第33話
本日1回目の投稿です。
翌朝、俺とリミュは王都の郊外へ向かった。実戦訓練をするためである。
「さあ、始めようか、リミュ。まずは、お前の剣豪と怪力のスキルをコピーさせてもらうぞ」
ついでに、リミュの現在のステータスも確認してみる。
ーーーーーー
名前:リミュ・セインファイザー
年齢:十五歳
性別:女
種族:人間
魔法適正:風
スキル:剣豪Lv2、怪力Lv1
ステータスLv:3
体力 :1800/1800
魔力量 :500/500
物理攻撃力:1900(スキル補正有)
物理防御力:1100
魔法攻撃力:550
魔法防御力:430
速 度 :1030
知 力 :740
幸 運 :640
備 考 :勝ち気な性格だが、構ってちゃんでもある。頭を撫でられるのが実は大好き。最近胸の小ささを気にして✕✕✕✕✕……
【剣豪スキルLv2】
・剣術の技術が向上する。
【怪力スキルLv1】
・物理攻撃力が向上する。
ーーーーーー
ーーおい、整理整頓スキルよ。
俺は心の中で整理整頓スキルに話しかけた。
『はい。我がマスター、ケイブ様。何か御用でしょうか』
ーー備考の所が、途中からバツ印になっているんだが。
『残念ながら、Lv2でお見せ出来るのはここまでです。経験値が貯まれば、もっと細やかな情報をお見せ出来ます』
ーーなんだ、その課金システムみたいな仕組みは?!
「どうしたの? ステータスが何か変?」
俺の挙動不審な様子を見てリミュが堪らず声を掛けてきた。
「い、いや、なんというか……最近お前、女らしくなってきたと思ってな」
「ほ、本当?」
俺の心にも無いウソでリミュが明らかに喜んでいる。ボロが出る前にこの辺で止めておこう。
真面目にステータスを見てみると、リミュは物理攻撃力が飛び抜けている。その分、魔法が不得意といった感じだな。魔界に行く前に、得意分野を伸ばしておこうか。
「よし、コピーは終わった! いくぞ、リミュ!」
「負けないわよ! うりゃあああっ!」
リミュの戦闘スタイルは、身長の二倍はある大剣をぶんぶん振り回すというものだ。剣を振る速度が以前より上がっている。ツインテールをたなびかせ、見ていて惚れ惚れする豪快さだ。
しかし、それより気になるのはリミュのミニスカートである。かなりアクロバティックな動きなので、中身がどうしてもちらちらと見えてしまう。
ーーくっ、猛攻と同時にパンチラを仕掛けてくるとは……意識を何処に向けたらいいのか解らん!
『マスター。正確にはパンチラではありません。可視範囲である下着の布面積が、平均して毎秒五センチ四方。即ちパンモロだと判断します』
ーーパ、パンモロだと……。
パンチラではなくパンモロと認識した瞬間、俺の意識は別の事象に向いていた。
即ち『リミュが履いているのは見せパンなのかどうか』である。
色は薄いピンクのようだ。派手な飾り等は無い。見せパンかどうかは微妙なラインだ。
見られることを前提にしたパンツならば何も興奮はしない。興味も湧かない。
考えてもみて欲しい。男は誰しも心の中にハイエナを飼っている。ハイエナは獲物が逃げるからこそ燃えるものだ。目の前に死骸が置かれていたとしても、獣の血は騒がない。見せパンはまさしくこれに他ならない。
しかしである! もし、見られることを念頭に置いてないパンツならば、それはハイエナから逃げ回ろうとするウサギちゃんである。俺の中の獣が、ついに長い冬眠から目を覚まし……
「ちょっとぉっ!! さっきからどこ見てるのよ! 嫌らしいところばっかり見て! 私になんか、本気を出す必要は無いってことかしら?!」
リミュが顔を真っ赤にして半泣きになっている。怒りに任せてさらに激しく打ちかかってきた。
「お、おい! そういう訳じゃないって! 見せる方が悪いというか……」
「うるさーいっ!!」
ヤバイ。リミュを怒らせてしまった。これ以上は凌ぎきれず、マジで怪我をしてしまうかもしれない。ここは、整理整頓スキルにバトンタッチしよう。
『マスター、承知しました。コピーしたリミュ・セインファイザーの剣豪及び怪力スキル(劣化版)を適用。精度と威力を最適化する方法を検索します』
整理整頓スキルが剣豪と怪力スキルの劣化版を使いつつ俺の身体を代理で動かして、リミュと剣で打ち合っている。筋力では圧倒的に負けている俺が、徐々にリミュを押し始めた。
「くっ……なんでよ?!」
『リミュ様は怪力スキルの使い方に33%の無駄があります。剣の構え方と体勢を修正することで、力の伝達が効率化されます。結果的に、威力、スピードともに大幅に向上するのです』
ついに整理整頓スキルの剣撃が、リミュの大剣を弾き飛ばした。
「そんな……ばかなっ」
「整理整頓スキルから剣の構え方と体勢を修正してもらえば、お前はもっと強くなるよ」
リミュは渋々整理整頓スキルに従って構えを修正し始めた。途端に、剣の振りが早くなる。修正前とは見違えるようだ。
整理整頓スキルと打ち合っても、互角以上に戦えるようになった。もっと身体に馴染ませれば、これまでより格段に強くなるはずだ。
「ケイブ、すごいっ! 私は、まだまだ強くなれるっ」
「その通りだ。良い子、良い子」
ステータスに書いてあった通りに頭を撫でてみる。
「あっ、あうう……うん、私、がんばるっ」
借りてきた猫のようになってしまった。素直過ぎてちょっと気持ち悪いが、今度からリミュに言うことを聞かせたい時は、頭を撫でることにしよう。
ーーーーーー
リミュとの特訓ですっかり日も落ちて、俺達は屋敷に戻った。
俺の部屋から見える満月。光が強いせいか、心なしか夜空が白んで見える。
すると俺の耳に、ヴァイオリンの音色が遠く聞こえた。
見事な演奏である。きっと、貴族の令嬢か誰かが弾いているのだろう。
清く、それでいて心地の良い音色に、俺は暫く聞き入っていた。
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