第31話
最近謎の体調不良が続いて更新が出来てませんでした。今日から再開します。
王都中心部。レグシスレイト家の邸宅へと俺達は出向いていた。流石は王国トップクラスの貴族。豪華絢爛たる屋敷の造りだ。
レグシスレイト家の領地はキングウェル王国と魔界の境界にある。ルーラルヴォーラ家も同様だ。王国屈指の戦力を持つ両家は、魔界への牽制役となっている。
「す、すごい、見てリーフェっ、これ全部大理石ですって!」
「うーむ、分析するに、この部屋だけで十億ルトスは下らないな……」
リミュとリーフェは下級貴族だ。高価な装飾にワクワクが止まらないらしい。
だだっ広い部屋を物色している二人の他、俺とフォードン、フェリーネ、ボルガドフはテーブルに座っている。
俺達の後ろには、例のフォードン親衛隊が十名程直立不動で控えている。紅茶を運んでくるのも、メイドではなく武装した親衛隊である。
「卿は真の勇者だ。愛する主人の為に、人類未踏の地へと進もうとしているのだからな。魔王がいるのは魔界の最深部。そこまで歩みを進める者は殆どいない」
フォードンが紅茶を啜りながら語る。普段は暑苦しくても、やはり貴族だけあってかなり様になっている。
「ケイブ様ですもの。当たり前ですわ」
フェリーネも優雅にチョコレートを摘まみながら会話に割って入った。育ちは良いのだろうな。性格は真反対だが。
「ここで卿に提案なのだが……ナホーティアを魔界に連れていくことを勧める」
「なぜだ? 万一スキルが暴走した場合、手に負えないと思うが……」
「それはリハイヘヴン家の屋敷に置いてきた場合でも同様だろう。だが、卿に加えて、ボルガドフ、フェリーネ、俺を合わせればかなりの戦力になる。ナホーティアが暴走した時は、我々で何とかした方が良い」
「フォードン君の意見に賛成だね。君にはあのスキルもあることだし」
「ふん、ボルガドフには殆ど意味を成さなかったがな」
七列卿の次期当主達は学園生ではあるが、既に王国有数の戦力でもある。この戦力が数名集うだけで、一個師団相当の武力はあるだろう。
「なるほど。そうかもしれないな……」
「もう一つ。あの寄子達は置いていくのだろうな? そこそこ才能はあるようだが、全く修練が足りないと見える」
「ちょっ、待ちなさいよ! ナホーティアがピンチなのに、私達だけ待ってることなんて出来るわけないじゃない!」
「同意だ。私には唯一無二のスキルである分析もある。戦力となることを約束する」
分析スキルは、俺が知る限り相手が雄である場合のみに有効なクソスキルだが……
「魔界は命を賭して行かねばならない死地なのだ。七列卿である私の言うことが聞けないのか?」
「学園生同士である内は、爵位や序列は関係無いはずよ!」
リミュが舌を出してフォードンに抗議する。確かに、学園の規則ではその通りだ。フォードンはため息をつく。
リーフェはチラチラと俺の方を見ている。弁護して欲しいと言いたげだ。仕方ないな……
「フォードン、俺が責任を持つ。二人を連れていきたい。ナホーティアも、二人がいれば精神的に落ち着くはずだ。幾分か、スキルの制御もやり易いのではないだろうか」
「卿がそこまで言うなら、仕方あるまい。だが、」
フォードンが立ち上がり、剣を抜いてリミュとリーフェに向ける。
「貴族たるもの、自らの意思は行動で語れ。行動なく言葉のみを弄ぶ者は、権力を持つ資格は無い!」
「わかったわよ。魔界では、私達の実力を見せてあげるわ!」
良い意気込みだ。リミュとリーフェ、二人ならきっとやってくれるはずだ。想いは力を産む。
ナホーティアにとって、俺達三人は掛け替えの無い仲間なのだから。
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