↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/76

第37話

新たにブックマークを頂きました皆さま、ありがとうございます。

「おーい、ナホーティア。そろそろ呪術士スキルを使ってくれよー」


「いやだー。おなかすいたー」


「後でいっぱい食べさせてやるからー」


「いやだー。めんどくさいー」


 ナホーティアの狂化スキルを検証した俺は、呪術士のスキルも併せて確認しようとしている。


 しかし、ナホーティアが駄々をこねて協力してくれない。草の上に寝転がって、足をバタバタさせて抵抗している。


 狂化スキルの支配下にある時はワガママお嬢様になってしまうようである。ちなみにナホーティアが要求するワガママは主に三つ。お腹すいた、眠たい、抱き締めて(または撫で撫でして)である。


 以前、ワイバーンを全滅させたのは呪術士のスキルだと聞いている。奇妙な言語で詠唱を行うと、ある個体は木端微塵に砕け散り、ある個体は一瞬にして全身が腐食して液体化したという。恐らく古代の禁呪だろう。そのように危険なスキルは、魔界に行く前にこの目で見て確認しておきたい。


「ナホーティア~。お願いだから、言うこと聞いてくれよ……」


「いーやーだー。あっ、四つ葉のクローバー見つけたっ」


 しかし、ナホーティアはワガママを続けている。今度は草の上を転がりながら四つ葉のクローバーを探し始めた。気が変わるまで待つしかないか……。

 

 深くため息をついたところで、リミュがやって来た。風に金髪のツインテールが揺れる。今日は白のミニスカートを履いている。


「ケイブ、さっきは激しい実戦だったみたいだけど、大丈夫?」


 俺達とは少し離れた所で自主練をしていたようだ。派手に戦っていたので、心配で来てくれたらしい。


「ありがとう。深い傷は負ってないから大丈夫だ」


「あっ、血が出てるじゃない! たいへん!」


 リミュが慌ててカバンを探す。包帯を探しているようだが見つからない。ちょっと躊躇った後、思い切ってミニスカートの裾を破り、包帯代わりの布を作ってくれた。


「ごめんね。これで良ければ、傷口に巻くね」


「お、おい、良いのか……?」


「いいから! 早く傷口を見せて」


 ケガをしている腕を差し出す。リミュは素早く布を巻いてくれた。


「これでよし! 痛むかな?」


「いや、大丈夫だ。ありがとう。ごめんな、可愛いスカートだったのに」


「そう? 可愛いかな? えへへ」


 服には無頓着なイメージがあったが、意外にも喜んでくれた。


 布が破れた分、元々短い裾がさらに短くなっている。白くて細い太腿が露になっていた。リミュは、ナホーティアやリーフェに比べるとやや子供っぽく、細い体型をしている。


「あと、ケイブ、あのね……えっと、えっと……」


 何かを言いたそうに、モジモジしている。いつもは強気な言動が多いが今日は何故か大人しいな……。


「いつも、ありがとね」


 頬を少し赤らめて呟いた。片手でツインテールの先っぽを弄り、目線は俺を直視せず、地面に向けている。


「え、なにが?」


「昨日は特訓に付き合ってくれたし、ワイバーンに襲われた時だって護ってくれたし、いつも、助けられてるなって。普段、きつい事も言っちゃってるのに……ごめんね」


 強気なリミュがこんなことを言うなんて。ギャップ萌えがヤバイ。


「い、いやいや、ははは……たまには良いこと言うじゃないか」


 恥ずかしさのあまり、照れ隠しでリミュの頭をポンポンと叩く。


「あうっ」


 リミュが反射的に呟いた。そう言えば、頭を撫でられるのが好きなんだっけ。


 上目遣いで俺を見つめてくる。普段は忘れているが、リミュは超がつく程の美少女。舶来物のお人形さんのような顔立ちである。ドキッとして、思わず時が止まった。



 パーン!!



 パーン!!



 突然、背後から破裂音が聞こえた。俺とリミュが振り向くと、ナホーティアが呪術士のスキルを発動していた。


 ナホーティアが指を差した木や岩が次々と破裂し、粉々になっていく。禁呪の滅尽魔法だろう。そして、チラチラと不満そうにこちらを見ている。もしかして、気を引きたいのだろうか……。

 

 リミュは気にせず、俺を再び見つめてきた。


「あのね、ちょっと私は気難しい所もあるけど、もっと話しかけてくれると嬉しいかも。ケイブはリーフェとよくケンカしてるけど、裏返せばそれだけ仲が良いということだよね。羨ましいなって思う」


 すげー可愛い。会話にあまり興味が無さそうな振りをして、本当は話しかけて欲しかったのだろう。


「お、おう。今度から、そうするよ」


「やった! あと、たまにで良いんだけど、さっきみたいに頭を撫でてくれると……」


 恥ずかしくて最後までは言えないようだ。この可愛いさは反則である。まるで計算したかのようなギャップ萌えだ。


「そ、それならしょうがないな。たまになら、頭を撫でてやっても……」


 そう言いつつ、リミュの頭に手を置こうとした瞬間。辺りを強い異臭が漂った。


 ナホーティアを中心にして、放射状に草花がどんどん腐っていく。これまた禁呪の腐食魔法を発動させているようだ。



「ぐすっ、ぐすっ、ケイブくんは……わたしのものっ……わたしのものなのっ!!」



 べそをかいているナホーティア。腐食はあっという間に広がり、俺達の足元にまで及ぼうとしている。腐食が及んだ花は萎れ、大木は倒れ、なんと岩までボロボロに崩れ落ちている。


「うわっ、やめろ! リミュ、逃げるぞ!」


「きゃあああっ! ナホーティア、落ち着いて!」


「うえええええんっ! わたしを置いていかないで~っ!!」


 ナホーティアが号泣しながら追いかけてくる。腐食もそれに応じてどんどん広がっていく。狂化スキルで身体能力が強化されているので、アホみたいに速い。


「やめろ~っ!!!」



 結局、どうにか聖女スキルを発動させて、俺達はギリギリで腐らずに済みました。

もしよろしければ!


・ブックマークへの追加

・画面下の「☆☆☆☆☆」から評価

・レビューの投稿


をお願い出来ますととても励みになります♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければこちらもぜひクリックを↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。