第36話
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ナホーティアと朝食をとって一緒に郊外へ出る。魔界へ行く前に、ナホーティアの戦闘スタイルも確認しておきたい。場合によっては、俺のサポートが必須になるからだ。
「さあ、ナホーティア。俺と軽く実戦訓練をするぞ。くれぐれも、本気は出さなくていいからな……?」
ナホーティアが狂化スキルを使って本気を出せば、俺は一瞬でミンチになってしまう。
「うーん。めんどくさいけど、ケイブくんの頼みなら、しょうがないなあっ! 終わったら、また良い子良い子してねっ」
やはり、いつものナホーティアじゃないな。狂化スキルの影響が強そうだ。整理整頓スキルの意見を聞いてみるか。
『マスターのお考え通り、今のナホーティア様は狂化スキルの支配下にあります。周期は不明ですが、正常時と狂化時が交互にやって来るようです。ちなみに、ナホーティア様の現在のステータスはこちらです』
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名前:ナホーティア・リハイヘヴン(狂)
年齢:十五歳
性別:女
種族:人間
魔法適正:地、水、火、風、闇、光
スキル:聖女Lv1(封印)、狂化Lv1、呪術士Lv1
ステータスLv:3
体力 :22200/22000(スキル補正有)
魔力量 :32000/32000(スキル補正有)
物理攻撃力:18000(スキル補正有)
物理防御力:11500(スキル補正有)
魔法攻撃力:33000(スキル補正有)
魔法防御力:28000(スキル補正有)
速 度 :11000(スキル補正有)
知 力 :200(スキル補正有)
幸 運 :1180
備 考 :狂化スキルの影響下にある。その間、聖女スキルは封印されている。ケイブのことが大好き。リミュやリーフェ等、家族のことも好き。それ以外はどうでもいい。自らの欲望に忠実で、破壊衝動を持つ。
【聖女スキルLv1(封印中)】
・対象の体力、魔力量を大幅に回復する。
・対象の攻撃力、防御力、魔法攻撃力、魔法防御力、幸運を大幅に上昇させる。
・全ての状態異常を解除する。
・狂化スキルの支配下にある時は封印される。
【狂化スキルLv1】
・知性、幸運を除く全てのステータスを10倍化する。
・理性を失くし、欲望に忠実になる。
・破壊衝動、殺戮衝動が大幅に増加する。
・聖女スキルの支配下にある時は封印される。
〈スキル特性〉
・補食
対象の身体を補食することで、体力や魔力量を吸収する。まれにスキルを奪うことが出来る。
【呪術士Lv1】
・古代の禁呪魔法が行使可能。
Lv1:滅尽魔法、腐食魔法
・敵を呪い、憎む感情が増加する。増加すればするほど魔法攻撃力が増す。
・全ての魔法属性の適正を得る。
・聖女スキルの支配下にある時は封印される。
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凄いラスボス感だ……。全くもって勝てる気がしない。
ステータス情報を見るに、破壊衝動、殺戮衝動、補食、禁呪魔法と、まるで悪役モンスターかのような言葉が並んでいる。実戦は、早めに切り上げた方が良さそうだ。
「きゃはははっ!」
笑い声と共に、ナホーティアがいきなり突っ込んで来た。目で追うのがやっとの動き。ギリギリで硬質化(劣化版)のスキルを発動させて防御する。
しかし威力は殺し切れない。五十メートル程吹き飛ばされ、岩山に激突した。
ーー硬質化が無ければ確実に死んでいたな。
そう思う暇も無く、ナホーティアがこちらへ向かってくる。口角を思い切り吊り上げて笑う。聖女の面影は全く無い。悪鬼そのものである。
「とーっ!」
高速のパンチを間一髪でかわす。岩山が一撃で粉砕された。ふざけた気合とは裏腹に飛んでもない威力である。
「雷撃!!」
カウンター代わりに雷撃を叩き込む。少し動きは止められたが、あまりダメージは負っていないようだ。立ち上がったナホーティアは猫背気味の体勢で拳を構えた。そして、ニヤリと笑う。
「あははははははっ! たのしいなあ、ケイブくんっ! だいすきっ! だいすきだよっ!」
狂気溢れる言葉に思わず身体が硬直する。突っ込んできたナホーティアからボディーブローをもろに食らい、近くの大木に激突する。
「ぐふっ!」
このままでは嬲り殺されてしまう。俺は切り札を使った。
ポケットに忍ばせていた砂鉄を帯電させ、頭上と周囲に振り撒いた。砂鉄と俺は微弱な電波で繋がっている。雷界の応用編だ。この範囲に入れば、ナホーティアの動きが直覚的に解る。
「来たっ!」
突撃してきたナホーティアの身体に触れ、ゼロ距離で雷撃を放つ。
「きゃあああっ!」
流石に効いたようだ。ナホーティアは地面に膝を突く。
しかし、これ以上のダメージは望めないだろう。戦闘を継続させるのは不味い。すかさず俺はコピーした聖女スキル(劣化版)を発動。ナホーティアに対して状態異常解除を行う。ナホーティアの表情が和らぎ、普段の笑顔に戻った。
「はぁはぁ、ケイブくんっ、ご褒美ちょうだい♪」
「ああっ、愛しいナホーティア、良くってよ! 良くってよ!」
戦いを終えた俺達は、熱い抱擁を交わした。聖女スキルを発動させている為、俺の心は聖女そのものになっている。
ーーとりあえずナホーティアが暴走した時のシュミレーションは出来たな。
ナホーティアにオネエっぽく頬擦りをしながら、俺は一定の戦果に満足するのだった。
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