいだと?! 主を思いやるあの声援はまさに忠愛。寄子の鑑ではないか!!」
「はあ? 忠愛? ただのバカにしか見えないんですけど」
「バ、バカだとぉ……?!」
フォードンが口をパクパクさせている。怒りの余り言葉にならないようだ。
「ウモオオオオォォォォッ!!」
すると万歳の声に驚いたのか、牛の様な魔物が突進してきた。目が四つ、角が十本程生えている。
「総員! 戦闘態勢を組め!」
魔界での初陣だ。キングウェル王国有数の戦力である、俺達の連携プレーを見せてやろう!
もしよろしければ!
・ブックマークへの追加
・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価
・レビューの投稿
をお願い出来ますととても励みになります♪




